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それぞれの思惑~恋する乙女の場合~

リフィアルにお父様のお誕生日について話し合おうと誘われ一緒にお店に来たのですが、どうやらそうではなかったようです。

私とレゲル様の距離を縮めるために、レゲル様のご友人をお呼びして話し合うためだったとか。

そしてやって来たアルというレゲル様のご友人は、あのときレゲル様が私と殿下を任せたお方。

考えているうちに、リフィアルはアルにぽんぽんと質問をぶつけていきます。

「お好きなんですか?レゲル様の双子の妹さんのことを」

悪戯っぽい笑みを浮かべながらリフィアルは尋ねます。

とたんに真っ赤になったアルはうつむいてぼそぼそと呟きました。

「でっ、でももう振られたんです。怒らせてしまったというか、その……」

ということは、一度告白したということでしょうか。ですが、一度しか会ったことがないのですよね?

私が素朴な疑問を抱いていると、話題を切り替えるようにアルは私の方を見て言います。

「俺のことはいいんです。あの、フェターシャ様はどうするつもりなんですか?殿下のことだって……」

その瞬間、痛いと言ってアルは足を気にしています。

「ちょっとリフィ、駄目でしょう!」

状況からして、リフィアルがアルの足を踏むなり蹴るなりしたようです。

「あっ、ご、ごめんなさい」

「リフィは私じゃなくてアルさんに謝りなさい。それで、その、どうかお気を悪くされないでください。私のためにしてくれたことなので……」

私と殿下のこと。世間ではそう思われているし、殿下もおそらくそう思っていらっしゃるでしょう。

最近はお会いできていませんが、日に日に殿下を騙しているような気になるのは事実です。

「大丈夫です。それに俺が聞いていいことじゃありませんよね」

「そんなことはありませんわ。私が一番どうにかしなくてはならない問題ですもの」

別れ話を切り出すのはレゲル様に告白することに比べれば簡単だと思います、きっと。ですが、もしその事で殿下がレゲル様にお怒りになったら、そう思うと言えません。殿下なら容易くレゲル様の今の地位も奪うことができるでしょう。レゲル様の努力をこんなことで無にしてしまうなんて絶対にできません。

考えれば考えるほど、レゲル様に迷惑がかかるような気がしてなりません。諦めるべきなのに、どうしてでしょう。

「殿下に頼む……とか?いや、あの方のことだし……」

アルは殿下のことをご存知なのでしょうか。何か知っているような口ぶりです。

ですが殿下にお頼みする、というのは名案かもしれません。殿下を振るつもりでいる私が頼み事だなんて厚かましいかもしれませんが、そうするべきである気がします。

「……夜会で、レゲル様に思いを伝える前に、殿下とお話します。そうしなければいけませんから」

それに、レゲル様に告白してから殿下に別れ話を切り出すなんてことはできません。

「お姉様……」

リフィアルが不安そうに言います。

「大丈夫。これくらいできなきゃ」

これは私の問題。可愛い妹にこれ以上心配をかけさせられません。アルにも、巻き込んでしまったのはもとをたどれば私のせい。私が臆病で、弱虫だから。

……ですが、私は変わるのです。

自分から動いて、自分で解決する。私がやらなければならないのですから。



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