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竜騎士の悩み

少し遅れて到着した夜会の会場はなぜかレゲル様とあの大貴族、フーレントース家のご令嬢のフェターシャ嬢の話題で持ちきりになっていた。

何でも、レゲル様が縁談の相手と話していたところにフェターシャ嬢が割り込んでレゲル様に告白したとかなんとか……

フェターシャ嬢と言えば、大貴族のご令嬢であるということ以前に、絶世の美女として有名な女性だ。

そんな女性に告白されれば本気でなくとも承諾したくなるものなのに、レゲル様は断ったそうだ。

そんなことがあった後には話しかけづらいのだろう、レゲル様の周囲には誰もいなかった。

招待のお礼を言うくらいするべきかと迷っていると、フェターシャ嬢の妹君のリフィアル嬢がレゲル様に近付いて、何かを話はじめた。

話は終わったとばかりにリフィアル嬢から離れるレゲル様がこちらに向かってくる。

俺がいるから来たんじゃなくて、たぶんただの偶然だろうけど。

「あっ、ユアリスさん。いらしてくださったんですね」

俺に気付いたレゲル様は柔らかな笑みを浮かべて俺を見る。

先ほどから言われているようなことがあったにも関わらず、レゲル様はそれを感じさせない。

「レゲル様のお誘いを断るなんてできませんよ」

そしてしばらくレルチェの様子などについて話をしていた時だった。

「レゲル、ちょっと」

突然俺の後ろから誰かがレゲル様に声をかけた。

「えっと、ティグルス様……ですか?」

なぜかレゲル様は自信なさげに俺の後ろにいる人物に話しかける。

振り向くと、そこには一人の男の子がいた。

「どうして自信なさそうなんですか」

男の子は不満げに言う。声変わりがまだなのか、やや高めの声だった。

「いえ、いつもと雰囲気が……」

何かを言いかけて、レゲル様はハッと俺の方を見た。

「あっ、この方はカーレル様のご子息のティグルス様です」

誰だろうと思っていると、レゲル様は俺に男の子、ティグルスを紹介してくださった

そして次は逆に俺のことを男の子に説明した。

「あの竜を育てているの?」

「レルチェのことをご存知なのですか?」

「もちろん。一度見せて貰った」

ということは、まだレルチェがレゲル様と一緒にいた頃に見たのだろうか。ならかなり小さい時期に見たことになる。

「もうだいぶ大きくなりましたよ。ティグルス様くらいの年頃の子供を乗せても自由に飛べるでしょう」

「へぇ……」

ティグルスは興味を示したが、すぐに何かを思い出したようにレゲル様の腕を掴んだ。

「そうだ、レゲルに話があるから、その事は後で聞かせてください」

申し訳なさそうにそう言うと、ティグルスはそのままレゲル様を引っ張ってどこかに向かおうとした。

……話とは何なんだろう。

それがなぜか妙に気になってしまう。

悪いとはわかるけど、どうしても気になって、俺はこっそり二人の後ろに付いていった。

レゲル様の精霊にバレているのではないかと不安になったが、レゲル様は気付いた様子もない。

盗み聞きだろう。そうわかってはいるが、つい聞き耳をたててしまう。

だが、やっぱりレゲル様はレゲル様だった。

全く声が聞こえてこない。俺の精霊によると、風精霊が空気を乱して聞かれないようにしているそうだ。

ホッとしたような、残念なような……

二人の会話の様子を眺めていると、気のせいだろうか、ティグルスの唇の動きが『女』という動きに見えた。しかも、レゲル様を指差した状態で、そう動いた。

……いや、それはただの俺の望みか。まさかまだよく知りもしない男の子の唇の動きに惑わされるなんて、どうかしたな、俺。

自分にそう言い聞かせていると、再びティグルスの口が動いた。

また、同じ動きが見えた。

こちら側からはティグルスの様子しか見えず、レゲル様の表情は窺えない。

とりあえず、ティグルスはなぜかレゲル様に対して怒っているように見えた。

来週センター試験のようです


予約投稿しながら若干の焦り……

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