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転移して奴隷にされたけど、見えない塊を拾ったので逃げる事が出来ました  作者: 斉藤一


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森の調査4

「くっ、おいの盾を放せ!」


「俺が耐えれば、仲間が楽になるはずだ」


俺はオークディフェンダーの盾をがっしりと掴む。しかし、奪う事は出来ていない。


「オークディフェンダー、我の最強魔法でそやつを葬る。躱せよ?」


「仕方ない。分かった」


オークディフェンダーは盾を振って俺を引き剥がすのを諦めたようだが、その代わりどっしりと盾を構える。そして、俺達に向かってオークセージが杖を構える。


「ふうぅ、はあぁ、いくぞ! ストーンキャノン!」


「ぐっはぁっ!」


俺にひとかかえもある岩がぶつかる。その衝撃は、まるでトラックが衝突したかのようだ。衝突した事無いけど。俺は岩と一緒に木に叩きつけられる。


「ぐぅぅ・・・」


いくらエーテルで守られていても、さすがに木と岩に挟まれては衝撃を逃がし切れず、痛みが全身を襲う。口の中に血の味が広がるから、もしかしたら内蔵を痛めたかもしれない。漫画知識だけど。


「ご主人様! 世界樹の雫、いりまちゅか!」


「ああ・・・頼む・・・」


俺はエーテルの口の部分を開け、そのままドサリと倒れ横になる。


「世界樹の雫!」


すぐに俺の目の前に葉っぱが現れ、そこから雫が垂れる。それを血と共に飲み込む。すると、すぐに全身の痛みが引いた。すごいなこれ、これだけ効果があるなら欲しがる人も多いだろうな。


「助かった。ありがとうユラ」


「どういたちまちて!」


俺がむくりと起き上がると、オークセージが驚いた顔をする。オークも驚くんだな。


「ば、かな。我の最強魔法だぞ! それが無傷だと? まさ――あ?」


「隙だらけよ。よくやったわ、アキラ」


動揺しているオークセージの肩にいつの間にかルゥナが立っていた。そして、オークセージのこめかみにぶっとい針を刺している。見てるだけで痛そうだが、即死だったのか? オークセージはそのまま倒れたし。


「だから魔防のローブなど着るなと言っておったのに! やはり、吾輩のバフが効いてないでは無いか!」


オークダンサーが地団太を踏んでいる。いや、踊っているのか? 分からん。とにかく、これでこちらが有利になるだろう。


「余計な魔法を使わされて、そろそろ吾輩の魔力が切れる! はやく止めをさせ!」


「おでの弓が当たらないんだでよ」


「俺の剣も通じねぇ!」


「おいの盾・・・」


オークダンサーの命令が下るが、今の状況ではどうしようもないみたいだな。俺は奪った盾をそのままマジックボックスに仕舞う。オークディフェンダーが掴んでいた間は無理だったが、取り上げてしまえば仕舞えるようだ。


何もできないオークディフェンダーを俺が抑え、オークレンジャーは再びルゥナが、オークソードファイターは引き続きルビーが相手している。シルフィはオークダンサーの周りをうろうろと飛びながらちまちまとリーフカッターで攻撃しているみたいだ。


「ああくそっ、魔力切れだ!」


「うっ」


「くっ!」


オークダンサーが魔力切れだと言った瞬間、オークレンジャーとオークソードファイターがうめく。


「体が軽くなったな。やはり、何かされていたという事か」


「バフが無くったって、俺ならやれる。ソードスラ―――」


「遅い。一の太刀」


さっきまで相打ちだったルビーとオークソードファイターだが、今度はオークソードファイターが攻撃し始めにルビーが合わせ、そのまま剣を弾く。


「隙だらけだな。二の太刀」


「ぐべあっ!」


ルビーの二連撃がオークソードファイターの体に刻まれる。それでもまだ倒れないオークソードファイターに、再びルビーが構える。


「止めだ。三の太刀」


俺には見えなかったが、一瞬で三連撃がオークソードファイターに叩きこまれたのだろう。両腕と首から血が噴き出る。


「オークソードファイター! 邪魔だ、チビメスがぁ!」


「ふふっ、さっきまでの腕前がまるで見る影も無いわね。それに、私の事が見えてないのかしら?」


「いつの間に、おでの肩に・・・」


「刺突!」


肩に居るルゥナを見ていたオークレンジャーの眉間に、ルゥナの針が刺さる。オークレンジャーは、そのまま木から地面へと墜落した。


「さて、残りはオークディフェンダー一匹だけみたいね」


見ると、いつの間にかオークダンサーがキラーマンティスの時の様にすでに樹で潰されていた。魔力が切れた時点でシルフィの魔法を防げなくなったんだろう。


「アキラー。思ったよりも楽しかったですよー」


シルフィも戻り、オークディフェンダーを囲む。


「それじゃあ、せっかく会話が成立するみたいだから、話してもらおうかしら? あなた達の黒幕が誰なのかを」


「おいが、話すとでも?」


尋問するなら、一番寡黙そうなオークディフェンダーは不向きに見えるが、もうこいつしか残ってないしな。


「話さないなら、話したくなるようにするだけよ? 指の爪の間に順番に針を刺していくから、話したくなったら言いなさい? 大丈夫よ、あとでポーションで治してあげるから」


「・・・話す。だからおいの命だけは助けてくれ」


オークディフェンダーは即座に口を割る事に決めたようだ。俺も想像しただけで痛いし。


「おい達のボスは―――ブモモ」


話そうとしたオークディフェンダーの翻訳首輪が砕け散る。その瞬間、オークディフェンダーはブモブモしか言えなくなった。


「やられたわ。禁止ワード付きだったなんて、予想しておくべきだったわね」


「禁止ワード付きって?」


「そのままの意味よ。言ったらダメな事を言うと、自動的に翻訳機が壊れるの。この翻訳機はきっとオーク語用に作られているから、他で代用できないわね」


「他のオークがつけてる奴を付け替えるとかは?」


「無理よ。このタイプは外そうとしたら同様に自壊するようになっているはずね」


「なるほど。それじゃあ、オークディフェンダーはどうするんだ?」


「そうねぇ・・・残念だけど、拷問しても無意味だろうし、殺して持ち帰るしか無いわね」


「ブモモッ、ブモ!」


お互いの言葉は通じなくなったが、知能が下がるわけじゃ無いようでオークディフェンダーは命乞いっぽい動きをする。


「何を言っているのか、全然分からないわ」


ルゥナは言うが早いか、針をオークディフェンダーのこめかみに刺す。いや、言葉が分からなくても、助けてくれって言ってるだろうって想像はつくだろう。まあ、それが分かった上で殺したんだろうけど。


「さて、全員ストレージに仕舞うから一度ギルドへ向かいましょう」


終わってみれば、俺以外みんな無傷でオーク達に勝利していたようだ。まあ、俺も世界樹の雫で完全回復したから、完全勝利だな。

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