年末年始と地元
気付いたら馬車は山道を走っていた。
そろそろ着きそうな頃合いだ。
乗っている人も降りていくばかりなのでだんだん減っていき、馬車の中には私と他八人だけになっている。
長く揺られて疲れたのかみんなぼんやり窓の外を見ていた。
ハセ区に到着したのは昼過ぎ。
馬車を降りると、真冬なのでとても寒かった。
人がいたり私がひっそり暖めてたりで暖かかったもんな。
私は火精霊に頼んで体を暖めてもらう。
レルチェは一瞬ポケットから顔を出したけど、寒さですぐに引っ込んでしまった。
懐かしい景色だった。
普通の精霊使だった頃は時間もあったし休みも取りやすかったから年に数回は戻れたけど、今は全然休みが取れなくて。
にしても全然変わってないな。
真新しい建物も建っていないし、この前来たままだ。
私が住んでいたところはここからしばらく歩いたところにある。
住所も変わってなかったしたぶんいるだろう。
でもこの時間に行ったら誰もいないかな。
弟の手紙によると一番下の妹以外はみんな仕事を見つけて働いているらしいから、昼間でしかも年末だから忙しいかもしれないな。
まあ帰ってきて私がいたら驚くだろうし、それはそれで楽しいかもしれない。
家はまったく変わっていなかった。
母の三人目、最後の男が借りてきてからずっと住んでいた家だ。
母は三人の男と付き合い、私含め六人の子供を産んだ。
一人目は私の父親で、母とはお遊びのつもりだったらしく、母が妊娠したと知るやいなや、どこかに姿を消してしまった。
二人目が一番上の弟オルトとその妹の双子ルラとルナ
彼からすれば母の連れ子の私から見てもいい人で、始めは私にも優しくしてくれた。まあ自分の子供ができてからはそっちに構いきりで最後の方は私の相手なんてしてくれなかったんだけど。
その人は勤め先の事故で死んでしまった。転落死だった。
三人目は一番下の弟アレスと妹ミゼルの父親。
近くにあった商店の跡取りで、妻がいたらしいんだけど、母を愛人として囲っていた。
母もそれをわかっていたみたいだけど、彼からは毎月そこそこの額のお金が送られてきていていて愛人をやめるにやめられなかった。
彼は商店の借金が積もりに積もった結果、本当の妻とその子供、一家総出で夜逃げ。行方は不明だ。
家の扉を軽くノックしてみる。
案の定返事はない。やっぱりみんな出掛けたのかな。
家の鍵は持っているのでそれで扉を開ける。
がらんとしたリビングには余計なものは一切置かれていない。
仕送りは十分してるつもりだけど、もったいなくて余計なものは買わないのかな。
でも生活が楽にはなっているのだろう。掃除は行き届いているし、ゴミ箱に入っている食べ物の袋は普通のお店で普通に購入したものっぽい。
前はそこらの余り物をもらうことも多かったしね。
久々に帰ってきたとはいえ、誰もいないのではすることがない。掃除もしてあるし。
というわけで、私はリビングにあるソファーで寝ることにした。
ずっと馬車に揺られてて疲れて、しかも馬車で寝れなかったしね。
帰ってきて暖かい方がいいかな。
そう思い、私は火精霊に部屋を暖めてもらう。
そしてソファーに寝転がるとすぐに眠くなって寝てしまった。
いつもは土曜更新だけど、旅行の移動の間に書けたので投稿してみました( *・ω・)ノ
休み取れて良かった(*´ω`*)




