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妹は考える

最近、お姉様の様子がおかしい。

おかしくなったのはお姉様が魔物に襲われたというあのパーティーから。私は参加していないから詳しくは知らないのだけれど。

はじめは魔物に襲われたショックとか、殿下とのお付き合いのことで悩んでいるのだと思っていて、相談されたら応えよう、くらいの思いでした。

しかし、今私が参加している新年のパーティーでのお姉様の様子を見て、お姉様の悩みの原因がわかりました。

クラヴィッテ殿下がお父様にご挨拶なさっていたとき、お姉様はほとんどクラヴィッテ殿下の方を見ていませんでした。恥ずかしいから、というのならわかりますが、殿下から逸らしている目の先にはいつもは同じ人物がいます。

天才精霊使いと名高い、あの第二宰相カーレル様の補佐官のレゲル様。なぜ様付けなのかはわかりません。周囲が様付けであの方のことを呼ぶからでしょう。私もこちらの方がしっくりきます。

とにかく、精霊院の精霊使を数年間勤めてそのまま宰相補佐官になった人物。

そういえば、お姉様をあのパーティーで魔物から助けたのはレゲル様だと聞いています。

今の状況とあのパーティーでのことから考えるに、お姉様はきっとレゲル様に特別な感情を抱いているに違いありません。だからずっと悩んでいたんです。

当のレゲル様はお姉様の様子に全く気付いていないようです。カーレル様の後ろで人の良さそうな笑みを浮かべて立っています。

まだお父様とカーレル様は挨拶を済ませていないので、もう少ししたらこちらに挨拶にいらっしゃるでしょう。そのときがレゲル様とお話しする絶好の機会かもしれません。

お話しして、お姉様とお話しする機会をそれとなく作るのです。そうすれば、きっとレゲル様もお姉様の気持ちに気付くはずですわ!

殿下とのお付き合いもロマンチックですが、助けてもらったお方とのお付き合いの方がもっとロマンチックです。

もちろん私はお姉様と別れた殿下を狙おうだなんて、全く思っておりません。殿下がお姉様をお慕いしていることは前々から気付いていました。

ですが、それ以上に何の進展もないだなんて……私は積極的な男性が好きですから、男ならもっと堂々としているべきです。

そして、お父様とカーレル様が挨拶をしていて、レゲル様がお話せず立っているという機会が訪れました。



少し緊張したけれど、何とかお姉様とレゲル様を二人きりにすることに成功しました。

どんな会話をなさっているのかしら。想像するだけでドキドキします。直接見に行きたい衝動に駆られたけれど、それでは二人きりにした意味がありません。ちょっとだけ誘惑に負けて私の精霊を行かせたのですが、レゲル様の精霊に阻まれたようです。残念なような、ほっとしたような……

しばらくして、なぜか会場にレゲル様だけが戻ってきて、殿下を連れて再び外に行かれてしまいました。まさか、これは修羅場の予感?想像が止まりませんわ。

なかなかお姉様達は戻ってきません。何が起こっているのでしょう、先ほどから会場の扉が開く音がするたびにどうしてもそちらを見てしまいます。さっきも音がしましたが、神官らしい格好をした男性が会場から出ていかれただけでした。

そして、私にとって長い時間が過ぎたころ、扉が開きレゲル様が戻ってきました。

……あら?お姉様が一緒ではありません。何があったのでしょうか。まさか、負けたのですか?信じられません。それとも私のただの勘違いだったのでしょうか。

私はそれとなくレゲル様に近付いてお尋ねしました。

「あの、お姉様はどのような様子でしたか?」

「リフィアル様のおかげでフェターシャ様をお助けすることができました。とても仲が良い姉妹なのですね」

…………へっ?どういうことですか!?全くレゲル様のおっしゃっていることの意味がわかりません。

「お姉様と殿下は……」

「お二人は少ししてからいらっしゃるはずですよ。お似合いの二人ですね」

「そ……うですの。それはよかったですわ……」

話は終わったとばかりにカーレル様のところにお戻りになるレゲル様、本当に私の勘違いなのでしょうか……

もう少しして戻ってくるとおっしゃっていました。仕方ないので待つことにします。

扉が開き、殿下とお姉様が会場に入ってきました。

お姉様の視線は……やはりレゲル様に向かっています。お姉様、いったい何が起こったのですか?

妹には全くわかりません………




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