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縁談と夜会と2

はぁ、とため息をついて私は会場の喧騒から離れた木陰の椅子に座った。

夜会はとうに始まって、すでに様々な来賓の挨拶も終わっている。

私がここにいることは知られているだろうけど、話しかけてくる人間はいない。たぶん会場の方でも私のことは話題になっているんだろうな。

「おい、レゲル」

精霊に近付いて来ていることは教えてもらっていたので驚きはしないが、私は少しだけ身を固くした。

「……大丈夫か?」

「少し整理したいだけだから気にするな。それより、誰に招待されたんだ?」

心配そうな顔でやって来たのはアルだった。

冷やかしにきたわけではないだろう。とはいえ、アルは妹たちと観光をしていたあの日、女の格好をしていた私を見ているし、しかも告白まがいのことまでしてきた。

だから顔を会わせるのが億劫で余っていた招待状を渡していなかったのだけど……

「知り合いに余りを貰ったんだ。大規模な夜会でお前と話せると思ったし」

「話せる? 何を?」

とりあえずとぼけてはおくものの、アルの話したいことはだいたい想像がつく。

「レゲルの妹の、レネッタさん。紹介してほしい」

観光の時とは違い、何かを決めたような様子でアルは言った。

レネッタというのはまさに私のことなのだけれど、私はそれをなんとか顔に出さず答える。

「別に構わない。でも、どうして妹のことを知っているんだ?」

「実家に帰る途中にケアセレ区に寄ったときに他の双子の妹と観光してるのを見て話しかけたらその……迷惑をかけたみたいで謝りたくて」

「じゃあ忙しくないときにこっちに呼んでみるよ。まあ私と妹の予定しだいになるけど」

どこかで待ち合わせて、女装した私がアルをふればいいってことだから、まあこのことはそれでいっか。アルには少し申し訳ないけどある程度ひどい振り方を考えておいた方がいいだろうな。

「わかった、ありがとう。それで、フェターシャ嬢のことだけど、どうするつもりなんだ?」

「もちろん断る。殿下のこともあるけど、元々私は誰かと結婚する気はない」

「あんな美人で家柄もよくて理想とも言える相手なのに?」

「断ろうと付き合おうと、さんざん妬まれるに決まってる。それなら断って周りが落ち着くのを待つのが一番いい」

私が本当に男だったら少しは迷うかもしれないけど、私は女だ。付き合った先に何もないのなら、嘘とはいえ付き合う方が酷である。

立ち上がって服についた砂を軽く払い落とし、私は賑やかな会場に目を向けた。

「そろそろ戻った方がいいかな」

「でもけっこうお前とフェターシャ嬢のことで話は持ちきりだぞ」

「それはいつ出ていっても同じだろ。断って、今後真面目に仕事をしていけば世間の注目はすぐ薄れる。断れば殿下からの妙な圧力とかも少なく済みそうだし。しばらく大人しくしてるよ」

元々私は大人しく仕事をしている方だと思うけど。まあ、これはきっともっと働けとか、そういう神様のご掲示かなにかだ。とりあえず目立たないようにしておこう。


終わりましたねクリスマス……

(これ投稿したのクリスマス前なのは置いといて)


プレゼントくるかなーなんて考えています

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