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転移して奴隷にされたけど、見えない塊を拾ったので逃げる事が出来ました  作者: 斉藤一


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護衛隊本部

宿へ戻ったが、すでにチェックアウトの時間が過ぎていたようで、部屋に入るにはもう一泊する必要があると言われた。それを含めてどうするか決めたいため、昼食をここでとることを条件に食堂の隅を借りることが出来た。


「それじゃあ、今後の方針を決めましょう」


ルゥナがリーダーとなり、会議の様に話を進めていくようだ。ご丁寧に、ホワイトボードの様な魔道具まで用意している。ルゥナのストレージには、本当に色々なものが入っているようだ。


「まずは、新しくパーティに加入したルビーの意見を聞きたいわ」


「はい」


正座して座っていたルビーが立ち上がる。


「まず、拙者の目標は精霊魔法使いになる事。それには、精霊視のスキルと精霊の契約が必須となる。アキラ殿達のおかげで、精霊視については世界樹、ユグドラシルに触れることで開花する可能性が示された為、拙者の最初の目的地はエルフの村になるかと思う。ただ、拙者としてはアキラ殿達の行動をまず優先してもらいたいと思っている。なぜなら、拙者にはまだまだ時間はあるが、常人であるアキラ殿の方が活動できる期間が短いと思っているからだ」


ルビーはそう主張すると、ご丁寧にもまた正座で座る。慣れているのか、足がしびれないのかな?


「じゃあ、今度は私達の番ね」


そう言えば、俺達って一体どこへ向かっているんだ? 俺はルゥナに言われるままにアッガイの街を護衛任務で出てガーベラテトラの街に来たが、この後はどうするか全く聞いていないよな? どこか次の街へ向かおうとしたところでゴブリン喰らいの任務が急に来たし。


「私達は、目的地らしい目的地は無いわ。なぜなら、一応の目標は達成しているからよ。ただ、出来るだけアッガイの街から離れたいと思っているから、まずはどこかの街へ向かいたいの」


「なるほど、詳しくは聞かぬが、何やらアキラ殿達にも事情がある事が分かった。では、南の方へ向かうのはどうだろうか。詳しい場所は母から聞いていないが、母の居た場所は一年中雪が降らない場所であったと言っていた記憶がある」


「分かったわ。ただ、この街から南へ下るとアッガイの街へ戻ることになるから迂回する事になるけれど、いいかしら?」


「構わぬ。さっきも言ったが、拙者としてはアキラ殿達の行動を優先して欲しい」


「ちなみに、シルフィとユラは何かあるかしら?」


「僕? 僕は特にないですよー。それこそ、面白そうならなんでもいいですしー。ただ、たまには森の方へ行ってくれると助かりますねー。森の精気を吸収するとリラックスできるのでー」


「分かったわ。ユラは?」


「ご主人様についていきまちゅ!」


ユラは元気に手を上げて返事する。ユラは俺と一緒ならどこでもいいって事だろう。


「それじゃあ、ルビー。出発の準備は出来ているのかしら?」


「ああ。すでに荷物はマジックボックスへ収納してある。もともと、それほど持ち物は持っていないからな」


「ギルドでの事もあるし、早くこの街を出たいところだけど、報酬をまだ受け取っていないのよね。先にクラウド隊長の所へ向かいましょうか。それに、報酬だけならパーティ口座に入金してもらえれば、他の街でも確認できるわ」


行動指針が出来たので、少し早めに昼食をとることにした。ルビーの歓迎会を兼ねて結構いい値段の食事を注文する。といっても、食堂だからそれほど高価な料理は置いてないけどな。ルビーは普通に肉が好きらしく、ステーキを注文していたな。まあ、ルゥナはそんなに食えないから大抵余るんだけど、余ったら店員にバレないようにストレージに入れておけばいい。


「それじゃあ、クラウド隊長の所へ向かいましょう。クラウド隊長は、今は護衛隊の本部に居るようね」


護衛隊は、街の中にいくつも支部がある。警察の交番みたいな感じかな。そして、それを統括する本部が街の中央付近にある。中央は領主邸になっているので、そこの防犯も兼ねているのか?


本部へ行くと、当然入口に護衛兵が立っていた。さすがに交番みたいに自由に入れてはくれないか。ルゥナは俺の肩に立ち、護衛兵と目線を合わせやすくする。


「私は冒険者のルゥナよ。クラウド隊長に取次ぎをしてほしいのだけれど」


「あ、俺はアキラです。ゴブリン喰らいの件で報酬があると聞いたので来ました」


ルゥナの言い分だけでは不審そうに見られたので、俺は慌てて追加情報を渡す。


「なるほど、分かりました。確認してまいりますのでしばらくお待ちください」


門前払いにならずに済んだ。急な訪問だけど、クラウド隊長が対応してくれればいいんだけど。いや、別に他の人でもいいんだけど、その場合は俺の人見知りが発動する。


しばらくして、さっきの護衛兵の人が戻ってきた。


「お待たせしました。隊長は食堂で待つそうです。食堂は、入り口から近いので案内しますね」


「ありがとうございます」


俺は親切に案内をしてくれる護衛兵の方にお礼を言うと、後ろを着いて行く。ちょうど昼近いという事で、結構な人が食堂に集まってきている気がする。まあ、初めて見るからこれが多いのか少ないのかは知らないけど。


「やあ、アキラくん。こっちだよ」


クラウド隊長が手を上げて合図してくれた。それを見て、護衛兵の方は持ち場へと戻っていった。クラウド隊長は、俺達が来ると聞いて場所をあけておいてくれたのか、食堂の隅のテーブル一つを貸し切りにしてくれていたようだ。クラウド隊長と一緒に食事をしたい人が居ないだけ・・・じゃ無いと思う。


「何か食べるかい? 俺が奢るよ」


「いえ、食事はすでに食べてきました。新しいパーティメンバーが増えましたので」


「拙者の名前はルビーです。以後、よろしくお願いいたします」


ルビーが丁寧にお辞儀をすると、クラウド隊長もお辞儀で返す。


「最近噂の赤髪のハーフエルフは、ルビーさんって言うんだね」


「知ってるんですか?」


「ああ。時折、派手な喧嘩をすると護衛兵達の噂になっていたよ。あまりにひどいようだったら、ここに呼びだす必要があるかと思っていたんだ」


「そ、そうだったのか。だが、これからは大丈夫だ。アキラ殿達とパーティを組み、他の街へと旅にでるからな」


「用件は報酬の件だね。ゴブリンキングの剣が、思ったよりも価値が高くなりそうだから期待していいよ。ただ、クエスト自体の精査がまだだから、そっちの方はもう少し時間がかかりそうなんだが」


「パーティ用の口座を作ったから、そっちに入金して頂戴。それなら、私達が居なくても大丈夫でしょう?」


「あー、うん、報酬についてはそれでも構わないんだけど、長年解決しなかったゴブリン喰らいの事を解決した冒険者に、領主様が直々に表彰しようかって言ってるんだけど」


「けけけけ、結構です! 俺は、遠慮します!」


表彰と聞いて、大人数の前で賞状を受け取る場面を想像し、すぐに拒否する。そんな人前に出ることなんて俺にはできない。


「名誉な事だよ? 一応、領主様直々に報酬とは別に金一封を出すくらいには。でも、冒険者をいつまでも留めておく訳には行かないし、俺の方で断りを入れることにするよ」


「助かります。それじゃあ、俺達はすぐにでも旅に出ようかと思っていますので」


そろそろ、周りの護衛兵さん達の視線が痛い。別に悪いことをしたわけじゃないんだけど、居心地が悪いのだ。誰だって、警察署の中で警官たちに囲まれていたら、悪くなくても緊張するだろ?


「それは急だね。今からだと、馬車も出ないよ?」


「そうなんですか?」


そう言えば、乗合馬車についてはまだ調べてなかったな。


「大丈夫よ。馬はもう用意してあるわ」


「え、いつの間に・・・」


基本的にルゥナはずっと俺の近くに居たような気がするんだけど。


「僕、知ってますよー。この間やっつけた盗賊さんたちの馬を2頭ほど確保してたみたいですよー」


クラウド隊長にはシルフィの声は聞こえない。だから、俺もシルフィには返事しないけど、頷いて「分かった」と伝える。なるほど、あいつらが乗ってきた馬を秘かに確保していたのか。エサやりとかどうしてるんだろうな?


「そうか、準備が終わっているなら止める事は出来ないね。それじゃあ、気を付けて」


最後に、クラウド隊長と握手する。恐らく、もう会う事は無いだろう・・・。少し寂しい気もするが、こういう出会いと別れは今後も何度も経験するだろう。俺は、出来るだけ笑顔で別れる事にした。



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