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王太子と精霊王

シャヴィム殿下視点

レネッタを追ってアリュを出てから23日が経っている。通常10日以上かかる航路であるのでほとんど移動時間とも言えるが、いずれにせよ王太子として予告なく国を長期間留守にしたのはまずかった。

事の説明に残っていた襲撃の後始末、すっぽかしたことになった諸々の予定に関する謝罪と予定の調整。

もっとも、今回ダルネミアで得る事のできた収穫はそれらを全て合わせても釣りがくるくらいだったから、それだけの苦労で済んだとも言えるのだが。

今回の件で得られた最も大きいものは、アリュとダルネミアとの間で交わされた友好条約だ。これまで停戦協定止まりだった大陸とダルネミア帝国の間に確かな国交が生まれた。噴火の時のレネッタの活躍もあってだろう、ダルネミアの提示した条件は非常に良いものだ。

現時点でダルネミアとの間で停戦協定や貿易関係以外の条約を結んでいるのはアリュだけであり、さらにダルネミアは、その中で大陸の国々の中でアリュがもし戦いになった場合に援助を行うことなどが明記した。これはアリュがダルネミアという大帝国の後ろ盾を得たということであり、大陸の他の国々に対する牽制としてこれ以上のものはない。

さらに、今回の件はで公になっていないものが多く、ダルネミアにとっても秘匿したいことは多い。それに関し口をつぐむことで、ダルネミアに多大な恩を売ることもできた。

帰りの船の中ではほとんどずっと今回の事の顛末を報告書にまとめていたが、レネッタには感謝しなければならない。

彼女が拐われたおかげと言うと聞こえは悪いが、その通りだから仕方ない。

ダルネミアの今回の措置は彼女のためと言っても過言ではないのだから。

『良いことがあったはずであるのに、主人殿はなぜ浮かぬ顔なのだ?』

すっと横から顔を出し、精霊王が問いかけてくる。

ダルネミア帝国との間のことに関してはいいことずくめだったと言える。そうだ、これは個人の問題だ。

戻ってくるレネッタには詫びなければならない。

アリュに戻った時、他の貴族たちからの追求が、それはそれは凄かった。

突然ダルネミアに向かい、戻ってきたと思ったら手土産はダルネミアとの友好条約と精霊王だ。何があったのかという追求は緩まらず、話すことのできる内容を選んでいた時、レネッタについて聞かれた。

確か、冗談交じりに言われた「ご結婚でもなさるおつもりですか」とかいう質問に対し、何を思ったか「返答次第ではしたいと思っている」と返してしまったのだ。

我ながら軽率な発言だったと思う。当然、返答次第ではというのは事実で、彼女の功績を考えれば婚姻は決して不可能ではない。しかしあの場で言うべきではなかった。

『夫婦とかいうものになれば、一生一緒にいられるのだろう?てっきり妾は主人殿が妾の望みを叶えてくれるものと思っておったが』

精霊王の望み。そう、ダルネミアに向かう船が嵐に遭ったあの時に、私はこの精霊王と契約した。

1話1話が短いということもあり、各話をその日の1時間おきの予約投稿にしていきます。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

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