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告白4

「えっと、その、ちょっと……えーっと……」

一方、ユアリスは文になっていない声のようなものを並べている。完全に混乱しているようだった。

「姉上、いくら何でも急すぎでは?」

さすがにサグアノがそれを見かねて助け舟を出すが、エルティナ様は全くやめるつもりがないらしく、さらにユアリスに詰め寄った。

「嫌よ。だって逃したくないもの」

「ですが、彼はもうすでにレネッタのことが好きだったのでしょう」

「……もちろん好いた殿方に想い人がいて、その方は我が国の恩人であるのは知っていますわ。お互い思い合っているのでしたら私は喜んで身を引きます。でも、それが私の想いを伝えない理由にはなりません」

エルティナ様は毅然とそう言い放つ。もう、この方かっこいい。

「ですが……なぜ彼なのです?」

サグアノが戸惑いを隠せない様子で言う。

それは私も気になっていた。ユアリスはアルとほとんど一緒にいて、あの噴火以降は被害に遭った場所で手伝いをしたりと何かと忙しくしていた。エルティナ様も王族として噴火の後始末のために動いていたはず。

ユアリスに惹かれる何かがあったのだろうか。

「レネッタさんのドラゴンの世話をしていた彼を見ていたの。お話もしましたわ。そして思いましたの、あ、この方だと」

うっとりとしながらエルティナ様は続ける。さっきよりもっとユアリスとの距離は近くなっていた。

「私の第二の人生ですわ。その伴侶として、ユアリス以外考えることができなかったの。ドラゴンについての趣味も合いますし」

戸惑いのあまり放心状態だったユアリスも、エルティナ様の熱烈な求婚に、徐々に頬を染めていく。

まあ、公衆の面前でこんな事されたら恥ずかしいというのもあるのだろうけど。

「姉上、せめて本人の意思を尊重しませんか」

「未来の旦那様の意思ですもの。尊重しますわ」

……話が、かみ合っていない。

エルティナ様の中ではもうユアリスと結婚するのは確定事項となっているらしい。

まあ、ユアリスの友人としての立場から言えば、身分とかは置いといてお似合いだとは思う。

エルティナ様は見ての通りぐいぐい行くタイプの方で、ユアリスは押されて何だかんだ落ち着くタイプ。

実際、竜騎士なんて一見花形だけど中身は超ハードな場所に叔父の勧めで入って、そのまま落ち着くくらいだ。

「それでもいきなり婚姻は早すぎるでしょう。せめて互いに話し合いなどをするべきでは?」

このままでは事が進んでしまうと慌てたサグアノがそう言うと、エルティナ様は少し不服そうにしながらも頷いた。

「……そうね。ユアリスの今後を決める事ですもの。慎重にするべきね。ありがとう、サグアノ。少し落ち着いたわ」

エルティナ様はがしっとユアリスの腕を掴む。

「お父様も交えて真剣に話し合いますわ。一度皇都に戻りましょう」

突然すぎる展開に、さすがにユアリスが声を上げた。

「ちょっと待ってください!そんないきなり……レルチェの事もありますし……」

レルチェの話になったところで、エルティナ様は思わずといった様子で手を緩める。

「そうね。ここからアリュにレネッタさんのドラゴンを連れて行くのでしたわね。ごめんなさい。私、自分の事で頭がいっぱいでしたわ」

そうだ。ここでユアリスが連れて行かれてしまうと困る。一応、ダルネミアに連れて来る事ができたのだから航路は大丈夫なのだろうけど、詳しい人にいてほしい。

エルティナ様の反応に、ユアリスはほっと息をついた。

そして、

「でしたらこれから私も一緒にアリュに向かいますわ。ユアリスのご家族にもご挨拶したいですから」

その間にお話はできますわね、とエルティナ様は微笑んだ。




少女漫画みたいに糖度の高い恋愛ものに挑戦してみたくはあるのですが……向いてない気がするので特に出すこともなく勝手に封印しています_:(´ཀ`」 ∠):

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