子供達 5
ひとまず立ち上がって落ち着くことにした。
レダをいったんお話の輪に戻させて、私は騎士と相談する。
「少し訛りがありましたが、どこのものかわかりますか?」
「いえ、私はあまり方言には詳しくありませんから。服装もそう変わったものではありませんし」
私はもう一度レダの方を見る、なにやらいろいろ訊ねられているようだ。さっきの話はなんだったのかとか、そんな感じかな。
「どうしましょうか。話を聞く限りでは親元に戻すのも難しそうですし、かといって安易に孤児院に送るわけにもいきませんよね」
困ったな。仕事を探してあげることは出来なくもないけど、その時の善意が後でどう戻ってくるのかはわかる。
その子は良くて他の子はダメなのかと、今後起こりうるであろうそれら全てを受け止めきれるほどの力は私にはないのだ。
「もう一人の子は……どうしましょう」
もう一人の子、カイはまだ眠っていた。
彼の持っている精霊の目はかなり特殊な能力ではあるが、役立つかと言えばそうでもない。
近くにいる精霊の様子を訊ねたければ自分の精霊に聞けばよいし、精霊の目にしか見えないものがあるのかというと、何もないのだ。研究に関してもほとんど終わったようなもので、研究対象としても必要とされていない。
今の認識では、ただの精霊使いになれない者とされている。それに人間には自分たちとは違うものを排除したがる者がいる、ただ精霊が見えるというだけで排除の対象になってしまうのだ。
「一応話を聞きましょう。まあ、私にできることはほとんどありませんが……」
私にできることは話を聞いてあげることだけだ。解決策を見つけられるわけでも、助けてあげられるわけでもない。
「私は無力ですね、つい宰相様ならどうだろうと思ってしまいます」
「何をおっしゃるんですか、子供たちを救出しただけでも十分です、あなたが無力なら俺なんてそこらのゴミ以下ですよ」
彼は自嘲ぎみに笑った。
「庶民の出なりに、何かできると思ったんですけどね」
「俺は貴族なんですけど俺、レゲル様のことすげー尊敬してるんですよ。王宮なんて庶民が行くだけでいじめられそうなのに、レゲル様はそんなこと無さそうに、ただ人々のことだけ思ってる。レゲル様のおかげで庶民でも偉くなれるって証明されて、この地区が活気づいた気がするんです」
彼は興奮ぎみに言う。
うっ、こんな正面切って誉められるとどういう反応をすればいいのかわからん。こんなこと言われると私の唯一の嘘がとても申し訳なく感じる。
「ありがとうございます。では話を聞きにいくとしますか」
まだなんか、地に足がついてない気がする。まさかそんなことを言われるなんて。
少し浮いた足で眠っているカイの方へ向かう。話を聞いて、理解することしかできないかも知れないけど、それが今の私にできる唯一のことだから。
私が近付いていくと、カイははっと目を覚ました。
しばらくキョロキョロと辺りを見回し、ホッとしたように息をついた。
「調子はどう?どこか痛いところとか気持ち悪いとかはある?」
「んー、ないよ」
眠たげに目を擦りながらカイは言った。
「じゃあ、さっき聞いたんだけどどうして家に戻りたくないの?」
「だって僕にはそもそも家がないもん、ずっと一人」
「家がないの……」
「うん、だから戻るとかもないよ。気付いたら捕まっただけ。もう行ってもいい?どうせ物乞いで生きていくんだから」
よくない!えっ?物乞い?聞いてないよそれ。
「カイ君さ、何か得意なこととかないの?」
「得意なこと?大人に媚びることなら得意だけど」
この歳でなんてことを……
「そんなことじゃなくて、普通の特技、足が早いとかでいいから」
「逃げ足なら速いかもね。それで……うわっ!」
何事かと思ったら、レルチェがカイに向かって勢いよく飛んでいっていた。慌ててそれを避けるカイ。
すごく自然な動作だった。
年末に間に合いそうです(。-∀-)ホッ
忙しくなる前にここまで書けてよかったです。
にしてもガッコの課題が多いΣ(-∀-;)




