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観光6

あれ以上アルと一緒にいたらボロを出しそうだったから、まあ妙な話題になってよかったのかもしれない。

そう思ってほっとしていると、後ろから声をかけられる。

……また、アルか。申し訳ないんだが、観光をさせてくれ。

なんとか笑顔を浮かべて振り向くと、なぜだかアルは今まで見たことないくらいガチガチに緊張しているように見えた。どうしたんだろう、あの時無礼をはたらいた相手が殿下だったと知った時よりも緊張しているんじゃないか?

「どうか、しましたか?」

訊ねてみても、何の返答もない。

なかなか返答が返ってこないので、もう一度訊ねようとすると、アルは口をモゴモゴさせながら、小さな声で言った。

「今夜、一緒に食事しませんか?」

一瞬、思考が止まった。

……何言ってるんだこいつはっ!?

へ?本当にどういうこと?さっぱりわからないんだけど。食事に誘われたってことくらいわかるけど、何でそんなことするんだ!?

私は助けを求めてルナとルラを見る。なぜだか二人ともにこにこしている。どこにそんな嬉しい要素があるの?

「行ってきていいよ。夕ごはんはルラと行くから」

ルラもこくこくとうなずいている。二人とも、私にどうしろというの?

「えっと、それはどういう……」

「俺と付き合ってくれませんかっ!?」

アルのそのでっかい声に、何人かが振り向いてこちらを見る。興味無しを装ってるけど、内心興味津々なの丸わかりですが!

恥ずかしいんですけど、これが公開処刑というやつかっ!

にしても付き合ってくれませんかって……あれか、好きで、すよ。と……

言葉の意味がわかったとたん、顔が赤くなった。

頭ん中で言っても恥ずかしい!そんなことを思った自分も恥ずかしい!

「すみません!」

その場の雰囲気に耐えきれなくなった私はそう叫んでそばに見えた細い路地に飛び込んだ。

こんな細い道、せっかくの服が汚れる。でも……

私は壁にもたれかかって大きく深呼吸をした。さっきの出来事は、いったいなんだったんだろう。

私のなにをどう思ったら私にこ、告白とかする気になるんだ。たいした会話もした覚えはないし、好かれるようなことをした覚えもないぞ。

それに私がレゲルであればアルは好きだが、もちろん友人としてだけど。でも今の私はレネッタだ。アルとは初対面だし、何か思えと言われても無理。レゲルのように友達にはなれると思うけど、それ以上は思えない。

どちらにせよ、アルの思いには答えられない。アルがどう思おうと。


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