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番外編 お料理

ルラが料理をしている。

何を作っているのかはわからないけど、始めにルラに料理を教えたのは私だ。



私は母が仕事でいないので、代わりに料理を作っていた。

お店の残り物をなんとか貰ったり、家の前のほんとに小さい畑で取れた少しの野菜。

肉屋で貰った骨を煮込んで出汁を取り、その間に野菜を切る。茎とかの固いところもできるだけ小さく切ればたべられるから。

骨についてた肉も丁寧に剥いでスープに放り込む。食べれるものは無駄にしてはいけない。

「なにかおてつだいない?」

ルラが後ろに立ってそんなことを言った。

「大丈夫だよ。もうすぐできるから待ってて」

それでもルラは離れない。それどころか私が切っている野菜に手を伸ばす。

「危ないよ。当たったら痛いから」

そう言われ、手を引っ込めるものの、じっと野菜を見ている。

「……お野菜、切るの手伝ってくれる?」

まあいつか必要になるだろうし、今のうちから慣れさせた方がいいかな。私とかオルトがいなくなったら一番歳上になるのはルラとルナだもんね。興味があるうちに教えておこう。

とはいえ、台所はルラが作業するには高いところにある。踏み台もないしどうしようかな……

ふと机に目をやった。机の椅子の高さならちょうどいいかも。試しにルラに椅子を持ってきてもらい、高さを見る。

「じゃあここでこの野菜をできるだけ小さく切るんだよ」

私はルラの後ろに回ってルラの包丁を持つ手を支えた。

危なっかしく野菜を切っていくルラ。でも少しずつコツを掴んできたようでさっきよりは安定してくる。

「上手いね、じゃあ手を離すけど、大丈夫?」

ルラは黙って頷く。じゃあ、と言って手を離すと、少し乱れたものの野菜は切れていく。

目を離すわけにもいかないので、じっとルラの手先を見る。野菜は少し時間がかかり、形がいびつになってしまったが最後まで切り終わった。

「じゃあ、それを鍋にいれてくれる?」

私はルラに野菜を掴ませて、鍋の高さまでルラを持ち上げた。

「ゆっくりいれるんだよ。お湯が跳ねるから」

ルラを四回ほど上げ下げして、ようやく野菜がすべて鍋に収まる。

腕が痛い。明日は筋肉痛か。

「ありがとう。あとはくるくる混ぜるだけだから待ってて」

「わたしもまぜる!」

うっ……まあいいか。料理に興味があるうちに練習させよう。

私はルラを再び鍋の高さに持ち上げてルラに鍋を混ぜてもらう。

どろどろしたスープじゃないから焦げ付いたりはしないだろうけど、火傷しないか心配だ。



ようやく出来上がったスープはまあまあの仕上がりになった。

鍋底にあった具が少し焦げたくらいだろう。

「わたしさっきおねーちゃんのおてつだいしたんだよ」

仕事から戻った母に嬉しそうに報告するルラ。嬉しそうだからいいかな。私は腕が筋肉痛になりかけだから明日は持ち上げられないんだけどね。

「やさいもきったんだよ」

その報告をニコニコしながら聞く母、娘が料理を覚えようと娘らしくなってきたから嬉しいんだろうな。

「そう、よかったわね。レネッタもありがとう。またルラに教えてあげてくれる?」

「うん」

「女の子なんだからお料理できるようになろうね」

「はーい」

母の言葉にルラは大きくうなずいた。









日常小話ですね。本編とはほとんど関連がなさげなお話。ここでお母さん初登場となりましたf(^^;

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