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作戦と嵐3

『ようやくですね。どうすればいいですか?』

精霊たちが貯めに貯めた力がようやく使えると、嬉しそうに言った。

ゼイドの精霊はどうやら壁の中にいないらしい。壁を張っておいて自分は中に入れないのはどうかと思うけど、まあ好都合ということで。

私は扉とは逆の壁に向き合って、その一点を精霊たちに指し示した。こちら側なら穴を開けたらすぐ外に出られる。出たら水精霊とかに助けてもらって海に入り、適当な別の大陸に向かいそうな貿易船に乗り込もう。しばらくその船のどこかに隠れて、万が一見つかったら事情を説明する。

外は嵐だし、うまいこと行方をくらませばもしかしたら死んだと思われるかもしれない。

私は大きく息を吸い込んで精霊たちに声を出して命じた。

「壁を破って」

『はい、喜んで!』

精霊たちの返事のタイミングが全く同じだった。なぜとかは思わないけど。

主な指示である壁の破壊は声に出して、他の細かい指示は意思で送る。

この壁の性質はおそらく精霊の力が力として発揮される前に吸収するというもので、溜め込まれた分は吸収されない。

なのでまずは光精霊や闇精霊の人間からすると可視的な力を使ってもらう。直接壁を攻撃できない力を始めに吸収してもらって、次の直接攻撃の際に奪われる力をできるだけ少なくする。

全く光も闇も発生しないから、この二体の力は全部吸収されているんだろう。これは予想していた。

問題は次、火や水、氷、雷の攻撃を間を空けずに放ってもらう。これで破れなかったらもう諦めるしかない。精霊は疲れ果てるだろうから、私もほぼ無力になる。何かあっても対抗できない。

それに、これまでそう手荒な扱いとかを受けてこなかったのは、私がそれなりに大人しくしてきたからだ。ここまで派手にやってしまってはさすがに扱いが変わるだろうな。

でもここまで来たら後には引けない。

私は精霊たちの方へ意識を集中させる。しばらく何も起こらなかったが、やがて少しだけ変化が起こった。

細く弱々しい火と雷、そして冷たい霧が船の壁に当たっていた。

久しぶりに自分の精霊たちの力を見たな。かなり弱いけど、なんとなくほっとする。

不意に、どこからか何かが割れるような音がした。

その瞬間、精霊たちの抑えられていた力が一気に強まり、火は炎になり、弱々しい雷は稲妻に変わる。

私は水精霊と氷精霊に攻撃を止めるよう指示した。このままだと火に水をかけてしまうことになる。それに水精霊にはこれから移動のために力を残しておいてほしいし、氷精霊には酔って寝ているサグアノとゼイドを拘束してもらいたいから。

木材が黒ずみ、焦げた臭いが辺りに漂い始めた時だった。突然後ろで何かが弾ける音がして思わず私は振り返る。

「悪いな、僕も酒には強い。ゼイドは……見ての通り酔い潰れてるが」

サグアノが困ったように笑って立っていた。

この前(投稿時)船に乗りました

停泊してるのに常にゆらゆら揺れてて階段とか降りるの不安になります

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