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手紙と従者の告白

アルとユアリスはしばらく話をしていたが、私が小さくあくびを噛み殺してしまったものだから今日はこれくらいでと言い残して出て行ってしまった。

あれだけ寝ていたのに眠くなったのは事実だけど、せっかくきてくれたのに申し訳ないことをしてしまったな。

去り際にアルが懐から手紙を二通取り出して横の机に置いていった。片方はイグルドから、もう片方は王太子殿下からだという。

さすがに手紙くらいは持つことができるので、両方を手に取って眺める。

起きてから読めばいい手紙ということは、急ぎということではないんだろう。そう思って話をしている間に戻ってきていたエーシャが運んできてくれた粥を食べた。

そして再び手紙を手に取って、片方の封を切る。

二人とも一足先にアリュに戻っていったようだ。まあそれぞれ仕事もあるだろうし仕方ない。

イグルドについてはエルティナ様からすでに話を聞いていた。逆賊として捕らえられたカラルドに私の居場所を売ったらしいが、同時にそれをダルネミア王家にも話して、売った金は今回の災害の復興費用として全て返還したそうだ。まあ結局、彼は彼なりに立ち回っていたということなんだろう。結果的に事態はこうして収束したわけだし、文句を言う気は全くない。

開けてみたイグルドの手紙の最初の方は、そのことについて書かれていた。

その次には、いくらか私に対する文句らしいことが書かれている。

『忠告はしたはずだが、まあお前らしいといえばお前らしい。結果的に精霊王の件もダルガ山の噴火の件も片付いたからいいものの、拐かされるのもこれで最後にするように。カーレルの苦労がわかる気がするよ』

いったいどういう目線からの意見なのかわからないが、とりあえずこれ以上攫われたりするなと言いたいのはわかる。こちらとて好きでさらわれてるわけじゃないんですが、まあ今後はより一層気を付けますよ。

今回はゼイドという予想外の能力を持った精霊使いがいたとはいえ、逃れる術はいくらかあったはずだ。言葉で脅されてしまったのもよくない。それが正しいのか単なる口先だけの言葉である可能性もあるのだから。

気を取り直して続きを読む。案外短い手紙だった。

『ここに書いてあることは大きな問題に繋がるわけではないが、第三者に読まれるのは避けたい。読み終えたら燃やしてほしい。もし内容を忘れたりしたら俺に直接聞いてくれ。そのためにもアリュにちゃんと戻ってくるように。体調がよくなってからで構わないが、カーレルも心配している』

手紙はそう締めくくられていた。

読み残した部分がないか確かめるためにもう一度読んで、私は書いてある通り手紙を燃やした。灰は風精霊に屑入れに入れてもらう。

ふうと大きく息を吐いて、私はあまり動かない自分の手を見た。

今はこんなだけど、2日もすれば普通に動くようになっているはずだ。アリュに戻るには十分だろう。私が起きたという連絡も、しばらくしたらアリュに伝わるはずだ。

拐われて突然連れてこられたから荷物とかはないし、アリュに行く船に乗ればいい。運賃とか旅費は、これくらいダルネミアから貰っていいよね。連れてこられたわけだし。まあ状況が状況だから返せと言われたら返してもいい。その時は復興の寄付としてお返ししますよ。

だから帰路については心配しなくていいだろう。とりあえず帰って、今回のことを報告したりしなければならない。

先に戻った二人がほとんど説明してくれているだろうけど、私は私で色々言われることは覚悟しておかなくてはならない。ガゼフ大臣とかセブリーヌ大臣辺りに色々言われるに違いない。

いい感じに説明してくれている地いいんだけどな、と淡い希望を抱きながら、私はもう一通の手紙……王太子殿下からの手紙の封を切った。

就活始めるまでに(大筋を)終わらせられますようにと初詣でお願いしたけど、難しそう(・・;)

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