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姉の苦悩

「はぁ……」

思わずため息が漏れました。

ちらりと部屋の隅……いつも邪精霊がいた辺りを眺めます。

今日、殿下と一人の神官によって祓われたので、もうどこにもその黒く禍々しい姿は見えません。

あの叫びを聞いて、邪精霊が祓われた後、倒れそうになった私をレゲル様は支えてくれました。あの時触れたレゲル様の腕の感触が背中に残っていて、忘れることができません。男性にしては少し細い気もしましたが、あの方は痩せているのであれくらいでいいのでしょう。

邪精霊が祓われたときのものよりこちらの方が強く残るというのは、なぜかわからないけれどなんとなく不謹慎な気がしました。でも、やはり忘れられないのです。

何もいなくなった部屋の隅をぼんやり眺めていると、規則正しいノックが聞こえてきました。

……このノックの仕方はリフィアルですね。いつもはこんな時間には来ないのに珍しいわ。

リフィアルとは普通に仲のよい姉妹だと思っています。なので部屋にやって来ること自体は珍しいことではありません。でもこんな夜遅く、寝る前に来るだなんて。

「どうぞ」

扉に向かって呼び掛けると、すかさず扉のそばで待機していたサリサが扉を開けます。

「夜遅くに申し訳ありません。リフィアルお嬢様がどうしてもとおっしゃいまして……」

申し訳なさそうにリフィアルのメイド、リリアが謝罪します。

リフィアルは緊張しているのか、少し表情が硬いですね。本当にどうしたのかしら。

「構いませんわ。リフィアル、座って」

できるだけ優しく声をかけ、私はリフィアルに私の前のソファーを勧めます。リフィアルはゆっくりとソファーに座りました。

「大切なお話がありますの……リリアとサリサは部屋の外に出ていて、すぐ済みますわ」

「はい」

二人のメイドは少し不思議そうにしながらも外に出ていきました。私とリフィアルがお喋りをする時は人払いなんてしません。いったいどうしたのでしょうか。

リフィアルはリリアとサリサが出ていくのを目で追って確認して、私の方を真剣な眼差しで見つめます。

「どうしたの?こんな夜遅くに……」

「お姉様、私、お姉様にどうしても相談したいことがありますの」

ちょっとした相談くらいならされたことはあるけれど、こんなに真剣に相談を頼まれたのは初めてです。

可愛い妹の相談ですから、できるだけ解決してあげたい。でもこんなにリフィアルが真剣になる相談って何かしら?

「相談?」

リフィアルは言いづらそうにしばらく口を動かして、意を決したように話し始めました。

「実は私、その……好きな人ができたかもしれません」

衝撃の告白です。まだ早い、なんて思ってはいませんが、リフィアルは今までどんな男性にも興味を持った様子はありませんでした。

好きな人……ふっと頭の中にレゲル様の姿と、今日の背中に触れた腕の感触が甦ります。

「どんなお方なの?」

「それは……」

そこが一番気になるのですが、言うべきか迷っているのか、なかなか教えてくれそうにありません。

「お姉様はクラヴィッテ殿下とお付き合いなさっているのですよね?お姉様にとって殿下はどのようなお方なのですか?お姉様は殿下のどのようなところがお好きなのですか?」

逆に私が質問されました。私と殿下がお付き合い……やっぱりリフィアルの目にもそう見えるのかしら。

私がその質問に答えられないでいると、リフィアルは私の方をじっと見つめてきました。

「殿下は優しくて素敵なお方です」

なんとか笑顔を作ってそう答えるのが精一杯、もやもやとしたものが私の胸に込み上げてきました。

そう答えると、リフィアルはぱっと顔を輝かせて嬉しそうに笑って予想もしていなかったことを言いました。

「素敵です。よかった、お姉様がお好きなのはやっぱり殿下だったのですね!私の好きな人はレゲル様です。私もあの方とお姉様と殿下のような関係になりたいですわ!」

…………へ?


妹、爆弾発言(/^^)/⌒●~*

絵文字が正しく表示されているか若干不安です。それでも使いましたが(;・ω・)

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