襲撃3
「 やっぱり、レゲル様はすごい人だ。上の人が欲しがる理由がわかります」
カイは私の言葉を聞いていないのか、一人でなにかを呟いている。
「一度も僕は精霊に意識されたこと何てなかった。見えるだけで、どれだけ気付いてもらおうとしても無駄だった。まるで僕なんていないように振る舞うんだから」
そう言うカイの表情は暗い。周りの精霊の目など、気にしていないかのようだ。
「カイは……私のことが嫌いなの?」
ふと、そんなことを思い、聞いてみる。
「……レゲル様にはわからないでしょうね。どれだけ話しかけても精霊に無視されることなんてなかったんでしょうから」
カイは好きとも嫌いとも言わない。
ただ無表情に、淡々と言葉を発した。
「上にはこうも言われました」
そしてちらりと自らの持つ剣に目をやる。
「手足の有無は問わない。生きて、意識がありさえすればいい」
唐突に恐ろしい一言を発した次の瞬間、カイは私との距離を一気に詰めて剣を私の足に突き立てた。
今までに経験したことのない痛みに、私は膝をついて崩れ落ちる。
左足の太ももを剣が貫通しているらしい。
怪我は散々してきたが、ここまで酷いのは初めてかもしれない。
「大きい血管は逸らしたはずです」
カイはそう言うが、剣の抜かれた傷口からは血が流れる。腕を斬られた以上に血が出ていた。
しかも、妙な痺れまでする。
気付けば、会場中の全ての視線がここに集まっていた。
夜会の参加者も警備の人員も、ゲーテの人間でさえもこちらを見ているような気がした。
魔物は倒したのだろうか。にしても、ゲーテはどうやって魔物をこういう風に兵器のように扱えるようにしたのだろうか。
確か、魔物は暴れてはいたがゲーテ側の人間に対しては関心を示していなかったような気がする。
考えていたら、次第に意識が朦朧としてきた。
視界はぼやけ、どこにも力が入らない。
「精霊に僕を攻撃させたいならさせればいい。僕の目的は彼を殺す事なんですから。そうすればこの場に残るのはあなただけ」
そう言ってカイが動くのがぼんやりと見える。
後ろの殿下を殺す気だろうか。
「やめ……」
口すらも思うように動かなくなっていた。
「下手に動かない方がいいですよ」
もう、どこからカイの声がするのかもわからない。
精霊たちが、私の命令を今か今かと待っているのは伝わってくる。
でも少しでも思ってしまえば全てが終わってしまうから、私はひたすらやめるようにとだけ念じ続けた。
意識が途切れる直前、私は目の前で眩しいなにかが弾けたのを見た。
前期試験終わってるぅ(;・ω・)
予約投稿分のストックも……
いつから予約投稿したのかこのころもう記憶になさそう
これ以前のあとがきはみんな未来日記だからなぁ……(丿 ̄ο ̄)




