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棚の上から転げ落ちたのは私

悪魔と見まごうそれは、神官だった。


『はっ……!バケモンに神と呼ばれんしても、なんぞ嬉しゅうありゃんせんなぁ。』


吉原訛りで堂々と返す浮月の心情が煙管を通して感じられる。

後ろには崖、前には悪魔。ぐるぐると思考が堂々巡りを繰り返す。

(やばい……!!)

焦り、そして疲弊。慣れない土地と実力を知り得ない相手。すべてやよいの敵に見える。


『あと……時間さえあればっ……』


隣にいる浮月の言葉すら耳に入らない。やよいの耳にあるのはただ、自分の心音だけ。

そのうちにも相手は手枷を携えてゆらゆらとこちらに歩み寄ってくる。

(どうしよう、どうしようどうしようどうしよ……)

から回る思考回路を断ち切るように大きな音が鳴り響く


バチンっ!!


一触即発の空気の中、音と共にずり、ずりと引きづられて出て来たのは小さな少女とやよいと同い年くらいの少年。


狂気じみた笑顔を笑顔を寸分たりとも崩さなかった神官にようやく陰りが見えた。


「色付きか……見苦しい。神の黒以外はこの世にいらんと言うのに。」


神官は部下らしき騎士から剣を奪うと、ためらいなく少女たちに向かって投げた。


ドスッ……


鈍い音とともに鮮血をあたりに振りまいたのは、真っ白いローブの神官であった。

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