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書架の裏側

アリュ王太子(シャヴィム)目線

ダルネミアへの使者を乗せた船が出ていってから四日後の朝、普段ならまだ起きていないような、微妙な時間に目が覚めた。

もう少し寝ることもできるが、目が冴えてしまいあまり眠くはない。

どうしようかと、とりあえずソファに座りぼんやりと机を眺めていたら、一冊の本が目に留まった。

なんて事のない精霊に関する本だ。精霊と契約したから何を学んだ方がいいかと思い王宮の書庫から取ってきた本。

まあ実際は取ってきたはいいが時間がなく読めていない。執務用の部屋に置いておいたのを書類と一緒に昨日の夜持ってきたのだ。

なんとなく表紙をめくり、パラパラと適当にページをめくっていると、あるページでなにかに引っかかったようにページが動かなくなった。

見ると、一枚の紙が挟まっていた。

『王宮の奥書庫で、お一人でエワールの手記をお読みください

イグルド』

奥書庫といえば、王族とごく一部の者のみしか入る事のできない、王族にまつわる貴重な資料や書物が保管されている場所だ。

そんなところにある本を読めとはどういう事だろうか。しかも最後に書かれている名前は、四日前にダルネミアへの使者として出発したイグルドだ。彼が僕に残した手紙という事だ。

まさか、彼が最後に僕の執務室を訪れた六日前からずっとこれに挟まっていたのか?それともその前か……

この誘いは何かの罠だという可能性は否定できない。しかし、イグルドはレネッタの上司であるカーレルが推した使者だ。信用しているし、信用しなければならない。

だが、一人でとわざわざ明記しているところが気になる。聞かれたくない事であるのはわかるが、これでも一応一国の王太子であり、勝手に行動すべきではない。

イグルドに直接尋ねようにも、本人は今頃船の上だ。

出発の前に口頭でなくいつ気付くかわからない紙で残したということは、イグルド本人ではなく他の人物か次の手紙に誘導する手紙だと思うが、果たしてどうなのか……

これをどう受け取るべきか、そう思っているうちにすっかり夜が明けてしまった。

何かわかるかもしれないとオスルを呼び寄せているが、いつ頃こちらに到着するかはわからない。少なくとも今日ではないだろう。あれから全く進展はない。

当のメイド、カネラが原因不明の高熱で倒れ、話を聞くことのできる状態でないからだ。

いったい、今回の事に何が隠されているのか。

この手紙がこの状況を変えるなら、賭けてみてもいいかもしれない。




しばらくこの方のターンです

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