姉の苦悩2
衝撃の告白に、声に出して叫びたい衝動に駆られました。
リフィアルが……レゲル様のことを?
信じられない告白はまだまだ続きます。
「実は今日のパーティーでお姉様がレゲル様のことを見ていたのでもしかしたら……と思ってしまったんです。心配になってしまってついお姉様とレゲル様を二人にしてしまいました。せっかくのパーティーの邪魔をしてしまい申し訳ありません。でもお許しになって、どうしても確かめたかったのです」
私は何も言えません。驚きと、レゲル様への好意を隠すことなく語れるリフィアルへの嫉妬に似た感情で頭がいっぱいになってしまっています。
「お姉様が戻ってきたときお姉様は殿下と一緒でした。とてもお似合いで、レゲル様もきっとそう思われていますわ。私もお姉様のように幸せになりたいです。次のパーティーが待ち遠しくて仕方ありませんの。だってレゲル様がきっといらっしゃいますから。そして……できるのならこの思いを伝えます」
「ちょっと待って、リフィアルはどこでレゲル様のことを……?」
いつまでも語り続けそうなリフィアルの話になんとか言葉を挟むことができました。リフィアルとレゲル様は今日初めてお話をしたはずです。なぜこのようなことに………
「レゲル様は最高の精霊使いと名高いお方。以前誰にも内緒でこっそりお姿を見に行ったことがありますの。とっても素敵なお方でした。きっとこういうのを一目惚れと言うのでしょうね」
……これはいつのことなんだろう。レゲル様が有名になったのは補佐官になられた二年前のこと、それ以前は私もレゲル様のことは知りませんでした。……もしかすると、リフィアルは精霊院の頃のレゲル様も知っているのかしら。リフィアルは精霊使いで、他の精霊使いの方と比べると、だいぶ早くに精霊と契約しています。レゲル様が精霊院に入った頃からレゲル様のことを知っていても不思議ではありません。
「そう……なのね。一目惚れ、素敵ね」
なんとなくリフィアルに負けた気がしました。レゲル様のことを思った時間も、思いの深さも、私はリフィアルに遠く及びません。諦めの感情が湧いてきました。殿下とのお付き合いでも、きっと幸せになれます。レゲル様も昔から慕ってくれたリフィアルの方が嬉しいでしょう。
「お姉様がそう言ってくださって嬉しいですわ。パーティーまで待てるかしら、明日にでもこの思いを……」
明日にでも……?そんな、心の準備が全くできません!
「駄目!絶対駄目!」
大きな声が出てしまいました。すると、リフィアルはさっきまであれほどにこやかだった顔を元に戻します。そしてため息をついて呆れたように言いました。
「お姉様、やっと言ってくださいましたね」
「えっ……?それはどいういう……」
「さっきお姉様にお話したこと、全て嘘です。私はレゲル様のことはなんとも思っておりませんし、こっそりお姿を見に行ったこともありません。今日が初対面ですわ」
「何で、そんな嘘を?」
リフィアルは答えずに立ち上がって私の横に座りました。
「お姉様の本当の気持ちを確かめたかったからです。この程度で動揺なさるくらいではいつか殿下にバレてしまいますよ。うまく続いたとしても、お姉様は幸せにはなれません。私はお姉様に幸せになってほしいんです」
そう言うリフィアルの眼差しは先ほどより真剣です。
「殿下に本当のことを話して、レゲル様に思いを伝えてください。そうでないと何のために私がこんな演技をしたのかわかりませんもの」
そしてもう一度ため息をつくリフィアルはとても大人びて見えました。いつまでも子供ではないと、面と向かって教えられた気分です。もしかしたら私よりも、リフィアルの心は大人なのかもしれません。悔しいけれど嬉しい。
何よりも……
「ありがとうリフィアル。私、気持ちを殿下と……レゲル様に伝える」
私がそう言うと、リフィアルはとても満足げな様子で静かに頷きました。
書いていて少しキャラたちに申し訳なくなりました
お気づきの方はいらっしゃると思いますが、少し前から予約投稿を利用しています。
便利ですね、これ(。-∀-)




