表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移して奴隷にされたけど、見えない塊を拾ったので逃げる事が出来ました  作者: 斉藤一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/63

武器ランク

「え~っと、あの~、その~・・・」


俺はルゥナと何の打ち合わせもしていない。だから、ルゥナの無茶ぶりにどう返事をするのが正解か分からない。


「ああ、そうだな。そんな秘密、おいそれと話すわけにはいかないってことだろう? すまなかった、この事は今後詮索しないことにするよ」


どうやら、クラウド隊長の中で完結してくれたようで、下手な嘘をつかずに済んだ。嘘は重ねれば重ねるほど破綻するものだからな。つかなくていいなら、それにこしたことはないはずだ。


「そ、それじゃあ、俺は回収してきます」


「ああ、頼むよ。俺はゴブリン喰らいにつけるはずだった魔道具を回収するとしよう」


クラウド隊長が離れたので、俺はルゥナと一緒にゴブリンキング、クイーン、ゴブリン喰らいの死体とマジックウェポンを回収しに行く。といっても、実際にはルゥナがストレージにしまうだけだから、俺は回収するふりをするだけだ。


「おい、ルゥナ。どうして俺が大容量のマジックバッグを持ってる事にしたんだよ」


「私の正体がバレたら、もっと面倒な事になるでしょう?」


「だったら、回収するなんて言わなきゃいいじゃ無いか。あの流れだったら、護衛隊が回収してくれそうだっただろ?」


「いい? アキラ。これでクラウド隊長にとってアキラはもう無視できない存在になったのよ? 国宝級の魔道具を持ち、さらにはゴブリンキングすら倒す冒険者として。身を守るには、ある程度の実績を示しておくのも悪くないわ」


「俺は、別に冒険者として名を挙げたいとかの野望はないぞ。それに、ゴブリンキングを倒したってことだけでも十分だろう」


「使用者制限有のマジックボックス持ちだと知られれば、普通にマジックボックスを持ち歩くよりも安全よ? 実際、見た目じゃマジックボックスの容量なんて分からないんだから。ここからの帰り道、それとなく使用者制限があるということはクラウド隊長に広めて貰いましょう」


「そういうものか?」


なんか腑に落ちないが、もう言ってしまった事は今更取り消せないのでルゥナの言う通りにするか。ゴブリンクイーンの死体を見たが、細長くなったゴブリンって感じだな。女性らしさが少しあるくらいで、やっぱりゴブリンはゴブリンか。


「ゴブリンクイーンって弱かったのか?」


「単体なら弱いわよ。人間で言えば、後衛の支援職だもの。ただ、数十体のゴブリンに囲まれた状態でゴブリンクイーンの範囲バフを使われたら、Bランク冒険者パーティですら勝てないわよ。見たでしょう? ゴブリンキングのパワーアップを。あれが、他の雑魚ゴブリンにも適用されるんだから、普通に苦戦するわよ」


「ああ、なるほど。どうして1体だけで出てきたんだろうな。それこそ、他のゴブリンを連れてこればよかった・・・いや、俺達にとってはピンチになるから連れて来てなくてよかったんだけど」


「分からないわ。ただ、ゴブリン喰らいの事で、ゴブリンキングが出てこないように命令していた可能性が高いと思うのだけれど」


「確かに、出て来たらゴブリン喰らいに食われるだけだったからな。クイーンは、それでもキングを助けに来たって事か? ゴブリンって結構仲間意識が高いのか」


「本当に夫婦だったのかもしれないわね」


ゴブリンの生態はよく知らないが、思ったよりも人間に近いのかもしれない。まあ、人間を食う時点で絶対に仲良くは成れないが。


「クラウド隊長、回収終わりました」


「こっちも終わっているから、街へと戻ろう。馬が逃げ出していなければいいけど」


少し戻り、馬を繋いでいた木の所まで戻る。幸い、馬は無事に残っていた。一応、縄は馬が力いっぱい引っ張れば切れるようになっていて、魔物に襲われた時には自力で逃げ出せるようにしてあったみたいだ。


来るときと同様に、エーテルをクッション代わりと手綱代わりにして乗馬する。帰りは何事もなく街へと近づくことが出来た。


「よし、この辺でいいだろう。このあたりなら、街から近いし魔物もほとんど出ないはずだ。じゃあ、俺は先に街へと行って回収する部隊を連れてくるから、アキラくんはこの辺にゴブリン喰らい達の死体を取り出しておいてくれ」


「分かりました」


一応、俺達は見張りとして残ることになっていた。いくら魔物が少ないとはいえ、ゼロではない。素材に傷がつけばその分価値が下がるから、やはり守っていた方が良いだろう。


「ところで、ゴブリンクイーンでシルフィが役に立ったって言ってたけど、何をしたんだ?」


「僕の魔法でばーっと足止めして、ぱぱーっと攻撃したんですよー」


「うん、分からんな。まあ、役に立ったのならいいが、今度からは俺を置いて行かないでくれよ」


「僕って森の精霊じゃないですかー。だから、どうしても火魔法は苦手なんですよねー。別に僕自身が燃えるわけじゃ無いんですけどー、何となく嫌なんでー」


まあ、木が火を嫌がるのは分かるから、仕方ないのかもしれないが、一応精霊魔法使いで通っている俺が、精霊魔法を使えなくなったら居る意味が無くなるんだから、その辺のことを考えないといけない。そういえば、クラウド隊長にエーテルの事もバレたが、これも内密にしてくれるのだろうか。


30分ほどして回収部隊が近づいてくるのが見えた。先頭はクラウド隊長だ。まあ、場所を案内するんだから先頭に立つのは当然か。


「お待たせ。あとは、こっちで素材を運んだあと、いくらで売れるか見積もるよ。武器は別の場所に持って行くから、ついてきて貰えるかい?」


「分かりました」


俺達は、魔物を乗せた台車と一緒に街へと戻る。今回は馬車も着ていたのでそっちに乗っている。やはり、馬車の方が乗馬よりも楽だ。そして、街へ着いたらクラウド隊長に一軒の建物へ連れていかれた。見た目は駄菓子屋みたいな感じで色々な道具を売っている店の様だが、置いてある道具に規則性は無い。なんか、適当に置いてあるだけに見えるが。


「この店に、この街一番の鑑定職人が居るんだ。そこに並んでいる物は、鑑定し終わった依頼品だよ」


「ああ、売り物じゃ無かったんですね。どおりで値札がついていないと思いました」


「一応、販売もしているんだけどね。鑑定結果を見て、それを売るか持ち帰るか選べるから」


「なるほど、面白そうなものがあれば、買いたいですね」


「あとで見てみると良いよ。とりあえず、マジックウェポンを鑑定にまわそう」


「はい」


店の奥に行くと、几帳面そうな眼鏡の青年が居た。どうやら、この人が鑑定職人みたいだな。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしく。クラウド隊長が一緒という事は、どうやら普通の品じゃないってことですよね?」


「ああ、ゴブリンキングの剣とゴブリンクイーンの杖だ。珍しいだろ?」


「本当ですか?! ああ、そんなレアアイテムの鑑定が出来るなんて、久しぶりで嬉しいですね」


「それじゃあ、アキラくん。ここにマジックウェポンを出してくれないか」


「分かりました」


俺は、あらかじめ俺のマジックボックスに移しておいた剣と杖を出す。この程度なら、普通に入るからな。 


「ほぉ、これがゴブリンキングの剣ですか。すごい魔力を感じますね。レア度で言えば、スーパーレアってところですか。そして、こっちがゴブリンクイーンの杖ですね。こちらも、すごい魔力だが、残念ながらコモンだね」


「レ、レア度? スーパーレアってすごいんですか?」


俺は、ゲームみたいな単語が出てきたので驚く。まあ、日本人が居る世界ならおかしくないだろうけど、ソシャゲとか出たのってそんなに昔じゃ無いよな?


「ああ。ついている効果の数や性能の良さでレア度が変わるんだ。何もついていない武器がコモン、1個ついていたらアンコモン、2個ついていたらレア、3個ついていたらスーパーレアだ。そして、スーパーレアの中でも性能の良い物がつくか、4個ついていたらウルトラレアになる。そして、5個以上、もしくはすべての性能が大もしくは有益ならレジェンドレアになる。さすがにそこまで行くと、持っているのはSランク冒険者くらいだろうけどね」


うん、結構思った通りのランク付けだったな。とりあえず、スーパーレアは結構珍しい物みたいなので、結果が楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ