第6話。神官登場
まだまだ溺愛するには足りないですね(汗
裏門を抜け城内に足を踏み入れた時、真っ白な長いローブを
身に纏った青年がにこやかに笑って待っていました。
白に近いサラサラの銀髪は絹糸のように腰まであり
色素の薄い水色の瞳は凪いだ湖のように静かに細められます。
「そちらが・・・四季の姫君ですね?
思っていたよりも容姿が幼いようですが・・・。」
ジェイドとカイルは静かに頷いて問いかけます。
「そうだな、まだ幼子だ。神官であるナギ、
お前が預言が多少なりとも違えるとはな。」
「まぁまぁジェイド隊長。それよりナギ殿は
今回の四季の姫の降臨についてどう思うのですか?」
神官であるナギは、ジェイドの腕の中で眠る
小さく可愛らしい黒髪の幼子を見てくすくすと
笑って言いました。
「ふふ。とても愛らしいお顔立ちをされています。
私も候補に入っていてよかったと思いますよ。」
ジェイドとカイルは驚いたような顔で
ナギの笑顔を見て、呆然とした後焦ります。
「・・・まだ早いだろう。」
「そ、そうですよっ!貴方はサーディですかっ!?
幼女趣味のあいつですかっっ!?」
「それは聞き捨てなりませんね。
私はあの方のように、小さな女性しか
愛せないような虚け者ではございませんよ・・・?」
大きな声で揉めている3人の声で、ジェイドに抱かれていた
まぁかの瞼は震えて瞳を開けました。
「んぅ・・・。ここ、どこ・・・でしゅか?」
眠い目をこすりながらジェイドの顔を見上げたまぁかに
3人の動きはぴたりと固まりました。
「こ、これは・・・すごい破壊力ですね・・・。」
「・・・そうだな。」
「か、可愛すぎます・・・。ひ、姫。おはようございます。」
まぁかはきょとりとした後、こくんと頷いて
知らない顔があることに気づいて顔が引き攣りました。
ジェイドの首に抱きついておでこをぐいぐいと押し付けて
いやいやしました。
「・・・人見知りみたいだな。ナギ、離れろ。」
ジェイドはナギから一歩下がって言いますが
ナギがにっこりと笑って、距離を詰めました。
「四季の姫。お初にお目にかかります。私は神官のナギです。
可愛らしいお顔、見せていただけませんか?」
ナギは柔らかな声音でまぁかに話しかけます。
まぁかはおずおずとナギの顔をじっと見ていましたが
ナギがすっと出した手がまぁかの口元に触れて言いました。
「はい。あーんしてください。」
思わず口を開けてしまったまぁかの小さな口の中に
ナギはぽいっと小さな塊を入れました。
驚いた顔をしたまぁかでしたが数拍後、
ほっぺをピンクに染めて、キラキラとした瞳を向けます。
「ちゅめたくて・・・あまい・・・。」
そんなまぁかに、にっこりと笑って説明してくれました。
「これは、私の故郷のイベールでしか咲かない華の蜜で
作っているお菓子ですよ。冬にしか咲かない華なのです。」
まぁかはキャンディーみたいなものかな?と考えながらも
冷たい不思議なお菓子に驚きました。
「仲良くしましょうね。四季の姫。」
まぁかはふにゃりと笑ってこくんと頷きます。
しかしジェイドとカイルは、内心で呟きました。
((食べ物で釣りやがった・・・。))
食べ物で釣られました・・・w