第8話。弾けすぎですよ・・・。
王様の耳はロバの耳ー・・・。
私は今現在、壮絶に後悔しています。
ええ・・・ジェイドさんの腕に飛び込んだことをです。
そして大きな椅子に座っていたはずの王様が
現在進行形でジェイドさんのまん前1M以内、
正確に言うなら私の真後ろに正座状態で座っておられます。
ちらり・・・。
キラキラキラキラキラキラ・・・・。
ひぃ・・・・っ!
王様の瞳はキラキラと輝いていて、まるで猫好きで
いつも「ぬっこぬこー♪」と言っているような
にゃんこマニアの人が道端で生まれたての子猫を
見つけた時のような顔・・・。
「・・・王。何をなさっておられるのですか・・・。」
「ははは。気にするな。・・・いや、気にしろ。」
「「は・・・?」」
ナギさんの言葉に王様は笑いながら言いますが
ジェイドさんとカイルさんは引き攣った顔で
私をずっと見ている王様を見ています。
「四季の姫、もっと顔をよく見せてくれぬか?」
王様はにこにこ笑って言ってくださってるのですが
私が危機感を覚えるのはどうしてでしょうか・・・。
ジェイドさんは、私にしか聞こえないくらいの
小さなため息をついて、私と目を合わせて言いました。
「・・・姫。大丈夫だ。この方は姫に危害を加えるような
方ではない。だから大丈夫。」
「じぇぃ・・・ほんと・・・?」
「ああ、本当だ・・・。俺は嘘は吐かない。」
「あい・・・。」
私はジェイドさんの言葉を信じることにして
恐る恐る振り向いたのですが、思った以上に
王様が近くにいることに驚いて固まりました・・・。
「おお・・・。素晴らしい黒髪だとは思っていたが
まるで宝石のように美しい黒眼だ・・・。
そして何より・・・・。愛らしいではないか。」
心なしか王様の頬はピンクに染まり、
何故かうっとりとした瞳で手を伸ばしてこられます。
・・・怖い。
幼児になった私の頭の中が、何かとんでもない
警戒音が鳴っている気がします・・・。
その時、ジェイドさんがひょいっと私を抱き上げて
立ち上がりました。
王様を始め、ナギさんとカイルさん、
そして騎士兵さんたちがきょとんとした顔をしています。
「王・・・。姫は人見知りです。あまり初見で
触れられますと姫は怯えてしまわれます。
あなたも嫌われたくはないでしょう?」
え・・・ジェイドさんっ!?
王様にそんな無礼なことしていいんですかっっ!?
私の心配をよそに、王様は立ち上がったかと思うと
大きな声で笑って言いました。
「ははははは。確かに嫌われては困るな。
それにしてもジェイド。相変わらず無愛想だな。」
「・・・放っておいてください。」
あれあれ・・・?
なんですか、このお2人、仲がいいのでしょうか?
ちらりとカイルさんとナギさんを見ると
お2人は苦笑いしながら口ぱくで
「いつものことです」と教えてくださいました・・・。
ああ・・・本当に仲が良かったのですね。
切捨てられたりしなくて済むんですね・・・ほ・・・。
それから私はずっと目をハートにしている王様に
見つめられ続けて、穴が開くかと思いました。
とにかく、私は四季の姫っていうことで
間違いはないそうです。
悩むことはありませんが、考えることは
とてもたくさんありそうです・・・。
天国のパパ、ママ。
異世界に来た私を見守っていてください・・・。
まぁかちゃんのお名前
なかなか呼んでもらえないですね・・・w