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作戦と嵐

レネッタ視点です

一度甲板に出してもらってからは、サグアノかゼイドのどちらかに頼めば割と簡単に外に出してもらえるようになった。

だから今、私は甲板に出ている。

このごろはようやく島が見えてくるようになり、少々遠いが他の船も何隻か見かけた。帝国本土までだいぶ近づいてきたらしい。

そして私の精霊たちも力をだいぶ貯めることができたらしく、このごろはむしろ力が許容量以上になって少しずつ放出している。

ゼイドの神精霊による壁は私の精霊の話から、精霊の力を火や風などに変化させる時に使う力を壁が吸収するものだということがわかった。

だから力でゴリ押しして、壁の吸収できる分以上の力をぶつける。力の量では私の方が彼より勝っているはずだ。たぶん破れる。

問題はその後だ。自由になったとして、どこに逃げるか。この海のど真ん中で自由になったところで逃げられないし、足がうまく動かない私はすぐにあっさり捕まるだろうな。幸い、知り合いがこの辺にいることはないだろうから誘拐された時のように人質を取られたりする可能性は低いから精霊はそれなりに自由に動かせる。それを利用すれば逃げられるかな。

さて、それでどこに逃げようか。帝国本土なら何人か駐在してるアリュの人がいるだろう。そこに逃げて事情を話して匿ってもらおうか。

作戦を細く考えているうちに、ここを脱出したいという思いは強くなった。戦争になると脅されたが、これが上手くいけば回避できるかもしれない。

流れに身を任せていては駄目だ。その様がまさに、今の私なのだから。

「……何を考えているのか知らないが、そろそろ戻ってくれ。今夜あたり嵐が来るそうだ」

私から少し離れたところで船員と会話していたサグアノがいつの間にか戻ってきていた。

「嵐ですか?」

嵐というか、天候が荒れたことは何度かある。酷い揺れな上外にも出ることができず、大いに酔ったな。それがまたかぁ……嫌だ。

というか天候が荒れただけであれだけ酔ったんだ、嵐ってどれくらい揺れるのだろう。

「ああ。しかもこれまでより強い。それで安全のため今夜は近くの港に停泊することになった」

「そういうことですか。嵐が過ぎるまで部屋にいろと」

「そうだ。君がただの精霊使いだったら港の宿に宿泊させていたが、あの補佐官様となってはそうもいかない。嵐の中申し訳ないが、この部屋に泊まってくれ」

まあそうなりますよね。私の部屋の壁はゼイドが相当時間をかけて作ったんだろうな。そんな感じがする。だから宿に壁を張ってる暇なんてないんだろう。

「今のように部屋に精霊を残してくる、というわけにもいかない。離れているうちに万一逃げられでもしたら困るからな」

事情はわかった。今の所嫌なのは嵐で大揺れする船で一晩過ごすということだ。絶対寝れない。

「お二人はどうするんです?」

「僕とゼイドもここに残る……ああそれで、夕方には港に着くから欲しいものがあれば今のうちに言ってくれ。それなりに大きな港町だから大概のものは揃う。食べ物もそろそろ違うものが食べたいだろう」

確かに少しは飽きた。香辛料を変えてはいるけどベースのものが毎回一緒だからなぁ。食べ物に飽きるなんて、贅沢な体になってしまったものだ。

「パンが食べたいです。それと新鮮な野菜」

主食は米料理もいいけど、どちらかというと食べ慣れているのはパンだ。航海中は保存のきかない葉物のものはなくてあったとしても乾燥させたもの、あのシャキッとした食感が懐かしい。

それにしても……今夜の嵐の間はほとんどこの船の人はいなくなる。精霊たちの力も溜まっているし、こんないい機会はたぶんもう訪れないだろう。

やってみる価値はありそうだ。

「そうだ……あとお酒が飲みたいです」

夏休み終わってしまいました

久々の大学、大変とか思わず楽しくやっていけたらなと思います


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