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訪問者4

なにやらぶつぶつ言いながらも、ティグルスは大人しくソファーに腰掛けてのんびりしていた。

レルチェに噛まれたのが怖かったのか、それ以降レルチェに近付くこうとはしなかった。

私はようやく最後の一枚を処理済みの箱に放り込み、今日の分の仕事は終わる。まだ少し残っているが、急ぎでもなくそれほど重要ではないので、明日に回しておこう。

机の隅にはレルチェ用に布を敷いてあるから、仕事中で私に相手にされなかったレルチェは丸くなって寝ていた。

することのない精霊たちは何体かだけ残して宮殿の見張りやらなんやらをさせておいた。

昨日のこともあって、まだ何かあるかもしれないから。年のために。

ちらりとカーレル様の方に目をやると、カーレル様の机の上もほとんど片付き、あと数枚といったところか。すぐ終わるだろうな。私よりもはるかに多い量の書類だったはずなんだけどなぁ。

少しして、カーレル様も書類を片付け終えたようで、肩に手を置いてさすっている。

「レゲル君の方も片付いたようですね」

「そうですね。カーレル様は今日は先にお帰りください。後はやっておきますから」

今日の分の仕事は終わったからもう帰ってもいいんだけど、その日出たゴミの処理とか、この辺は補佐官の仕事なのだ。それに今日はティグルスの食べてた菓子のゴミもある。

「そうだ、今日家に来ませんか?ナルシアもレゲル君を招待したそうでしたし」

えっ……いや、遠慮しておきます。あれって社交辞令的なものではないの?本気にはしてませんでした。

「決まりですね、片付けなら終わるまで待ちますから」

カーレル様には決めたらこうするっていう割りと頑固なところがある。断らせる隙も与えない。こういうのは仕事で使ってくださいよ。

それにカーレル様は私の予定も大体把握してるから、私が今日特に予定もないことを知ってるんだろうな。

それにカーレル様の家は王都内にあるから近い。私が寝泊まりしてるところも王都内だから、何かあってもすぐ帰れる。

「えっ、レゲルも家に来るのか?」

ティグルスはなんとなく不満げだ。まああんまり気も合わないし、当然の反応だろう。

「えーと……」

私は片付けを始めようとした手を止める。断りたいけど断らせる隙がカーレル様には全くない。

「用意に関しては一人や二人増えたところでそう問題ではありません。昨日のことも私からはろくに礼もしていませんから」

「お礼なんて……やるべきことをしただけですよ」

「そんなこと言っていないで、早く片付けを終えてください。すぐ終わるでしょう」

断り方がわからない。どうせ断れないんだからこれ以上何も言わないでおこう。

私はそう決めて片付けを再開した。

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