表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/276

妹と作戦と

お姉様の希望で、とりあえずレゲル様をどこかに呼び出して告白するという、いたってシンプルな案に落ち着きました。

呼び出すのはアルで、妹さんのことについて話があるということで呼び出してもらう。という、お姉様もアルも話したいことが話せる展開にするつもりだったのですが……

「好きです!レゲル様のことが!」

レゲル様と話している女性がレゲル様の縁談のお相手だと、周りの人が話しているのを聞いて、私は止めたのですがお姉様は行ってしまいます。

結局、お姉様も縁談の相手もレゲル様に交際については断られていました。まあ、アルの予想通りとなったわけですね。

お姉様を振るくらいです。本当にレゲル様は誰とも結婚する気がないのでしょう。

ですが、お姉様がはっきりと思いを伝えたのです。私だって、お姉様の力になりたい。なんとしてでもレゲル様にお姉様の良さを……いえ、それよりもレゲル様の場合は恋愛の良さを教えるのが先かもしれませんね。

それにしても、レゲル様はなぜ結婚とか、恋愛というものをしようと思わないのでしょうか。たぶん、アルに聞いても何もわかりませんね。

こうなれば本人に直接聞きたいところですが、レゲル様は先ほどのゴタゴタから離れようと木陰の椅子で一人、ぼんやりと空を見ていました。

周りの会話はお姉様とレゲル様の話題で持ちきりです。

そこでふと、お姉様の姿が見えなくなったことに気付きました。

慌てて辺りを見回すと……あっ、いました。会場の隅で、クラヴィッテ殿下と何か話しているようです。

殿下の表情はここから見えませんが、お姉様がとても悲しそうな顔をしているのはなんとか見ることができます。

その様子を見ているうちに、なぜか罪悪感が込み上げてきました。

なんだか、楽しんでいたのは私だけで、自分の考えをお姉様に押し付けただけのような、アルを勝手に引き込んで……

そう思うと、急に自分が恥ずかしくなってきて、この場から消えてしまいたくなった。

でも、もう遅いんだ。こうなったら、レゲル様とお姉様が一緒になってくださらないと、誰も幸せにはなれません。

私は会場を見回してレゲル様の姿を探しました。

「レゲル様、あの……」

会場の隅で少し疲れた表情をして立っているレゲル様を見つけて、私は話しかけます。

「どうかなさったのですか?」

今レゲル様を困らせている女性の妹である私に、レゲル様は微笑みかけて言いました。

「あの、お姉様のことなんです」

「フェターシャ様、ですか?」

「お姉様がレゲル様に告白したのは私のせいなんです。私がお姉様を煽ったから」

レゲル様の微笑みがかすかに揺らぎました。ですが続きを促すように黙っています。

「離宮のパーティーの後からお姉様の様子がおかしくて、聞いてみたらレゲル様のことを相談されて、それで、お姉様が好きな人と一緒になってほしかったから……」

……違う、そんな理由じゃない。お姉様に幸せになって欲しいって、そういうことにして自分を騙してたんです。

「だからお願いです。お姉様と……」

一緒になってください、その言葉を言う前に、声が枯れてしまって言葉を続けることができませんでした。

「お気持ちはわかりました。ですが私は誰とも一緒になるつもりはございません。フェターシャ様には、私よりも素晴らしい相手がいらっしゃるはずです。それに、私はフェターシャ様を幸せにすることはできません」

きっぱりとそう言うレゲル様を見て、レゲル様にとってこの状況は迷惑以外の何者でもないということを悟りました。

私一人が盛り上がって、馬鹿みたいです。

「でも、お姉様は……」

後先考えず、人のためと言いながら、結局自分のことしか考えていなかった愚かさと、かけた迷惑の大きさに涙が出そうです。

涙で霞む視界に、何かが入ってきました。

目を擦ってそれを見てみると、一枚の折り畳まれたハンカチでした。

「私にできることはこれくらいしかありません。どうかお許しください」

差し出されたハンカチを手に取るのを見たレゲル様は、これ以上話すことはないと言わんばかりに、一礼して人混みのなかに紛れてしまいました。

「……本当に、申し訳ありません」

そんな呟きを最後に耳にした気がします。

もう2016年ですね

明けましておめでとうございます

うるう年があると年号を打ち込んで気付きました

そんな筆者ですが、今年もよろしくお願いいたします


なにげに6日で投稿し初めてから二年になる……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ