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子供達

騎士団に付いている私の精霊にも、私達のだいたいの居場所が伝わったらしく、騎士団の方からもこっちに近付いてきているそう。

これならすぐ騎士団と出会えるだろう。少し安心した。

「騎士団の人達がこっちに気付いてくれたよ。こっちに来てるみたいだからもうちょっとだ」

子供たちを安心させられるように私は優しい声で伝えた。

「騎士様がこっちに?」

「ほんとに!よかった」

「母さんのところに戻れるかな?」

喜びと安堵が子供たちの間に広がっていき、自然と私も笑みがこぼれる。

「騎士団の人達に守ってもらえるから、もう安心して。それまでは私がみんなを守るから」

「お兄さんはケガしてるから休んで。私がお兄さんの代わりにみんなを守るよ。精霊さんがいるもん」

「僕も、僕にだって精霊が付いてくれてるからみんなとお兄さんを守れるよ」

嬉しいことだけど、本当にこれでいいのか。望まれる形での契約じゃないし、無理矢理繋げちゃったって感じ。

「寒いなあ、精霊さんに温めてもらおうかな」

女の子がそうぼそりと呟いたのを私は聴き逃さなかった。

「いきなりは危ないよ」

私は女の子の方を振り向いてそれを止める。

「どうしてですか?」

「精霊の力をどれくらい抑えられるのかわからずに温めてもらってはいけないよ。試しにそこにある小石を温めさせてみて」

私はそこらに転がっている石を指差して言った。

いきなりやると力の加減がわからないっていうのは多い。力が足りずほんの少ししか温まらないならいいけど、強すぎると全身火傷、最悪命に関わる事だって過去にはあった。

特に子供に多い事故だという。まあわかるけど。

女の子は私が言った通り、手近に転がっていた石を拾って温め始める。

「熱っ!」

びっくりしたのか女の子は石をどこかに放り投げる。

止めておいてよかった。

少し手を見せてもらう、うん、そんなに酷い火傷はしなかったみたいだ。少し水ぶくれができるだろうけど。

私は痛そうにしている女の子の手に冷たい氷の欠片を振りかける。

「慣れたらちょうどいいくらいに温められるんだけどね。これからこういうふうに練習してみて、手に乗せるのが怖いなら燃えないものの上に置いて練習すればいい。完全に調整できるようになるまでは身体を温めようなんてしちゃ駄目だ。氷精霊と契約した子も同じ。いきなり身体を冷やさせるのは同じように危ない。やりたければ夏になるまでに練習しておくこと。わかった?」

何人かの子が頷いた。他の子は自分に関係が無いと思っているのか他事してる。

「精霊の力を制御することは大切なこと、でも役に立つ力が他の人を巻き込むなら危ないだけだ」

聴いているのかいないのか。わからないけどとりあえず数人が頷いた。

精霊の力を人がどのように制御しているのかはまだ研究中で、精霊と人間との信頼度、精霊そのものの持つ力、人間の中の見えない力をエネルギーにしている……等々、精霊と人間の関係には諸説あり、いまだ解明されていない。

人間に制御する事ができるから、信頼度か人間の見えない力の説が有力だ。

いずれにしても経験上、精霊の使役については練習あるのみなので、これ以上はなにも言うことがないんだけどね。

そうこうしているうちに、遠くに小さな明かりが見えてくる。

騎士団に付けておいた精霊がまっしぐらに私の方へ飛んできたから、あれは騎士団の明かりかな。明かりに気づいた子がほっとしたように息をつく音が聞こえた。







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