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冒険者ランク

「えっと、精霊使いについてはもういいですか?」


「そうだね。とりあえず、仮説として精霊に触れられる者ってところにしておこうか」


「それで、俺の冒険者登録についてはどうなりますか?」


「ジェーンくん、先に彼に冒険者について教えてあげて貰えるかい?」


「分かりました。まずは、冒険者のランクについてお教えしますね。まず、一番上がスペシャルランクとなり、通称Sランクと呼ばれます。これは、偉業を達成した者に与えられる称号のようなもので、魔王を倒すなどの他、珍しい魔道具の作成や魔鏡の攻略など様々な理由でSランクになれます。冒険者としては一番上からAランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランク、Fランク、Gランクとなっており、AランクからCランクの冒険者は報酬の良い特別依頼や指名依頼が受けられる代わりに、ギルドからの緊急招集の拒否権がありません」


「それでも、逃げたりして拒否した場合は・・・?」


「基本的に、冒険者は訪れた街で滞在の為に冒険者証をギルドに一度は提出します。緊急招集が発令した瞬間、滞在として登録されている冒険者が分かるので、逃げても分かります。そして、その者はDランクに降格ですね。DランクからCランクに上がるには、昇級試験があるのですが、それを受ける事も出来なくなります」


「つまり、一生Cランク以上に上がれないって事ですか?」


「そうなります。ちなみに、GランクからFランクに上がるには、常設クエストを3つ依頼達成する事。FランクからEランクに上がるには、1匹以上の魔物を退治するクエストの依頼達成する事。EランクからDランクに上がるには、1回以上護衛依頼を達成する事となっております」


「なるほど。つまり、順当にいけばある程度冒険者としての実力がついたら次のランクに上がれるって事ですね」


「はい、そうです。ただ、低ランクは結構すぐに上がる事が出来ますよ」


「それで、アキラくんについてはEランクからスタートしてもらおうと思う。中級精霊を連れたものが弱いはずが無いからね。それに、魔物の素材を持っているだろう? それ、君達で狩ったんだよね?」


キラーディアの角については、街に入る前はたまたま拾ったことにするつもりだった。その方が問題が無さそうだったから。だって、布の服を着ただけの人間が魔物を狩りましたといって信じてもらえると思えない。ただ、リンドールさんはシルフィの強さ?を知ったから、俺が魔物を狩ったと思ってくれるようだ。実際は、シルフィはキラーディアから逃げようとしていたんだがな。


ただ、エーテルについてはどうしたものだろうか。シルフィの殺人未遂事件のせいで、リンドールさんもエーテルについて忘れている様だし。これ以上問題にしたくないし、黙っているか。


「はい。とりあえず、この格好だと魔物の素材を持っているのが目立つと思ったので角だけ持ってきました。実際には骨や肉もありますが、近くの森に隠してきました」


「それなら、とりあえずその角だけ先に買い取ろうか。キラーディアの角は、槍や調合の素材になるから、それなりの値段になるはずだよ」


「お願いします。そのお金で通行税を払って、残ったお金で服を買いたいと思います」


俺は少しでも金額を上げてもらおうかと、同情を誘う作戦に出る。実際、効果はあった様だ。


「通行税分は上乗せしてあげよう。それと、服についてもこちらで用意しよう。ギルドには、中古の装備や服もあるからね。これは、孤児なんかのお金が無いけど冒険者を目指す者たちに無償で与えるものだよ。アキラ君は、今はお金を持っていないから対象にしてもおかしくないだろう」


これからお金を得るであろう俺は、本来対象にはならないだろうが、リンドールさんの好意という事で受け取っておきたい。何より、下着すら無いこの状態が耐えられないからだ。さすがに下着は無いだろうが・・・いや、あっても着ないが、早く服を着たい。


「では、私は冒険者証の発行に行ってまいります。その間、装備を整えてきてはどうでしょう? 場所は、ギルド横の倉庫になります」


ジェーンさんは、そういうとでていった。俺も出て行こうとしたところ、リンドールさんに呼び止められる。


「ああ、ついでに召喚について話しておこうかと思う。最初に言っておくと、残念ながら元の世界に帰る手段は今のところ見つかっていない。この世界で言う召喚とは、上位の世界に落とし穴を掘ってこの世界に落とすようなものだからね。だから、召喚は出来ても同じ方法で送還することは出来ないんだ。ただ、アキラくんの居た世界と、この世界では、時間が進むのが1000倍くらい遅いんだ。つまり、ここで例え3年過ごしたとしても、君の世界では1日くらいしか経ってないって事になるね」


「つまり、この世界で数十年前に召喚された日本人でも、俺の居た世界では10日くらいしか経っていない事になるんですか?」


「そうなるね。だから、この世界にも遥か昔から異世界の知識が残っている。さっき伝えたランクについても、異世界の言語が元になっているようだよ」


だから微妙に英語やアルファベット、日本の言語があるのか。だったら、ガンダム好きだと思われる人も案外、初代ガンダムが好きなだけで年代は近いかもな。それに、異世界の言葉を即座に翻訳する機能というのも高性能すぎると思ったが、すでに存在はしていたならおかしくは無いか。まあ、奴隷商人の言葉は全く分からなかったから、単語のみたまに通じるくらいだと思っておこう。


「さらに、アキラくんの持っているスキルみたいに、新しいスキルも常に発見されているから、送還スキルなんていうのも今は無くてもその内発現する人が居るかもしれないね」


「召喚はスキルじゃ無いんですか?」


「実は、召喚はスキルじゃ無いんだ。手順を踏めば誰でも使えるんだけど、対象をどうするのかが問題でね。特に指定しなかった場合、宇宙のどこかに落とし穴を掘るようなもので大半は何も召喚されないんだ。ただ、奴隷商人はその条件をある程度知っているらしくて、結構な頻度で召喚で異世界人を呼んでいる様だよ。それでも、一回召喚を使うと66日間は再使用できないんだけどね」


もしかしたら、元の世界に戻る手順があるのかもしれないな。けど、俺は元の世界にそれほど戻りたいと思っていない。未練が無いと言えばうそになるけど、将来やりたいことも決めてなかったし、働きたくない。漫画や小説、ゲームなんかの続きは気になるけど、それだけだ。この世界に召喚された日本人が居るのなら、そういう娯楽もきっとあるだろう。


「色々と教えていただいてありがとうございます。それじゃあ、ありがたく装備をいただいてきます」


「ええ、どうぞ。それでは、装備が整ったら残りの素材も買い取りますので取りに行ってはどうでしょう?」


「はい、そうします。それでは」


俺はギルドマスターの部屋を出て下に降りる。そして、目立たないようにギルドの勝手口の方から外に出て倉庫に向かった。


「ここが倉庫みたいだな。誰か居るかな?」


「居なかったら、好きなだけ持って行けるねー」


シルフィも、姿を現してくれた。今はもう怒っていないようで良かった。一時はどうなるかと思った。これから口には気を付けよう。俺は倉庫の扉を開けて呼びかける。


「ごめんくださーい」


「はーい」


そこには、ゴリラの様な毛むくじゃらのおじさんが居るのだった。





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