相談と告白2
「えっと、その……」
どうしてだろう。
私はこれと似たような光景をついさっき見た気がする。
……性別が違うけど。
「ね、ねえレゲル、心当たりない?」
ティグルスが私とユアリスさんを交互に見ながら言う。
「いや……心当たりって言われても……」
接点はけっこうあると思うけど、なぜこうなる。
さすがにこの状況で、似たようなことがさっきもあって、わからないほど私は鈍くないです。わかりますよ、はい。
っていうか、ユアリスさんにバレた?会話は聞こえないようにしてたはずなんだけど。
「も、もしよろしければ今度食事にでもいきませんかっ!?」
あっ……やっぱりそうだった。
顔赤いし、うん。間違いないよね、これ。
普通のお食事なら別にいいんですけど、絶対意味が違う。
「構いませんよ」
とりあえず、とぼけておこう。この状況だし。
「え、ちょっとレゲル……」
ティグルスが慌ててる。怪しまれるから、ちょっと落ち着こうか。
それに、話ならここじゃなくてもそれこそお食事のときにでも聞けばいい。
「あ、ありがとうございます」
私があまりにあっさり承諾したからか、ちょっとびっくりしたようにこたえるユアリスさん。
なぜかすすっとそのまま去っていきました。
私はティグルスと顔を見合わせ、しばらく沈黙します。
「いいの?あれで……?」
「ええ、まあ……」
ユアリスさんのあの様子だと、気付いてたとしても誰かに言ったりはしないはず。
そう信じて、私はティグルスとともに一度会場へ戻り、カーレル様を探した。
会場の噂話とかでどうせ知ってるだろうけど、とりあえず縁談はなんだかんだで破談っぽい感じになったことを伝えなければならない。
というかそれ以前に、私はカーレル様の補佐官だ。
補佐官としての仕事である護衛を完全に放棄してました。
カーレル様は全く気にしてないだろうけど。あの人ああ見えて強いし。確か以前、人を気絶させるための部位とやり方は大体把握してるとか言ってたなぁ。
遅れて来ると言われているとはいえ、もう来ている頃だろうな。ティグルスがいるし。
「……あっ」
テーブルの設置された辺りでカーレル様を見つけました。
でも、横にいる奥様のナレシア様となにやら楽しそうにお話ししています。
邪魔するの、なんか悪い気がする。
だって、あそこだけなぜか雰囲気が違うから。
いわゆる、二人だけの世界というやつでしょうか。カーレル様の奥様の溺愛っぷりがよくわかりますね。
「……仲がいいのは嬉しいんだけど、あれはちょっと」
ティグルスが呆れたように言う。彼にとってはいつものことなのだろうが、人前であるからどことなく気まずいようだ。
私はティグルスの言葉にうなずきつつ、しばらくその様子を眺めていた。
ありがたいことに、まだ誰も話しかけてきません。
普段なら鬱陶しいくらい人が来るんですけどね。私の方を見てひそひそ話をする人は普段の倍以上ですけど!
まあ、もともと噂話はよくされてますけどね。
気にしても仕方ないので無視ですが。




