表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
235/276

事後報告

目を開けると、また知らないところで寝ていた。

なんだかこの頃、倒れて知らないとこで起きるのが多い気がするのは気のせいだろうか。

そして例のごとく身体が重い。空気に重さがあるみたいだ。

起き上がるのも、指の先を動かすのもできない。

というか、今起きたということだけでも疲れてしまった。明るさ的に、もう朝か昼だな。

『主人!目を覚ましましたか!』

嬉しそうな声が頭に響く。次々に声をかけられるからか頭の中で反響してるみたいでくらくらする。

お腹空いたなぁ。そんなことを思いながら、再び瞼が閉じていくのを感じていた。



再び目を覚ますと、見知らぬ女性が私を見下ろしていて、その人とばっちり目が合った。

「あら、お目覚めですか」

肌は浅黒く、どうやらダルネミアの人らしいというのはわかる。綺麗な人というよりはなんだか色っぽい人だ。私が着るのを諦めたダルネミアのやや露出度の高い衣装を着こなしている。それなのに下品にならずむしろ上品にすら見えるから不思議だ。

少しばかり目のやり場に困っていると、女性が微笑んで言った。

「私はエルティナ。サグアノの姉ですわ」

サグアノの姉ってことは、王族か。さすがに何も返さないのはまずいかと思って挨拶しようと口を動かしたが、唇がちょっと動くくらいで音すら出ない。

「構いませんよ。だってあなた、8日間も眠ったままだったんですから。昨日少し目を覚まされたのにすぐまた眠ってしまわれましたし」

言われてみれば確かに一度目を覚ました気がする。

というか私、8日も寝てたの?

「サグアノもゼイドも今回の噴火の後始末で忙しいですし、目を覚ましたあなたに状況を説明する者が必要でしょう?」

まあ確かにそれは有り難い。今回私が関わったことについての説明は使用人とかでは無理だろう。それこそ精霊王のことなんて、知っている人間が限られている。説明できるのは王族かそれに準ずる人くらいだろうし。

「それにしても、レゲルさんだった頃に何度かお会いしていますが、覚えられていなかったのね。残念」

え、ああ、言われてみればこの人見たことあるかも。ダルネミアに行ったとき、歓迎の酒の席で見たなぁ。いくら服が見慣れないからといって一国の王女様をあまりじろじろ見るのは失礼思ってあまり見ないようにしてたんだ。あと精霊使いとして珍しがられてたのか、言っては悪いが似たような女性に声を結構かけられていたから一人一人覚えていないんだ。

「ダルネミアにはレゲルさんのような殿方はいませんわ。線が細くて色白で柔らかな物腰。ダルネミアの殿方は粗野で無骨。レゲルさんとは大違いですもの。男だったあなた、結構な数の女性に狙われていましてよ?」

何その知りたくなかった事実。確かに声はかけられてたけど、物珍しさからだと思ってたよ。

「かくいう私もお慕いしていましたのに、全く気付かれていないどころか覚えられてすらいませんでしたのね。まあ、はじめは精霊王の件があってのことでしたが」

なんかもうすみません。声は出ないし身体も動かないからとりあえず心の中で謝っておこう。

「色々お話ししたいことはありますが、目を覚まされたのですから医者を呼んで、それから軽い食事をお持ちしますわね。お話しはその時に。サグアノにも声をかけておくわ」

食事、と聞いてすごくお腹が空いていることを思い出した。8日間も寝ていたんだから当然だけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ