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殿下とお食事

今日は殿下とお食事の日だ。はっきり言うと憂うつである。

先のパーティーで殿下からお誘いを受けたんだが……殿下からの招待なんて断れないだろ、普通。

「今日は確かクラヴィッテ殿下と食事ですか?」

カーレル様が仕事をしながら帰ろうとした私に不意に声をかけてきた。

「そうですけど……何です?代わってくれるんですか?」

「無理だよ。誘われたのは君じゃないか。まあ頑張ってね」

頑張る、か……うんやらないと。



殿下に連れられ着いたのは高級そうな……というか高級料理店。殿下が薦める店なんだから高級なお店だろう。

店員に案内された席は完全個室の席だった。高級そうなテーブルと2脚の椅子が置かれ、なんかいろいろセッティングされている。

殿下は椅子に座り、私にも座れと促してきた。

私が座ると殿下は店員を呼んだ。

「何か食べられないものはあるか?」

「いいえ、特にありません」

一応何でも食べれる。貧乏だったので好き嫌いなんて言っていられない。

「ならいい」

そう言って殿下はあらかじめテーブルに置かれていた食前酒を口に含んだ。

「これはいい酒だ。飲まないのか?」

私はグラスに入った食前酒を見た。黄金色の液体でグラスの半分ほどが満たされている。

それを少し口に含むと爽やかな林檎の香りが口いっぱいに広がった。

確かに美味しい酒だ。高そうだな、殿下が奢ってくれればいいけど。

「あなたは凄腕の精霊使だと聞いている。昨日は魔物の群れを一人で倒したとか」

突然何を言われるのかと思ったら……にしてもなんで殿下は昨日のことを知ってるんだ。

「はい、竜舎へ行った帰りに魔物が……」

「竜舎の近くに魔物が出るとは思っていなかった。最近魔物が出るところに変化が見えるが、何か知っているか?」

「そういう報告は最近多いですが……今のところ手掛かりは何もありません」

「そうか」

そう言って殿下は黙ってしまった。

ちなみにレルチェは私のポケットの中に入って丸くなっている。この時期は離れすぎるとストレスになるらしい。

その間に料理が運ばれてきた。こういうところで食べるのはかなり久しぶりだ。マナー忘れてないか心配。

私は運ばれてきた料理を見た。彩り良く盛られた……なんていう名前だろうか。はっきり言うと私はこういうものはまったく詳しくない。

殿下は料理の説明はいらないとばかりに運んできてくれた人を追い出してしまった。料理を楽しむ気あるんですか?

私はナイフとフォークを持って覚えている限りのマナーを駆使して料理を食べた。

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