第9話。国ごとの見分け方。
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王様がひたすら手を振り続けている中、
私とジェイドさんとカイルさんは部屋を出ました。
ナギさんはまだ報告やお話があるそうです。
そして私はまた、ジェイドさんの腕の中。
カイルさんはジェイドさんのお隣を歩いています。
「じぇぃ。かみのいろ、きれい。」
私がじっとジェイドさんの真っ赤に燃えるような髪を
見ていると、隣りにいたカイルさんは優しく言いました。
「ジェイド隊長は、エテが故郷ですからね。
エテに生まれた人たちは、赤やオレンジなどの
情熱的な色彩を持つ髪や瞳の人がほとんどなんですよ。」
カイルさんが仰られるには、国ごとの特徴があって
大体その人の髪色や瞳の色を見ると、どこの国の人か
分かるらしいです。
そしてこの世界には普通に魔法といったものが
存在するらしく、国ごとに特性は違うみたいです。
他の魔法も使えるそうですが、出身国によって
特に強い力が備わるそうです。
春の国プランタンの人たちは、優しい春の色。
緑や金に近い黄色や薄い亜麻色。
光の力を借りた治癒系の力を強く持つ人が多いようです。
夏の国エテの人たちは、情熱的な夏の色。
赤やオレンジなどの強い色。
炎系の火を使う攻撃魔法を強く持つ人が多いそう。
秋の国オトンヌの人たちは、落ち着いた秋の色。
深い茶色やグレー色の色。
大地の力を借りて支援系の魔法を得意とする人が多いみたいです。
冬の国イベールの人たちは、静かな冬の色。
白や薄い水色など、色素が薄い色。
氷や水系の魔法を使う人が多く、オールマイティ。
なので神官や占い師になる人が多いらしいです。
ここまで聞いてこくこくと頷いていた私に
カイルさんは、では質問ですと言ってきました。
「では姫様。私はどこの出身かわかりますか?」
私はじっとカイルさんを見て考えました。
カイルさんは優しい亜麻色の髪と少し茶色が強い瞳。
そして関係あるか分かりませんが、柔らかい雰囲気。
「はる・・・の。ぷりゃんた・・ん。」
「そうですっ。さすが姫様です。
こんなに小さいのにとても頭がいいのですね。
では続いて、ジェイド隊長は分かりますか?」
「じぇぃ・・・きれい、あかい。なつの・・・えて。」
私が確認するかのようにジェイドさんを見上げると
ジェイドさんは少しだけ口角を上げて頷きました。
「素晴らしい洞察力ですね。
さきほどのナギはどうです?」
「にゃぎ。ふゆの・・・うー・・・。いべぇる?」
ぱちぱちと笑顔で手を叩いてくださったカイルさんと
目を見開いて驚いた顔のジェイドさんに私は首を傾げました。
これはきっと・・・多分あれです。
見た目が5歳児の私が、初めて来た世界なのに
物覚えが早いとかそういう理由ですよね・・・。
すみません。頭まで退化してたら悩まずに済んだのですが
生憎頭の中は15歳のままだったようです。
そうこう考えていると、カイルさんが廊下の分かれ道で
立ち止まって私の顔を覗き込んできました。
「姫様。私はここで失礼しますね。
また会いましょうね。それでは隊長。失礼します。」
「ああ、ご苦労だった。ゆっくり休め。」
にっこりと笑って頷いたカイルさんは、
私にもう一度視線を向けてぺこりと頭を下げて
行ってしまわれました。
カイルが歩いて行ってしまった廊下の反対側から
突然大きな足音が聞こえてきます。
ジェイドさんの肩越しから後方を見ると・・・。
薄いオレンジ色した髪色の超絶美形さんが
興奮した面持ちで走ってきていました。
なななななな・・・っ!?
この世界の人たちは、美形しかいないのでしょうか。
ああ・・・そしてこの人どなたですか・・・。
「隊長っ!どうして俺も騎士団員なのに置いてったのっ?」
必死の形相でジェイドさんに詰め寄るキラキラのお兄さんに
ジェイドさんははぁ・・・とため息をついて言いました。
「お前が15、16の娘には興味ないから城の警備に回ると
希望したのだろう?」
「だーかーらっ。15、6の子には興味がないんだよっ。
だけど戻ってきたやつらが幼子で可愛い女の子って
言うじゃないっ!?どこっどこにいるのっ!?」
私はその勢いに押され、怖くなってジェイドさんに縋りました。
ジェイドさんが静かに私を隠そうとしてくれたことで
逆にキラキラ(あだ名)さんは私と目が合ってしまいました。
そして・・・。
「みゃああああああっ!?」
キラキラさんはジェイドさんごと私を抱きしめて
固まるジェイドさんの腕の中で、キラキラさんの
素晴らしき絵画から出てきたようなお顔を
間近で見るはめになったのでした・・・。
キラキラさん怖いっ!
異世界怖いっ!!