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村人A、恋の危機~幼なじみが勇者に選ばれてしまった件~

「勇者に選ばれた」

「……はい?」


 大真面目な顔をして、勇者がどうのと妄言を口にしたのは、何を隠そう私の幼なじみだ。


 アルジール・フランデ。

 クセのない黒い髪に、切れ長のグレーの瞳。死んだ魚みたいな目だなと私は思うけれど、村の女の子たちに言わせるとクールなのだとか。冷たい眼差しが人を遠ざける雰囲気がある。それもまたクールなのだとか。

 まあ、確かに、顔はまあまあ良い。まあまあ。まあまあ。

 とはいえ、私は人のことをとやかく言えるような顔をしていない。


「だから、勇者に選ばれた」


 面倒くさそうに、アルジールは同じ言葉を口にした。


 私たちの住む村は、寂れているわけではないけれど、決して大きくはない。村人全員合わせて、五十人いるかいないか。これといった名産品もなく、観光に来る人もいない閉鎖的な村だ。

 そんな場所にずっといたから、変な妄想でもしたくなってしまったのかもしれない。


 私は仙人のような悟った顔で微笑み、ポンと、自称勇者、アルジールの肩を叩いた。


「うんうん、最近暑かったもんね。それより勇者様、洗濯終わった? 洗剤足りなくてさ、少し貸してくれない?」

「おい、信じてないだろ。本当だって」

「わかったわかった」

「……朝起きたらコレがあったんだよ」


 嫌そうに顔をしかめながら、自称勇者、アルジールは手に持っていたやけに立派そうな剣を前に突き出した。


「何それ? ジルそんな剣持ってた?」

「だから、朝起きたらあったって言っただろ」

「そうなんだ。誰かからのプレゼントかな? けっこう良さそうだね。売ったらいくらになるかな?」


 値踏みするようにジロジロと無遠慮に剣を眺めた。剣の持ち手のところに、キラキラと光る宝石のようなものがつけられている。


 もしかしなくても、これは本物の宝石だろうか。そうしたら、この剣を売ったら一生食べるものに困らないかもしれない。


 私はパッと顔を上げてアルジールを見た。


「ねえねえ!」

「……売らないぞ」

「えっ、まだ言ってない。よくわかったね」

「目玉が金になってたからな」


 目玉が金になるはずがないだろう。やっぱり、自称勇者を名乗るだけあって、やや妄想癖があるようだ。


「売ったりなんてしたら、呪われそうだ……」


 アルジールはやけに疲れたようにため息をついた。


「まっさかあ。ただの剣でしょう。呪いなんてそんな……」

「ただの剣ではないゾ、ムスメ」


 ピシリ、と空気が固まったような気がした。

 視線を走らせ、辺りを見回してみる。今ここには、私とアルジールしかいない。


「……なんか、変なおっさんの声が」

「オッサンとは、無礼なムスメだ」


 私は、錆びついたブリキになった思いで、アルジールの手の中にある剣を見た。


「我が名は、聖剣バルハイト」


 変なおっさんの声が聞こえるたびに、ピカピカと宝石が点滅している。

 ……疲れてるのかな。

 私は自分の目をこすった。ふぅ、と一息ついて、アルジールを見る。


「それで、洗剤なんだけど」

「……今見なかったことにしたろ」

「洗剤」

「言っとくけど、幻覚とかじゃねえぞ。俺も朝起きたとき変なジジイの声がするからビビった」


 アルジールはげっそりと肩を落として、手に握っていた剣を鞘から引き抜き、少し乱暴に地面に突き立てた。


「どわっ、何をする! 乱暴に扱うな」

「うっせーな、剣だろ、剣」

「この綺麗な体に傷がついたらどうしてくれるんじゃい!」

「気持ち悪い言い方すんな」


 な、なんだ、これは。

 頭がおかしくなったのかな。

 アルジールが剣と会話をしているように見える。いや、そんなわけない。なにか仕掛けがあるのだろう。



「え、と……勇者って言うのは……」


 おそるおそる口にすると、アルジールは私を見た。


「さあ。このジジイが、おまえが勇者だ、とかなんとか」


 アルジールは人差し指で地面に突き立てられている剣を弾いた。


「我が名は聖剣バルハイト」

「さっき聞いたよ」

「おっほん。世界が常闇に包まれるとき、我は目覚める」

「今昼だよ?」

「ええい! ムスメ、話の腰を折るな!」


 気になったから、つい。


「それと私はムスメじゃなくて、ミリア・リーベル」

「ふむ、そうか。よく聞けミリア。コレから世界は暗黒に包まれるだろう。我を扱える勇者の力が必要なのじゃ」

「なんでジルなの? 確かにこの村の中ではジルは剣が上手いけど、もっとすごい人ならお城にいると思うよ?」

「剣の技術はどうでもよい。我を扱える魔力があることが重要だ」

「……魔力?」


 なんのこっちゃ、と首をかしげながらジルを見上げた。ジルは肩をすくめる。知らないらしい。


「なんと、魔力を知らぬのか? おお、嘆かわしい! 文明はソレほど退化しているのカ!」

「文明は進化してると思うけど。昔は剣だけだったらしいけど、今はピストルが一般的だし。遠くから、バーンってするやつ。知らない?」

「魔力を忘れ、そのようなものに取り憑かれるとは!」


 なんだかこの剣とは話が噛み合わないようだ。私は剣の柄に手を伸ばして、地面から引き抜こうとした。


「んっ、なにこれっ、おも! ジルこんなの持ってたの?!」


 あまりの重さにビクともしない。手を離して肩で息をすると、アルジールは何言ってんだという目で私を見て、するりとたやすく剣を地面から引き抜いた。そして、鞘に収める。


「うそぉ」

「たいして重くないぞ。持ってみるか?」

「い、いい! なんか嫌な予感する! それにその剣おっさんでしょう? あんまり触りたくないなあ」

「キーッ! このムスメ! 我は聖剣じゃ! 聖なる剣。我と相性の良い魔力を持つ者しか手にすることはできぬ!」


 剣が発狂した。

 なんかすごい絵面だ。チカチカと狂ったように点滅する宝石。雑に剣を持つ、自称勇者。

 当たり前みたいに剣と話してしまっている私も、頭がおかしいかもしれない。


「えーと、そうだ。私、洗濯が……」


 ふと我に返って、白々しくそう口にする。


「ああ、洗剤だったな。ちょっと待ってろ」


 そう言って、アルジールが剣を片手に家の中に入っていく。

 戻ってきた日常に、ほっと息をついた。

 ぼんやりと空を見てると、扉が開く音がした。視線を向けるとアルジール。


「勇者って、冗談だよね?」


 洗剤を片手に歩いて来たアルジールにそう問いかける。アルジールは肩をすくめる。よくわからないらしい。

 洗剤を受け取っていると、後ろからひょこひょこと跳ねながら、聖剣がやって来た。独りでに歩いている剣、という恐怖のワンシーンを見てしまう。


「えっ、なになに、こわ!」

「勇者よ、安心するがよい。我の存在をつかんだ神官が、いずれこの場所へとやってくるはずじゃ」


 私は目を瞬いた。


「えっ。神官?」

「うむ、我がよみがえったことを知った神官たちが、勇者を迎えにやって来る」

「……え。なにそれ。まさか、それって、ジル、この村を出て行くってこと……?」


 チカチカと瞬いた自称聖剣は、高らかに不穏な笑い声を響かせた。ぶひひひひ、と。




 自称聖剣、バルハイトの言ったことは、まさに現実となった。


 あれから数日後、私たちの住む閉鎖的な村には、神官と名乗る、白のローブを着た厳格なお兄さんがやって来た。白く長い髪を結って、横から垂らしている。美人だった。

 ただ、後ろに幾人もの兵士を引き連れていた。軍隊かと思った。この村が襲われるのかと、村人は阿鼻叫喚におちいった。


「ひいぃぃぃぃ!」

「ぎゃあああああ! やめろおぉぉぉおお!」

「お、おちっ、落ち着いてください! 我々はみなさんに危害を加える存在ではありません!」

「こっち来るなぁぁぁぁ!」

「いたっ! もの投げましたね?! 神官であるこの私にっ……! 覚悟はできていますか?」

「ひぃぃいい、やっぱり殺されるぅぅぅぅ!」

「ち、ちがっ、それはあなたたちがものを投げたからでしょう!? ええい、落ち着けと言っているだろう!」


 外は地獄絵図だった。


 窓からその様子を見ていた私は、くるりと振り返って、あぐらのまま腕を組み、黙って目を閉じている自称勇者を見た。いや……。もう自称勇者ではないのかもしれない。


「ね、ねえ。あれってさ、ジルを迎えに来たのかな?」

「さよう」

「おっさんには聞いてない」

「んなっ!?」

「でもいいや、あれが本当にその神官なの? じゃあジルは、どこに行っちゃうの?」


 宝石をチカチカと点滅させている剣に、私は四つん這いで近づいた。


「城じゃ。他の仲間たちも集まっていることだろう。そして目覚める闇の根源を倒すのじゃ」


 威厳たっぷりに言っているがよくわからない。

 城に連行されるということだけはわかった。私はチラリと目を閉じて黙っているアルジールを見た。


「ねえ、どうするの?」


 アルジールはパッと目を開けて、聖剣をつかんだ。


「行ってくる」


 そう行って、面倒くさそうに腰を上げ、首をぐるぐると回す。


 私は少しだけびっくりした。断ると言うかと思ってた。だって、今まで普通の村人Bだったのに、いきなり勇者だなんて。

 立ち上がったアルジールのズボンを軽く引っ張る。


「……行っちゃうの……?」


 たよりない声が出た。アルジールは私を見ると、ニヤリと、よからぬことを企んでいる顔で笑った。


「ばーか。なんつう顔してんだよ」

「だって、き、危険かもしれないし」

「……まぁな」

「お、幼なじみとしては、心配だし……」

「ふぅん? ま、パパッと倒して帰ってくるから、心配すんな」


 うそだ。

 そんなパパっと帰って来れるはずがない。そもそも、こんなちっぽけな村を出たら最後、都会の煌びやかな誘惑に負けて二度と帰って来ないに決まっている。


「私も行く」

「は?」

「わ、私も行くっ!」

「無茶言うなよ。連れて行ける訳ないだろ」

「それでも行くっ。わ、私、交渉してくる。値切るのには自信があるんだ」

「値切るって、なんか違くね?」


 うるさいな。そういう真面目なツッコミはいらないよ。

 私は拳を震わせながら家の扉をスパーンッ! と開け放つと、村人にもみくちゃにされて涙目になりながら震えている、美人お兄さんの神官の元に歩み寄った。

 そして、慈悲の笑顔で片手を差し出す。


「あなたを助けてあげます。代わりに、私の言うことを聞いてください」

「……あなたは……まさか、神、なのですか?」


 私を見て、震える神官はそう言った。

 恐怖に呑まれた人を操るのは簡単だといつだか聞いたことがある。

 私は心の中でによりと笑った。


「勇者の居場所を教えます。私に着いてきてください」


 目じりの涙を拭った神官は私を見て祈りを捧げた。




 結果的に言うと、連れて行ってもらえることになった。

 神官には「騙された!」と叫ばれたけれど。でも約束は約束だと。真面目だ。爪の垢を煎じてアルジールに飲ませたいくらいだ。


「神殿の雑用が欲しいと思っていたんです。これも運命の巡り合わせなのかもしれません」


 そう言って本物の慈悲の笑顔を浮かべる神官様を私は拝んだ。


 お母さんたちに大雑把に説明した。「何考えてるのこの子は!」と怒鳴られたけれど、最後には許してくれた。我ながらいい親だと思う。



 そうして、私は初めての王都へとやって来ていた。アルジールはすぐにどこかへ行ってしまった。たくさんの兵士に囲まれていたからお城に行ったのかもしれない。


 私はというと、神官様の荷物を両手に持ち、悠々と手ぶらで前を歩く神官様御一行を追いかけていた。


「ミリア! 遅れていますよ」

「はぁい」


 神官様の荷物がやたら重いせいだけどね。

 何を入れているのかと思ったら、小さな祭壇を持っていた。それを背負っているんだ。今の私は神を背負っているのといっしょ。


 それにしても王都ってすごいところだなぁ。なんか街の人たちみんな光ってない? 発光する人種を集めたのが王都なのかな。


「ミリア!」

「はぁ〜い、今行きます!」


 よそ見をすることも許されない。神官様は美人だけれど、意外と厳しいお人だ。美人だからいいけどね。


 私は列をなして歩いている神官様の横に並んだ。人々がみんな立ち止まって祈りを捧げているのは圧巻だった。

 神官様って、そんなに偉い方だったのね。神神詐欺を働いたことは死んでも言えないな。


 やがて神官様たちの住居兼仕事場である神殿にたどり着く。それはもう、すごすぎてあんぐりと口を開けながら見上げた。細工がとにかく美しすぎて、ステンドグラスという煌びやかなガラスに慄く。


 場違いかもしれない。


 ここに来てようやく、私は思った。背中に背負った祭壇の肩ベルトをギュッと握り締めながら、ゴクリと唾を飲む。


「ミリア! 何してるんです、置いていきますよ」

「は、はぁい……」


 小さく返事して、神官様の隣に並ぶ。自分の姿が反射しそうな床にソワソワと視線をさまよわせる。


「あ、あの。神官様」

「なんです?」

「今さらなんですけど、私、場違いじゃないですか……?」

「本当に今さらですね。あの食らいつくような勢いはどうしたんですか?」


 グサッと、言葉のナイフが突き刺さる。


「いやぁ、その……さ、さすがにまずかったかなと。無理やり脅したようなものですし……」


 神官様はおかしそうにクスクスと上品に笑った。


「田舎者の無鉄砲さ、私は好きですよ」


 褒められているのだろうか?

 まあ、いいや。好きだというのならその言葉を正面から受け取っておこう。


「私、誠心誠意、働きますね!」

「いい心がけですね。ではさっそく」


 神官様は、満面の笑みを浮かべて、ひとつの部屋の前で足を止めると、ゆっくりと、扉を開いた。


「この部屋の掃除、お願いしますね」


 机に、紙の塔がいくつもできあがっている。机だけでは足りなかったのか、床に散乱した紙の山。転がった空のインクボトル。出しっぱなしの本。

 うっわ、きたな!

 口に出して叫ばなかったのを褒めたい。私はおそるおそる、部屋の中を指さした。


「あのー、ここは?」

「私の執務室です」

「……神官様の?」


 この汚すぎる部屋を、神官様が使っている……?

 扉を開けている美しい顔を見る。部屋を見る。眩い顔を見る。部屋を見る。


 ……盗賊にでも入られたのかな?


「あのー、出かけている間に泥棒でもきました?」

「いいえ、いつも通りですよ」


 いつも通り?

 いつも通りってなんだろう。まさか、この部屋の惨状じゃないよね。こんな汚すぎる部屋を、この美しい人が使っている?


 ちょっと、目眩がした。


「私はほんの少し、片付けるのが苦手なんです」


 罪を白状するように、神官様は肩をすくめた。


「いやこれ、ちょっとじゃないですよね。大問題ですよ。その顔で。こんな汚部屋と一蓮托生なんて。ゴミ転がってますよ。聞いてますっ?! ひぃ、このカップ、いつのですかァ!?」


 汚すぎる部屋に足を踏み入れた私は早くも泣きたくなった。なんか服転がってるけど、これいつのだろう。怖いな。この部屋が魔窟だ。何が出るのかわからない。


 大きなため息をついて、背負っていた祭壇をすみっこに置くと、腕まくりをした。


 必ずや、この部屋を蘇らせてみせる。




「ふぅ……」


 キュッと、窓を拭き終えて、額の汗を拭った。


「さすがですね、ミリア。あなたを連れてきて正解でした。やはり神のお導きですね」

「……それは、どうも」


 私は適当に乗りかかった船が、こんなオンボロ沈没船だなんて思わなかったよ。


 誰もが口を覆いたくなるような汚部屋を、見事よみがえらせることに成功した。

 散らばっていた紙はまとめて整理したし。転がっていた服も洗濯した。いつのものかわからない食器も私が洗った。


 窓を開けて空気を入れ替えつつ、用意したカップにお茶を注ぐ。やたらいい匂いのする茶葉を使った。これが王都の人間の飲むものかと、田舎とのギャップに憤慨した。


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」


 香りを楽しんでいる神官様は、やっぱり美人だ。顔だけ。汚部屋に住んでいたとは思えないくらい。


「神官様、掃除してくれる人いなかったんですか? よくこんな部屋に居られましたね」

「いないこともないですが……王都というのは、いろいろと面倒なんですよ」


 どういう意味だろう?


「権力の集まる場所ですからね。神殿に居る者も、どこかの貴族の三男坊とか、そういうのが多いです。ひいきしてると噂が立つのも面倒ですし、重要な書類もありますからね。見られるのはもっと困ります」

「……私は見てもいいんですか?」

「見ても、あなたに何かする力なんて無いでしょう?」


 笑顔で辛辣なことを言う人だ。まあ、事実だけれど。権力というのも大変らしい。


「神殿って、もっと神聖な人たちがいるのかと思ってました。神のために、とか。人々を幸せに、とか」


 神官様は情けなく眉を下げる。


「そうあって欲しいですが、実際は腐った権威の溜まり場ですね。恥ずかしいものです」

「なんか、聞いちゃいけない裏事情を知ってしまった気分です」

「他言したら神に呪われますよ」

「……神官がそんなこと言っていいんです?」

「言うだけならタダですので」


 ニコリと微笑んで、神官様は優雅に茶をすすった。絵になる人だ。


 それよりも、今ごろ、アルジールは何をしているのだろうか。窓から見える立派なお城を横目に、小さくため息をついた。



 そうして、神官様の雑用として働き始めて三日目のことだった。

 私の耳にその知らせが届いたのは。


「勇者が現れた」


 と。




 神官様のお使いで街の中を歩いていると、至るところで勇者の話がされていた。もう国中その話題で持ちきりだ。


「この世界が闇におおわれるらしいぞ……」

「空から魔王が降ってきて世界を征服するらしい」

「美しい女をさらって生き血をすするそうだ」

「怖い……」

「恐ろしい……」


 怯える人の合間を縫って、パン屋にやって来る。


「すいませーん。堅焼きパンふたつくださーい」

「はいよ、ご贔屓にどうも!」


 長いパンをふたつ受け取って、来た道を戻る。まだ人々は井戸端会議をしていた。まったく、暇なことだ。


「魔王を倒した勇者様は姫様とご結婚なさるらしい」


 ……ん?

 ピタリと足を止める。私は巻き戻った。そして、笑顔で井戸端会議に参加する。


「そのお話、詳しく聞かせてもらえますか?」



◇◇◇




「ただいま戻りましたー」

「おやミリア、遅かったです……ね?」


 書類から顔を上げた神官様は、私の顔を見てぱちくりと目を瞬いた。


「どうしました?」

「別に何でもありません」


 どっこいしょ、っと、持っていた荷物をテーブルに置く。


「ミリア、私は神官ですよ。迷える子羊の悩みを聞くのが仕事です」


 顔にワクワクって書きながらそんなことを言われても。


「楽しんでますよね?」

「いいえ。真剣です」


 真剣に楽しんでるでしょう、その顔は。

 でも、まあいいか。聞くだけなら。


「神官様、勇者がお姫様と結婚するって、本当ですか?」


 神官様が、首をかしげながら私を見た。


「婚姻の申請は届いていませんよ?」

「……街で、噂を聞きました」

「噂は噂でしょう。噂に惑わされるような人になってはいけませんよ、ミリア」

「……でも……」


 神官様の言うことはもっともだった。噂に踊らされるのはよくない。


「ならば、確かめてくればいいでしょう」

「……え?」


 神官様はニコリと笑って立ち上がると、横の壁に張り付くようにして並んでいる戸棚から、一枚の紙を取りだした。


「ちょうど、城へ届け物があったんです。私は今手が離せないので、ミリア、お願いしても?」


 差し出された紙と、神官様の顔を見比べる。

 じわじわと意味を理解して、両手で紙をつかんだ。


「は、はいっ! 行ってきます!」



 お城へと続く道のりを急ぎながら、預かった書類を大切に抱きしめる。

 神官様はできた人だった。何だかんだで慈愛に満ちた人だ。最初、騙して引っ捕まえたことが申し訳なくなるくらい。


 城門で神官様の遣いだという身分証明をする。あっさりと、門は開かれた。神官様様だ。


 広々とした廊下を歩きながら、アルジールの姿を探す。お城にいるはずだけれど、どこにいるんだろう。


 耳を澄まして話し声が聞こえないかと思っていると、ふと、窓の外に見知った黒髪を見つけた。中庭だ。私は急いで踵を返すと、人に尋ねながら中庭を目指した。


 薔薇が咲き誇る中、にょきっと首から上が飛び出た黒髪を見つけた。アルジールだ。驚かせてやろうと、後ろから忍び足で近づく。

 薔薇の茂みに背中を預け、そおっとのぞこうとして、話し声が聞こえて止まる。


「行ってしまわれるのですね」


 鈴を転がしたような、繊細でいて、可憐な声が響いた。ドッと心臓が速くなる。まさか、と嫌な予感が過ぎった。

 私はそのまま、耳をそばだてた。


「心配しないでください。役目は果たしますよ」


 アルジールの声だ。聞いたこともないような、柔らかな声だけれど。


「……心配するのは、いけないことですか?」


 あんまりの可憐さに、私の心臓が飛び出した。怖いもの見たさで、そぉっと、気づかれないよう、目だけ出して覗いてみる。

 そして、見なければよかったと、後悔した。


 一目見てお姫様だとわかるくらい、その人は美しかった。サラリと流れる金色の髪。頭の上には宝石がいくつも付けられたティアラがあった。

 こちらを向いているから、顔がよく見える。

 大きな青い瞳。その瞳こそが宝石みたい。ほんのり色づいた頬は、女の私ですら庇護欲をそそるし、なんなら抱きしめてしまいたくなる。


 何もかもが、違った。

 薄汚れた田舎娘とは。


 お姫様が、たよりなくアルジールの服をつかんでいた。それを見て、なんだかいたたまれなくなる。


 あれ、私もやった。

 でもきっと、あんなに可愛くない。お姫様がやると、あんなに抱きしめたくなるくらい可愛いんだ。


 情けないような、悲しいような。

 でも、ハッキリと感じた。



 敵わない。



 私には、あんなに抱きしめたくなるような可憐さはない。それどころか、洗剤を貸せと右手を突き出すような女だ。

 綺麗なお洋服も、地位も、名誉も、財宝も、何一つ持っていない。

 お姫様と結婚したら、アルジールはそれ全部を手に入れることができる。


 勝ち負けどころか、私はどう考えても、同じ土俵にすら立っていない。

 蚊帳の外だ。


 小さくため息をついた。

 これ以上聞いてはいけない気がして、私は気づかれる前にその場をあとにした。



 神官様のお遣いを終えて、帰るために城内を歩いていると、不運なことに人にぶつかった。それも、アルジールに。


 私を見たアルジールは死んだ魚みたいな目を大きく見開いて、かすかに唇を動かした。声は、出ていなかったけれど。


「久しぶり、ジル」

「どうして、ここに?」

「神官様のお遣い。もう帰るよ」


 ちゃんと、普通に会話できているだろうか。

 頬の筋肉は動いているだろうか。


 笑えて、いるだろうか。


「……明日、旅立つことになった」


 不意に、アルジールがそう口にした。


「そうなんだ……」


 なんて言ったらいいか分からなくて、私はただそれだけ口にした。

 アルジールが私を見下ろして、目を眇める。


「それだけか?」

「それだけって?」

「死ぬかもしれないんだぞ」


 ヒュッと息を飲む。視線をさまよわせて、曖昧に笑った。心を全部塗りつぶして隠すように。


「えっと、気をつけてね」


 アルジールは巨大なため息をついた。


「帰って来たら、美味しい料理食べさせてやる、とかないのかよ」


 ドキンっと心臓が跳ね上がって。でもすぐにそれを諌める。


「お城で、豪華な食事が出ると思うよ」

「あのな……。はぁ〜、もういい」


 アルジールは怒ったように眉を寄せて、ふいと視線をそらした。


「お、怒ったの?」

「ばーか」

「なっ! ジルのくせに、ムカつく」


 どついてやろうと、手を伸ばして、鈴の音のような声がそれを制した。


「あら? アルジール様?」


 ひぃっと、声に出さなかったのを褒めたい。

 私の後ろから、カツカツとヒールの音がする。なんだろう、この、浮気現場が見つかってしまったようないたたまれなさは。


 私は慌てて手を下ろして、チラリとアルジールを盗み見た。アルジールは私の後ろを見ていた。お姫様を。


「アルジール様、そのお方はどなたですの?」


 アルジールの横に立ったお姫様の美しさに圧倒される。

 う、わ。怖すぎるくらい美人。眩しい。眩しさに目が潰れそう。


「あー、幼なじみですよ」


 アルジールのその言葉に、ギュギュッと心臓が茨で縛られる。


「まあ、そうなんですの」


 お姫様は私を上から下まで眺めた。

 うぅ、見ないで欲しい。自分が恥ずかしくなってしまう。


「お名前は?」

「み、ミリア・リーベルです。名前も名乗らず、失礼しました」

「まあ、いいのよ。身分が上の者が尋ねるまで答えてはいけませんの。礼儀作法を知らないのですね」


 うぐっ、強烈な一撃だ。

 素で言っているのかわざと言っているのか分からないけれど、間違いなく敵に回すのは怖い人だと分かった。


「えぇと、申し訳ありません。私は仕事がありますので、このへんで……」

「あらそうなの。引き止めてごめんなさいね」


 申し訳なさそうな顔を作るお姫様に一礼して、アルジールに視線を向けた。


「じゃ、じゃあ……。その、頑張ってね、ジル」

「羊の白いやつ」

「……え」


 目を瞬いている間に、アルジールはくるりと背を向けて歩き出していた。


 なんなんだ、いったい。


 何かの暗号か?


 考えてもさっぱり分からなかった。



 結局、それからアルジールと会うことはなく、アルジールは何人かの仲間たちと旅立って行ったらしい。


 そうして、それから数ヶ月後、王都には激震が走る。



 勇者死亡、と。





「ミリア、ミリアっ、しっかりなさい!」


 国から出た、勇者死亡のお触れ。

 闇を封じることはできたが、同時に勇者が犠牲になったと、彼と共に旅をしていた仲間たちが涙ながらに語ったそうだ。


 国は命を犠牲にして人々を守った英雄として、『さようなら愛しの勇者様追悼会』が開かれているそうな。


「ミリア! ああ、目が死んでますね。しっかりなさい!」


 往復ビンタが私を襲う。


 痛い。


 痛い、けど。


 痛いのか、よく分からない。


「ミリア、いいですか? 死者は生き返りません。それはこの世の運命(さだめ)なのです」

「……どう、して……」


 平々凡々な村人だったはずだ。

 それが勝手に勇者なんて担ぎあげられて。同い年だったのに。死んだって。人のために?


「もぅ、ほんと、バカで困っちゃいますね……いつもやる気なんてないくせに、こんなときばっかり格好つけて……勇者なんて、辞めちゃえばよかったのに……」

「ミリア……」


 乾いた笑いと、冷たい涙が溢れた。

 神官様がやるせなさそうに顔を歪めて、幼子をあやすように私を抱きしめる。


「すみません、ミリア。私が、迎えに行ったから……」

「違い、ます。元はと言えば、あの変な剣が……」


 たった一本の剣が、運命を狂わせたんだ。

 もしも見つけたら、粉々に砕いてやる。


「どうします? 家に帰りますか?」


 神官様の声に、首を振った。


「帰り、ません。あそこは、思い出が多すぎるから……」

「……そうでしたね。すみません、無責任な発言でした。しばらく休暇を与えましょう。落ち着いたら、また手伝ってくださいますか?」


 小さく首を縦に振る。神官様は、ポンポンと私の頭を撫でると、そっと、部屋を出ていった。


 布団の中に潜り込んで、ボロボロと泣いた。


 まさか、死んでしまうなんて思わなかった。

 そうだと分かっていたなら、もっと、たくさんのことを伝えたのに。



 ──『それだけか?』



 そう言った、アルジールの言葉が蘇る。


 本当は違う。

 帰って来てと言いたかった。



 私のところに、帰って来て、と。



 言えなかった想いが喉までせり上がって、涙となって溢れ落ちる。

 伝えないことを選ぶのと、伝える人がもういないのとでは、全然違う。


 言っていたら、驚いたのかなとか。困ったかなとか。迷惑そうにしたかなとか。


 たくさんたくさん考えても、それはもう幻想でしかない。


「……ばか」


 小さく呟いた声は、もう届かない。




 五日ほど寝込んだ日のことだった。

 もう生きていくのも嫌だなぁと思っていたとき、コンコン、と窓がノックされた。


 うるさいなぁと思って無視を続けるけれど、ノックは止まらない。なんなら、どんどん激しくなっている。ガンガンと打ちつけられていて、窓が割られそうだ。


 仕方なく飛び起きて、窓に向かった。


 そして、息を飲む。


「……ジル?」


 窓の外に、傷だらけのアルジールがいた。剣を片手に持って、開けろと口パクで訴えてくる。私は慌てて窓を開けた。


「っあ〜、いってぇ」

「え、え、なに、どういうこと? なんでジルがいるの?」


 夢だろうか?

 床に胡座をかいたジルを見下ろして、前にしゃがみこむ。とりあえず、血が出てる右肩に人差し指を当てた。


「いって! おい、触んな」

「痛いの?」

「痛えよ。見たらわかんだろ」

「……夢じゃない……」

「……おい、なんで俺で試した?」


 痛いってことは夢ではない。生きてたの?


「だって、死んだって……」


 夢か現実かわからなくて、呆けた声でそう言うと、アルジールはあの変な剣を見た。


「俺も死んだと思ったけど、この剣すごいのな。なんか生きてたわ」

「け、剣が護ってくれたの?」

「たぶん? 疲れたのか、今寝ちまってるけどな」


 なんてこった。最低最悪な剣として粉々に砕いてやろうと思っていたのに、まさかの恩人ならぬ、恩剣になるとは。


「お城には、行ったの?」

「いや?」

「ど、どうして? 行ったらきっと、みんな喜んでくれるよ」

「ばーか」


 アルジールが私を見て、そのままグイッと私の肩に手を回した。死んだ魚みたいな目をした端正な顔が、目の前に迫る。


「普通、こういうときは、一番会いたいやつのとこに行くもんだろ」


 目を見開いて、アルジールを見つめた。グレーの瞳に、マヌケな顔をしている私が映る。


「な、何それ、意味わからないよ……」

「は? 普通わかるだろ。鈍感」

「ち、違うし。鈍感なのはジルじゃん」

「おまえだろ」

「……ジルだよ」


 うつむいて、ボロボロになっている服をつかむ。触れられた場所が温かくて、生きているのだと実感した。


 枯れることのない涙が、また湧き上がってくる。


「死んだって、聞いたから。いっぱい、後悔した」

「……」

「もっと、素直になれてたらとか。絶対に叶わなくても、伝えてたらとか。ど、どうして言えなかったんだろう、とか」


 泣きながら、顔を上げる。


「わ、私、ジルのことが──」


 不意に、目が合う。

 じっと、真剣な瞳に見つめられて、途端に恥ずかしくなった。


「俺のことが?」

「あ、えっと……」

「なに」

「えぇと、その……」


 視線をさまよわせて、ぐっと覚悟を決める。


「じ、ジルのことが、す、す……すき、です……」


 最後は蚊の鳴くような声になってしまった。

 恥ずかしいやら怖いやらで、目が見れない。


「ばーか」


 ふっと、吐息混じりの声が降ってくる。

 あまりにも熱が籠っていて、「ひっ」と仰け反りたくなった。背中に回っていた手が、それをさせてはくれなかったけど。


「そんなこと、知ってたっての」


 耳もとで、甘ったるい声が響く。そのままコメカミに唇が落ちてきて、卒倒しそうになった。

 なになに、何が起きたの?!

 どういうこと!?


「じ、ジル、あの、何を……」

「んー?」

「あの、離して……」

「なんで」

「なんでって、ち、近いから」

「なに。近いとダメなの」


 顔を覗き込まれて、鼻先が触れそうな近さに息を飲む。


 目が合った。


 時間が固まってしまったみたいに、目が逸らせない。


 私の頬に伸びてくる手が、やけに骨ばっていることを意識してしまって、怯えるように首を振った。首を竦めようとしてると、すくい上げるように顎に指先が添えられて、驚きに息を飲む。


「逃げんな」


 誰だろう、この人は。聞いたこともないような、熱を宿した声。

 鼻先が触れた。アルジールが少しだけ顔を傾ける。目の前に綺麗な顔があるのが、恐ろしいような、嬉しいような。ぎゅうっと、固く目を瞑った。


 少しだけ、唇が触れた。すぐに離れて、ほっとして目を開く。目を開けて私を見ていたアルジールが、不敵に笑った。

 瞳だけで、ばーか、と訴えかけてくる。


「な、ジルっ……」


 声になる前に、また唇が塞がれた。空気も言葉も全部奪い取るように口づけられて、混乱する頭の中で必死にそれに応える。


 苦しなってきて、震える手で、アルジールの肩を押した。鬱陶しそうに眉をしかめられて、私の頭を押さえていないほうの手で、絡めとるようにして私の手を繋ぐ。

 ひぇ、と上げかけた悲鳴は音にならずに消えていった。



 満足したのか、ゆっくりと唇が離れていったときには、私の体の力はどこか遠くへと飛ばされてしまっていた。


 アルジールが、骨が抜けた人形のようになった私を抱き込んで、疲れたように呟いく。


「はー、もう勇者なんて二度とやらねえ」


 鼻先を首に寄せられて、飛び上がりそうになる。


「えぇ、なに、なにが、え?」

「なに」


 なにじゃない。

 何と言いたいのは私だよ。


「え、え、どういうこと?」

「死にかけた男が一番最初に会いに来る時点でわかるだろ」

「いや、わかんないよ。ジル、お姫様は?」

「は?」

「勇者はお姫様と結婚するって聞いたけど……」


 しどろもどろになりながら、何とか伝える。

 このことがお姫様にバレたら、私殺されるんじゃないだろうか。不貞を働いた泥棒猫! とか、罵られたりして……。


「ああ。あれ。断った」

「……は、い?」

「そういう堅苦しいの、向いてないんだよ。知ってんだろ」

「た、確かにジルは面倒くさがりで、やる気なくて適当でだめな男だと思うけど」

「おい」

「で、でも、お姫様、あんなに綺麗なのに」

「別に、そういうの興味ないしな。それに、アイツらが欲しいのは俺じゃなくて、勇者っていう政治利用できる都合のいい道具だろ」


 わ、あ。辛辣。否定できないけど。


「それよりさ」

「な、なに?」

「手当してくんない? 痛えんだけど」


 ハッとして、アルジールから距離をとる。頬やら腕やら傷だらけだ。


「うわぁああ! ご、ごめんっ。すぐ準備するね」


 慌てて立ち上がると、アルジールが吹き出した。次第に、おなかを抱えて笑い出す。


「な、なに。怖いよ。どうしたの。頭怪我した?」

「いや、やっぱ安心するなーと思って。おまえといると」


 薄く覗いたグレーの瞳に射抜かれて。心臓が喜ぶように飛び上がった。

 それを誤魔化すように、無理やり話題を変える。


「そ、そういえば、あれ、なんだったの?」

「あれ?」

「羊が白いとかなんとか」

「ああ……」


 アルジールはそんなことかと軽くうなずいた。


「帰って来たら羊のシチュー」

「は?」

「羊のシチュー食いに帰って来るって言ったんだよ」


 いや、わかるか。


「は? 伝わってなかったのかよ」

「よくそれで伝わると思ったね。びっくりだよ」

「ちゃんと帰って来ただろ。おまえのとこに」


 小首を傾げるその姿が、小生意気な少年っぽくて、小さく笑う。


 そういえば、なんだかんだで大切なことを伝えてなかった。


 アルジールの前にしゃがみ込むと、不思議そうな顔で見つめてくる。かわいいな。


「え、と……お、おかえり。ジル」


 照れくさくて、少し素っ気なくそう言うと、アルジールは目をまるくして、次には屈託のない笑みを浮かべた。


「ただいま。ミリア」





 勇者が生還したことで、国は沸き立ち、何日も何日もパレードが開かれた。

 数日拘束されたアルジールは、擦り切れたボロ雑巾のようになって私のとこに帰って来た。


「とりあえず、村に帰らねえ?」


 と言いながら。


 それに猛反対したのが神官様だった。


「こんな便……おほんっ、こんな素晴らしい人材そうそういません!」


 と、熱弁していたけれど、便利と言いかけたの聞いてたからね?


 結局、私も私で神官様の雑用は楽しかったし、王都に留まることになった。


 勇者アルジールは王からたんまりと報奨金と領地をもらって、私のあとを追うように王都に住み着くようになったのは、また別のお話。


お読みくださりありがとうございます!

昔コメディ風のが書きたくて書いたお話です。お楽しみいただけたなら幸いです。

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