反省会2
前回に続きアル目線です
呼び出されてから三日後、俺とリフィアル嬢は王宮の片隅、ちょうどレネッタの部屋の窓が見える部屋にいた。
あの時リフィアル嬢が提案した計画……計画というほどのものではないが……はこうだ。
どうにかして自分たちの精霊をレネッタの精霊に接触させ、本人から直接面会の許可を得る。それだけだ。
衛兵やメイドに尋ねようにも部屋に行く前に門前払いを食らうし、その時に噂とかになったら大変だ。リフィアル嬢単体ならともかく、俺みたいなのと一緒にいるって噂されたらリフィアル嬢のためにもよくない。
そんなわけでお忍びかつ、きちんと本人と連絡をとる手段としてこうなった。
リフィアル嬢のお付きのメイドは事情を話してあるため、何も言ってはこない。
王宮のメイドは数名を買収したとかしてないとか。
「私の精霊の話によると、精霊があちこちから寄ってきていて近づけないそうです。たぶん私たちの精霊もその辺りの精霊と思われてレネッタ様の精霊に追い返されますわね。さすがレネッタ様」
なんとなく予想はしてたが、やはりそうとなると困る。強行突破する手もあるが、それで騒ぎになるのは避けたい。
「レネッタ様の精霊は話を聞いてくれる精霊でしょうか」
「精霊は主人以外はほぼ眼中にないっていうし、あいつの精霊は特にそうかも。探すように言われた人間ならまだしも、それ以外はただの人扱いだろうし」
正直なところ、レネッタと彼女の精霊のことはよくわからない。
本人がなんとなくやってのけることには、普通の精霊使いにできないこともざらにある。王都から故郷のハセ区まで精霊を飛ばせると言うが、普通は王都の周辺、良くて近くのケラセレ区までだ。
それ以上は精霊との繋がりが切れるような、そんな不安に苛まれ、とても平常心でいられなくなる。
できるコツとかがあるならぜひ教えて欲しい。たぶんそれだけで仕事には困らなくなりそうだ。まあ俺は困ってないけどさ。
「とりあえず一度送ってみます。それでダメなら他の手段でいきましょう」
「わかりました」
精霊にレネッタの精霊に伝えてほしい伝言を言い、俺たちは彼らを送り出した……が、すぐに追い返されて戻ってきた。
やはり無理だったか。一応彼女の精霊は俺の精霊の顔とか知ってるはずだけど、大勢の精霊その二くらいの扱いだったようだ。
「困りましたわね」
「さすがとしか言いようがないですね」
しばらく沈黙が続く。
どうするべきか悩んでいると、俺とリフィアル嬢、そしてそのメイド数名しかいない静かだった部屋で突然物音がした。
メイドの立てた音かと思ったが、違うらしい。
誰も使っていないしレネッタの部屋が見やすいというわけで勝手に使っているのだが……
確かに急いでて、部屋はまったく調べてなかった。
音の元は部屋の隅に設置されていたクローゼットの方だった。
『中に人がいます。縛られていて、主人の邪魔になることはないと思って黙っておりました』
そういうことか……って、縛られてるってどういうことだ!?
慌ててクローゼットの扉を開けると、確かにそこには二人の男がいた。しかも顔見知りの、王宮の騎士だ。どういうわけか、鎧を脱がされシャツとズボンだけで縛られて眠っていた。
「大丈夫か?おい!」
「お知り合いですか?」
クローゼットの中を覗き込み、可愛らしい顔を引き攣らせながらリフィアル嬢は言った。
メイドたちは動揺しながらも落ち着いた様子でどうするべきか話し合っている。
「顔だけなら……確か、レネッタの部屋の前の……」
その後の言葉が続かなかった。
なぜ彼らが縛られてここにいるのか、考えるまでもない。
「レネッタ様が危ない……?」
事態を察したリフィアル嬢の声はか細く、震えていた。
ワ◯ダーコアが欲しい
腹筋が欲しい(切実)




