第22話。器用なシドさん。
出て行ったサーディさんと入れ違いに、
コンコンとノックをして、身軽な格好をした
短髪のグレー色の髪の男の人が入ってきました。
身長はもちろん、2m20cmくらいあります。
髪色はアクスさんと似た感じで、きっと秋の国の方でしょう。
カイルとジェイドさんに近づいた男の人は、ニッと笑いました。
はうあ・・・。
なんて野性味溢れる笑顔なのでしょう。
「ようっ。探したぜ。誰に聞いても、四季の姫の部屋に
走っていったとしか言わねぇんだもんなっ。
どこだそれって思ったぜ。」
参った参ったと、髪をわしわしと触っている男の人に、
カイルさんは言いました。
「あー。ごめん。ちょっと緊急事態だったんですよ。
それで、さっき確認してた台を持ってきてくれたんですか?」
「おう、だがこんなちっこい台どうするんだ?
『可愛らしい彫刻入』依頼なんてよ・・・。」
台を見たカイルさんはジェイドさんの顔を見ました。
ジェイドさんも台に目を向けて、
じっと見つめた後頷きました。
そして、私に向かってその台を持ち上げて。
「まぁか。踏み台が出来上がったんだ。
これで自由にベッドに上がれるな。」
ジェイドさんの言葉に嬉しくなった私は、
元気よく頷きました。
すると、台を運んでくださった男の人が、
目を丸くしています。
「四季の姫・・・。こりゃまたちんまい譲ちゃんだな。
ああ、踏み台の依頼なんておかしいと思ったんだ。
なるほど、そういうことか。」
「こら、シド。そんな言い方をしたら
まぁかちゃんに失礼でしょう?」
カイルさんが、シドさんという人の肩を、
軽くこつんと拳を当てて咎めました。
「ああ、すまん。どうだ、俺のこの力作の彫刻は。」
そう言われて、私は再び出来上がった踏み台に
視線を移して、じっとその作りを見ました。
すごいです・・・。
綺麗に彫り込まれた繊細な彫刻は、
デザインが多少メルヘンであるために、
可愛さまで相まって、例えるなら、
夜のメリーゴーランドのような感じです。
綺麗なのに、神秘的。
そういえば、
これは私の「踏み台」なのです。
こんなに素敵に作ってくださったもの、
足蹴にしていいものなのでしょうか・・・。
黙って眉を下げていると、シドさんは、
大きな身体で項垂れてシュンとしてしまいました。
「き、気に入らねぇか・・・。そうか、そうだよな。
こんなおっさんが作ったのなんて、
気にいらねぇよなぁ・・・。はぁ。」
ブツブツと呟きだしたシドさんの言葉で
我に返った私は、慌てて否定しました。
「ち、ちがうで、す。すごく、きれいだかりゃ、
ふんじゃうの・・・いいのかにゃって、
かんがえただけです。」
ぱたぱたと手を振る私の顔を、
シドさんはじっと見つめて、突然笑い出しました。
「はははは、気に入ってくれたんならいい。
ありがとよっ。ああー。すげぇ可愛いなぁ。お譲は。」
大きなゴツゴツした手が優しく私の頭を撫でてくれます。
「いいんだよ。使ってくれ。な?」
目を細めて笑って言ってくださったその言葉に
頷くと、シドさんはうんうんと頷いて、
子供は素直が1番だと嬉しそうでした。




