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友人の来訪4

「そこからということは、やはり何も言わずにこの二人を呼び出したのか」

カーレル様の驚きの発言の後、真っ先に口を開いたのは事情を知っていたらしいシャヴィム殿下だった。

宰相の補佐官の認証には宰相と王族、補佐官の承認が必要になる。

私の時は確か陛下だったな。先の補佐官は病気だか何だかでいなかったけど。

とりあえず、王太子であるシャヴィム殿下がここにいる意味と、二人がここに来た理由はわかった。

でも……

「資料は読んだし、あなたの考えもだいたいわかるが、この二人以外にも人材はあるぞ」

どうやらさっきまで殿下が読んでいたのはそれだったようだ。

殿下の言い方は悪いけど、それは私も知りたい。

アルは確かに優秀な精霊使いではあるが、言ってしまえばそれ以外は特にない。私の場合はそこが出来過ぎたからここにいるんだけど。

ユアリスは竜騎士でかつ精霊使いというけっこう珍しい人材だが、机仕事が苦手だと聞いている。現場で働く方が好きなタイプらしい。

それに、竜舎から離れることになれば世話しているドラゴンとも滅多に会えなくなるので、彼にとっては辛いだろう。私もレルチェの世話を他の人に頼まなければならなくなる。

この二人よりも補佐官に向いている人材は他にもいるだろう。なぜこの二人なのか。

それに、殿下の言うカーレル様の考えって、どういうことなんだろう。

「知り合いの方が彼女の気が楽かと思ったので。それに、女性となるとそろそろ身を固めないと困るかと思いまして」

そう言ってカーレル様はとてもいい笑顔で私の方を見る。

これは、カーレル様流の仕返しですか?

騙してたことは悪いと思ってますし、仕返しされても何も言えませんけど、これはないでしょう。

情報元はティグルスだろうな。何を言ったのか知らないが。

「ちょっと待ってください。私はけ、結婚とか、するつもりはありませんよ」

そもそも貰い手がいませんよ。

仮に、本当に仮に、誰かと付き合ったとして、まず親に認めてもらえませんよね。貴族なら尚更。

「だから言っているんです。こうでもしないとあなたはこれらのことからずっと目を背け続けるでしょう?」

これらの、こと……?

いったい何のことでしょうか。婚期を逃すとか、そういうことから逃げてる自覚はありますが、それは私の勝手ではないでしょうか。男に頼らず自活できるくらいは稼げてるし、蓄えもありますけど。

仕事辞めても田舎でひっそり暮らしていけるくらいはありますよ。たぶん。

足が悪くても精霊のおかげで食べるのには困りそうにないし。

「カーレル……その言い方ではわからないと思うぞ」

頭に疑問符を浮かべる私を見かねたのか、殿下がカーレル様に言った。私もうんうんと頷いてみる。

っていうかその言い方、殿下にはわかってるってことですか?

「まあ、このお二人次第です……ああ、既に気が変わっているのでしたら何も言わなくて結構ですよ」

殿下の言葉に、そんな曖昧な返事でいいんですか?しかも途中でアルとユアリス方を見て言ってるし。

それに、ますます意味がわからなくなりました。

アルとユアリスがどうかしたのだろうか。

彼らが私……アルは私の『妹』に、ユアリスはなぜか女の私に、気があったくらいしか知りませんが。

思い出したら恥ずかしくなった。二人ともここにいるし。

「私と殿下のことを気にする必要はありません」

カーレル様はまた意味のわからないことを、妙にニコニコと明るい笑顔で言った。








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