君が残した季節

高校三年の春、七瀬陽翔は、かつての幼なじみ・橘紬と再会する。桜の木の下で交わした約束――「また春が来たら、ここに戻ろう」。その言葉は、過去の小さな思い出として心の奥にしまわれていた。

だが再会の春、陽翔の前にもう一人の少女が現れる。転校生の雨宮凛。静かな瞳の奥に、誰にも見せない傷を抱える彼女と出会ったことで、陽翔の止まっていた心が再び動き出す。

紬と凛。過去と現在。揺れ動く想いの中で、陽翔が選ぶ答えは――。

約束、すれ違い、そして別れ。
心に残る“あの日”の真実が、すべてを変えていく。

切なさと静けさが交錯する20の季節を通して描かれる、儚くもまっすぐな青春の物語。