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誤解と花火2

この花火大会は王宮からでも見えるように行われているので、お喋りに花を咲かせていた貴族もそちらの光景を眺め始め、会場は少し静になり、花火の音がさらによく聞こえるようになりました。

「……彼とは友人です。これからもずっと」

とりあえずぼかそう。友達であって、それ以上じゃないから。察してくださるならそれで構わないし、シャヴィム殿下がそこまで深く追及してこないことを祈るばかりです。

「そうか。まあ、別にどうであろうといい。その辺りのことは個人でどうにかするものだ」

あれ?何か勘違いされた?

……ぼかして言った私も悪いですけど。

まっ、これ以上追及されなかっただけよしとしようかな。

もうこれで話とやらはおしまいかな。そう思っていると、殿下が再び口を開きます。

「ところで、レゲルは今いくつなんだ?」

「は……?えっと、今は二十ですが、何か……?」

五年前に精霊院に入って、そのあと二年で補佐官になり、今に至りますが、なにか?

ちなみにもうすぐ二十一になります。

「いや、本当に結婚する気はないのかと思たからな」

「一生独身でもそう困りません。本気で一緒になりたいと思う女性が現れたら別ですが」

もちろん、あり得ませんけどね。

これはきっと、フェターシャ嬢のことを気にしてるんですね。

なんなら、お手伝いしますよ。裏からこっそりになりますが。

「ですから、フェターシャ嬢には申し訳ありませんが、今回のことはお断りするつもりでいます」

そう言えば、クラヴィッテ殿下はいったいどうなさっているんだろうか。あんまり考えたくなかったから考えてなかったけど。

「……家柄も容姿もすばらしいのに?」

「結婚出来るかどうかはまた別です」

でも私がほんとに男だったら、たぶん受け入れてたと思う。

それくらいフェターシャ嬢は美人だし、家柄も申し分ない。

「ならば、お前はいったいどういう女性なら惹かれるんだ?」

なぜか興味津々といった様子で聞かれました。

確かにこの流れなら、もっともな疑問ですよね。私も同じこと聞きますよ。たぶん。

「理想が高いというわけではありませんが、そういう女性とまだ出会えていないのでわかりません」

勘違いをされると困るので言っておきます。別に理想が高いのではなく、結婚できる人がいないだけですから。

そう答えると、なぜか殿下との間に沈黙が流れました。

でも何かを言うわけにもいかず、なんとなく花火に目をやると、小さな花火が次々にいくつも打ち上げられているところです。

これからしばらくこういう細々としたものが打ち上げられ、最後に一番大きな花火が打ち上がる。

もう花火の終わりが近いとわかったパーティーの客は、そのほとんどが花火を眺めていますね。

そして、花火大会の最後を締めくくる花火がうち上がった。

赤と黄色の二色の炎を使った先ほどまでのものとは比べ物にならない大きさと美しさの花火が夜空を彩る。

その火の粉が消えかけ、誰もがその余韻に浸っていた時でした。

突然、誰かの叫ぶ声が聞こえてきて、静かだった会場はざわざわとあちこちで何かを囁き合う声でいっぱいになる。

思わず立ち上がると、同じく立ち上がった殿下とちらりと目が合った。

……あれは、男の悲鳴だったな。

会場らしくないってことは、外?

そう思った次の瞬間、小さな人影が私の視界の端に写った。

嫌な予感がして、私はなにも考えず殿下を思いっきり突き飛ばして、ついさっきまで殿下がいた場所に立つ。

同時に、私は自分の腕に鋭い痛みを感じた。




私立受験しーずん(´д`|||)

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