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妹、演技する

私はメイドのリリアが止めるのも聞かず、お姉様の部屋の前で立っていました。

さっきまで部屋で何度も練習した台詞を頭の中でもう一度繰り返して……

意を決した私は、恐る恐るお姉様の部屋の扉をノックします。もしお疲れで寝ていたらどうしましょうか、という予想がちらりと頭をよぎります。

しかし、軽い音を立てて扉が開いたので、その心配はなくなりました。

お姉様は不思議そうに私を見ました。まあ当然です。こんなに夜遅くにお姉様のお部屋に来たことがありませんから。でもこちらの方がお姉様の意外性も増すはずです。

私はお姉様に勧められるままソファーに座り、人払いをします。お姉様は驚いた顔をしてリリアとサリサが出ていくのを見ています。

私も二人が出ていくのを確認して、お姉様に本題を伝えます。

まずは好きな人ができたと、相談を持ちかけます。お姉様の反応は思っていたよりも普通です。ですがお姉様の気持ちを知っている私には、お姉様が好きな人と聞いてすぐレゲル様のことを頭に浮かべたんだろうとわかります。妙な間がありましたから。

次にクラヴィッテ殿下についての話題を振ります。

お姉様は普段の笑顔を見慣れた私にとっては不自然に引きつった笑いを浮かべて殿下のことを誉めます。

でもこれくらいなら緊張だと思ってしまいそうです。お姉様は演技が上手いのか下手なのかわかりません。

そこで私はすかさずさっきまで練習していたとびっきりの笑顔を浮かべて、お姉様が今一番触れてほしくないであろう人物、レゲル様の話を始めます。お姉様に口を挟ませないくらい一気に喋りました。口の中がカラカラです。こんなことならリリアにお茶くらい持ってきてもらうんでした。

一度だけ、お喋りを止めると、お姉様が慌てた様子で質問しました。

それに答えて、少し喋ります。

「そう……なのね。一目惚れ、素敵ね」

そこで諦めてはいけません!そんな声になるくらいショックならもっと頑張りましょうよ。

ここまで言っても無駄なんて……。私は取って置きの台詞をお姉様に言いました。明日にでも告白する、と。

これは効果覿面でした。ほとんど間を開けず、お姉様が叫んだのです。

「駄目!絶対駄目!」

ようやく言ってくださいました。この台詞をどれだけ待ち望んだことか。これを言ってくださったならこっちのものです。

そして……お姉様がその決心を固めて下さいました!喜びのために口角が自然に上がってしまいます。頭を下げて顔があまり見られないように必死です。

私は顔を下げているうちになんとか表情を元に戻して、お姉様と向き合います。

「頑張って、私も応援していますから」

私はとても満ち足りた気持ちでお姉様の横から立ち上がって、部屋を出ます。

外に待機していたリリアを連れて、自分の部屋に戻った私は耐えきれずベッドに顔を埋めて次々と浮かんでくる想像を消します。

たぶんリリアは私を相当心配しているでしょう。それでも想像は止まらない!

さすがに不安になったリリアに肩を叩かれ、大丈夫ですかと聞かれるまで、私は落ち着きを取り戻すことができませんでした。

妹の心中を書いてみました。


数話前のアルの判断は正しかったみたいです。

K殿下が恋路を手伝ってもらったなんて聞いてたら殿下の評価は駄々下がりでしょう(^o^;)


次の話が説明文が多いので今回は2話投稿しました

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