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年が明けて

「へくしゅ」

くしゃみが出た。案の定、祭りから帰って、風邪がぶり返したのだ。

昨日は年越し祭りから帰ってきてすぐ寝て、ほぼ一日中寝てたから治ったと思ったんだけどな。

今は年越し二日目の昼、夜に王都に到着出来るようにもうすぐやってくる馬車に乗らなければならない。

家族と過ごせって言われてたのにほとんど外出してたり寝てたな……せっかく休みをくれたカーレル様に申し訳ない。

「今度はいつ頃帰ってくるの?」

「うーん、今はわからないなあ……」

「次に帰ってくる時は前もって教えてよ。帰ってきたらいきなり兄さんがいてびっくりした」

「そうだよ、ご飯の準備とかしたいもん」

「ごめんごめん、驚かせたかったから。次は前もって知らせるね」

そうこうしているうちに遠くの方に馬車が見えてきた。行かなきゃなぁ、残りたいなぁ……

「そうだ、ルナとルラはもう少ししたら誕生日だよね。何か欲しいものはある?」

いつもは手紙で聞くんだけど、せっかくだし今のうちに聞いておこう。まあ手紙で聞いても気持ちだけでいいよっていつも返ってくるんだけど。なのでとりあえずお菓子を送っています。

「ない……ううん、ある!」

思い付いたようにルナが言う。何だろう、叶えられる範囲で叶えてあげたい。ルナは私の耳元に口を近付けた。

「あのね、お姉ちゃんが欲しいの一日……半日でいいから」

横でひっそりと聞き耳を立てていたルラも賛成する。

「私も、それで一緒に王都を見たいなぁ」

……それは要するに、女装した私と王都を観光したいってことだよね。危険がいろいろありそう。でも叶えられなくもないお願い、しかも初めての誕生日のお願い……

「わかった、休みが取れたら手紙を送るよ」

可愛い妹達の願いだ、叶えてあげないと。

そう言うと嬉しそうに二人は目を輝かせた。

「じゃあ行くね。身体には気を付けてね」

今風邪を引いてる私が言えることじゃないけど。

「むちゃしないでよ、僕達が一番心配してるのは兄さんのことなんだから」

オルトが少しあきれたように言った。

そうこうしているうちに馬車が到着して、名残惜しいけど馬車に乗り込む。前の方の区から乗ってきた乗客も何人か乗っていた。

空いている席を見つけて座る。ちょうど壁沿いの席に座れた。少しよりかかっていると、だんだんと眠くなってきた。



『主人、もうすぐ着きますよ』

王都に近付いてきたら起こしてほしいと頼んでおいたので、精霊の声で起きた。外を見ようとしたけれど、この馬車、窓がない。まあこの時期は窓がないのが普通だしな、行きの馬車にはあったけど、きっと偶然だろう。

というか、もうすぐ王都に着くのか。私、どんだけ寝てたんだろ。完全に爆睡してたっぽいなぁ。壁にもたれて寝てたから首とか腰が痛い。

痛いところを手でほぐしていると、先ほどまでガタガタと動いていた馬車の動きがなだらかになった。王都に入ったみたいだな、舗装された道を走っているんだろう。この馬車は王都が終点なので全員ここで降りるのだろう、みんな下車の準備をしていた。

やがて馬車は止まり、扉が開く。外はすっかり暗くなっていた。

降りると、靴越しに舗装された固い地面の感触が伝わる。王都に来たんだなと実感した。

ちなみに今日、年明け二日目は新年を祝う大祭の真っ只中、今日明日とパレードやイベントで盛り上る。なので今は一番盛り上がっている頃だろう。少し見に行こうかななんて思ってたけど止めておこう。すごい混雑だろうから。

本当は王宮に行こうとも思ってたんだけど、移動で思ったよりも疲れたし、大祭が少し落ち着く明日の朝にしようかな。今夜はもう宿舎に行って休もう。



ようやく宿舎が見えてきた。こんなに遠かったっけ……

だらだら進み、階段を上ると自分の部屋に到着した。郵便受けを見てみると、何かが入っているっぽい。何だろう。

鍵を開けて部屋に入って、郵便受けから入っているものを取り出した。

一通の手紙と、書類が入っているっぽい大きい封筒、差出人は……カーレル様だ。それを持って椅子に座り、とりあえず手紙の方を開封する。それはこんな書き出しで始まっていた。

『親愛なるレゲル君へ、君がこの手紙を読んでいるということは大祭の二日目、遅くても三日目の朝でしょうか。君のことなので休みでも少しどころではなく早めに戻ってきているのでしょうから』

何でわかるんですか!?怖い、怖いよカーレル様、何なんだこの人……

その後からは一緒に投函されていた書類に関することと、大祭の大まかな進行状況、四日目の予定について書かれている。しかし、明日の予定は書かれていない、代わりに……

『まあ君のことです、三日目の朝には王宮に来るつもりでしょう。朝なら私はいつも通り部屋にいるので、何かあれば来てください』

どうやら、私の行動は全てカーレル様の予想通りのようです。誰かを付けてるんじゃないかってくらい正確で怖い。でもカーレル様はそんなことはしない人だ。だからなおさら怖い。

「……寝よう」

考えても仕方ない、どう考えてもカーレル様の予想通りになる気がするし。風邪もよく寝ればよくなる、早く寝るのが一番正しい。

私はさっとシャワーだけ浴び、とっとと着替えて寝ることにした。


明けましておめでとうございますo(^-^o)(o^-^)o


去年のことは除夜の鐘で叩き落とし、頑張ります。はい。

今年の目標は誤解を生まない……ですね(´・ω・`)


っていうか女装って……もともと女の子なのに。書いてる筆者まで疑問視しております(;´∀`)

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