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誤解と花火

にしてもさすが建国の夜会です。いろんな人が来てます。

大臣方はもちろん、各地の騎士団と精霊院のトップに、どこぞの大きな商会の会長等々、様々な方面の有名人が来ているようです。

まあ、だからといってすることもないので、カーレル様とナレシア様のイチャイチャを眺めているんですけど。

ティグルスは友人だという少年に呼ばれてどこかに行ってしまったし。正直暇です。

すると、唐突に後ろから誰かに肩をポンと叩かれました。

誰だろう。この状況で話しかけてくる人がいるとは思えませんが。

……振り向いて、私はしばらく言葉を失いました。

「えっ?シャヴィム殿下……」

なんと、そこにいたのは王太子、シャヴィム殿下でした。

クラヴィッテ殿下の兄で、ここアリュ王国の次期国王陛下になられる予定のお方です。

それにしても、やっぱり王家って美形が集まってる気がする。

クラヴィッテ殿下も美形ですし、その兄のシャヴィム殿下も美形になるのかな。

下らないことを考えて気を落ち着かせつつ、私は殿下に頭を下げました。

「ああ、顔をあげてくれ。今夜は国民皆で祝う建国の夜会、堅苦しい礼は不要だ」

「……では、失礼いたします」

顔をあげてシャヴィム殿下と顔をあわせます。

話をしたことは何度かありますが、緊張するものは緊張しますね。

殿下の目が少し遠くの方を向いています。

これは少し離れたところがいいと、そういうことでしょうか。

とりあえず殿下と世間話をしながら会場内を少し移動します。

殿下の従騎士は付いてきません。たぶん私だからですね。

会場の喧騒から離れたベンチに腰を下ろして、私は殿下と横並びに座ります。

いいんでしょうか、この状況。

「えー、どのようなご用件でしょうか」

殿下はしばらく考え込み、ゆっくりと口を開きました。

「レゲルは、女性ではなく、そういう趣味があるのか?」

……は?

おっしゃっていることの意味がよくわからないのですが。

「だから、女性ではなく男に興味があるのかと聞いている」

頭の処理が追い付かずにいると、殿下が言い方を変えてくださいました。

思考が停止すること数秒、私は全力でそれを否定します。

「いえいえそんな、私はただ恋愛とかそういったものに興味がないだけです!」

殿下がそう考えるのはよくわかりますよ。

弟のクラヴィッテ殿下曰く、シャヴィム殿下もフェターシャ嬢のことがお好きなんですよね。

そんな方からの告白の返事を保留にしましたから、そんなことをお思いなんですよね。

フェターシャ嬢は美人だし、家柄もいいし、断る理由はほぼありませんから。

「だが、先ほど男に何か言われていなかったか」

……へ?どういう意味でしょうか。

まさか、見られてた?

「………なにやらただならぬ様子だったからな」

「そっ、そうですか?」

何て言うのが正解なんでしょうか。

言い訳が通じるとも思えないし、かといって話したらユアリスさんが可哀想ですよね。だってユアリスさんは性別的には間違えてはいなかもしれないし。

どうするべきか迷っていると、突然遠くから何かが爆発するドーンという音が聞こえました。

どうやら、毎年この日に行われる王都の花火大会が始まったようです。




初めて名前を出したと信じたい第一王子……

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