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襲撃2

「オスル、か……」

私の隠し事を知っている人物で、カイたちに教えて得をする人物。

「彼……だけだと思いますか?」

そう言ったカイの笑みを見て、とても嫌な予感がした。

背筋が凍りつくような、考えたくもない可能性。

「……何をした?」

自分の声が震えているのがわかる。そうであって欲しくないと願いながら私はカイに訪ねた。

「レゲル様のご実家の周りに人を配置しました」

カイの返答は私の予想を裏切ることののないものだった。

「レゲル様の返事次第では、ご実家に勝手にお邪魔させていただきます」

……今まで、そんなことをされたことがなかった。

だから勝手に、あるはずがないと思い込んできていた。

「ですから、僕たちの……」

カイの言葉はそこで止まった。

驚いたように空を見回して、わずかに怯えた様子を見せる。

そこには、私の感情の高ぶりを感じ取った精霊が集まってきていた。

カーレル様の方にいるように命令した精霊たちもやって来ている。

全員が冷ややかな目でカイを睨んでいた。

私がそうするよう命じれば、全員でカイに向かって攻撃を加えるだろう。私はそう確信する。

この場にいた精霊使いらしき人々は、この異様な状況を察したのか、動きを止めていた。

私の命令を待つかのように、精霊はカイだけを見ている。

……ダメだ、怒りに流されてはいけない。

精霊たちが一斉に攻撃を始めるようなことになれば、殿下だけじゃない、他の大勢を巻き込む大惨事になる。

「やめなさい」

私はなんとかその一言を口にした。

精霊たちは、なぜと言いたげな表情を私に向ける。

その中に、私は強い精霊の姿を見た。

彼ならきっと……

私がその闇精霊に呼び掛けると、彼は私の前に飛んでくる。

その真っ黒な瞳に私の顔が写った。

『名前を教えてください』

……はい、もちろん。

私は自分の名を精霊に伝えた。

今は夜。闇精霊にとって最も活動しやすい時。しかも、風も強い。

「風精霊について私の家に向かい、私の妹と弟を守りなさい」

心と口で命じる。

私の命令に闇精霊と風精霊は大きく頷き、一瞬でその姿を消した。

本来は心で呼び掛けて命じればいいが、口に出し、心でも呼び掛けることで精霊はよりその力を発揮する。

だが、これは一つ間違えれば精霊の力を制御できず、暴走につながるため、滅多にする人間はいない。私でさえも、命令を口に出すことはしたことがなかった。

「……すごいですね。あなたが怒るだけで、こんなにも精霊が集まるだなんて」

カイの顔からは笑みが消えていた。

「それならその剣を下ろしなさい。私が精霊に命じてしまう前に」

彼を殺したくないという思いも、心のどこかにあった。

年齢が弟に近いからなのか、そうしてしまったら絶対に後悔する。


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