子供達 3
ミスがありまして、訂正させていただきました。
(ご存知ない方はこれは無視して、先にお進みください)
申し訳ありません
結局、ハセ区の騎士団に到着した頃には夜がとっくに明け、一部の商店では開店の準備を始めていた。
子供たちも疲れたのか荷車の上ですやすや眠っている。
私は寝不足になりながらも荷車の横を歩いた。
明るくなり、わたしの顔が普通に見えるようになると、騎士はわたしの顔を見てぎょっとしていた。まあ私と騎士は全員寝不足である。
近隣住民にねぎらいの言葉をかけられながら、私達は無事騎士団に戻ってきた。
眠そうに目を擦っている子供たちを騎士団の広間に連れてきて、パンとミルクを配りながら昨夜は聞くことのできなかった出身区などの身元を確かめた。
この作業は騎士団に残り、十分に睡眠をとっているはずの騎士に任せている。さすがに寝惚けながらそういう作業はできない。
私も子供たちと同じパンとミルクを受け取ってその様子を眺めていた。
しかし、それらを食べ終えると緊張の糸が切れたのか、気付けば眠っていた。
「……様、レゲル様」
「ん……」
騎士に軽く肩を揺すられ目を覚ます。
「あの、お預かりしていたドラゴンなんですが、朝方からずっと鳴いておりまして……」
「あっ!」
そうだった、レルチェをここに預けてたんだ。ご飯だけあげてくれればいいって言っておいたからきっと寂しがってる……
「ありがとうございます、すぐ引き取ります!」
一気に目が覚めた。こんなに大切なことを忘れるだなんて。保護者失格だよ。
レルチェを預けておいた部屋に向かうと、部屋の外からでもレルチェの悲痛な鳴き声が聞こえた。
「レルチェ!」
勢いよく扉を開ける。
その瞬間にレルチェはこちらを振り向き、その潤んだ瞳と目が合った。
先ほどの声とはうってかわって元気な声になると、レルチェは勢いよくこっちに突進してくる……
「待った!」
机の上!そこ机の上だから!落ちるって!
走って向かうけど、絶対間に合わない。
「へっ?」
気のせいだろうか、レルチェがこっちに飛んできているような……
次の瞬間、肩に軽い衝撃を受ける。
見ると、そこには嬉しそうに私の首もとに体を擦り付けているレルチェがいた。鱗が痛いけど、それどころじゃない。
レルチェが飛んだ。
確かにレルチェはドラゴンだから飛べるものである。
一直線に、全くふらつかずに飛んだ。ひょっとしてうちの子天才?なんて浮かれていて、ふとある一文を思い出す。
『ドラゴンが飛行を始める時期は個体差が大きく雛のうちに飛び始めるのは珍しいことではありません。ただ、その場合は大人になり骨格の変化に適応できるかが疑わしくなります』
………確かこんな文章があったな。私に会えた嬉しさのあまり本能に従わせて飛ばせてしまったのか。
骨格の変化、確かにこんなに小さいのが竜舎にいるようなあんなでっかいドラゴンになるのだから、骨格はこんな雛のものとは別物のようになるんだろう。
王都に戻ったらまた竜舎に行くか、それしかないよな。ホーリッツあたりに聞きにいこう。
自分が何をしたのか全く理解していない顔でレルチェは私を見つめてくる。こんな顔されたら責められない、というか私にも責任あるし。
そして今までレルチェを守ってくれていた火精霊にもお礼を言う。さっきから身体を暖めてもらっているんだけど、やっぱりいいな。温かい。
精霊に温度については頼りきりだったのを反省したばっかだけど、やっぱり止められそうにありません。
私はレルチェを肩に乗せたまま、子供たちがどうなったかを確かめるために再び広間に向かった。




