表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3契約目:奈落の住人たち

『さて、貴様との契約も終わった事だし移動するぞ』

『ここじゃ自分の姿も満足に現せれん』

「移動って何処に移動するんだよ?」

『何処って下に決まっておろう』

『まぁ目でも瞑っていろ』

 そう言われ音桐は素直に目を瞑った。目を瞑ったのを確認した、黒い影は音桐を包むように自身の影で覆った。その瞬間影はゆっくりっと消えていった。まるで霧散するかのようにその場から無くなった。


『もう目を開けても構わん』

 そう言われ音桐はゆっくりと目を開けた。そこには不思議な光景が広がっていた。洞窟の中のようだが壁面と床はほんのり赤く光って脈を打ってるようだった。

「うわ…」

 この世ならざるところに来てしまったのだと音桐は感じ取っていた。

『今は暗く感じるが直に目も慣れてくるだろう』

 後ろから声が聞こえて振り返る。

『やっと影でない姿を見せれたな』

 そこには3m近い黒いスーツを着込んだ白金の長髪を持つ綺麗な男性が立っていた。

『ではゆくぞ、着いてこい』

 立ち振る舞いから歩き方まで美しかった。もしその姿で街を歩こうものならモデルなんかをやれそうなポテンシャルがありそうだ。だが、気配というのだろうか、常に殺気のようなものを放ってる感じがした。そんな事を思いつつ音桐は悪魔に着いて行く。


 しばらく歩いていると、正面から別の気配を感じた。この悪魔と同じくらいの圧を放ってる気配を。

『…お帰りなさいませ』

『あぁ…』

(言動から察するに部下のような者なのだろうか?)

 姿がよく見えないので音桐は顔だそうとした瞬間、何者かに後ろから首を捕まれ中に浮かされた。

「ぐ…がぁ……」

 突然のことだったため、対応が全く出来なかった。足をばたつかせ必死に首を掴んでる手を外そうとする。

(マズイ…本当に…シ…ぬ…)

『そいつから手を離せ。愚か者』

 そう言われると首から手がふわっと離れた。

「ゲッホゴホ…ゴホッゴホ」

 本当にあと数秒長く掴まれていたら音桐は死んでいたかもしれなかった。涙目になりながらも自分の首を絞めてきた者を睨みつける。

『おや?てっきり恐怖の感情が向けられると思ってたけど怒りの感情が向けられるとは』

 空中であぐらをかき頬ずえつき、笑いながらそこいた悪魔は言ってきた。正面の大きな気配に気を取られていたが、こっちにいるのもなかなかの気配を放っていた。

『出迎えにしては些かふざけがすぎるではないか?ベレト』

『そんなことないですよ〜そこの人間を少し試しただけですよ〜』

『…止めなければ殺していただろうが』

『まま、お帰りなさいませ』


『ルシファー様』

 

その名前を聞いた瞬間、音桐は自分の召喚した悪魔を振り返って見た。

『…』

 音桐は本当にとんでもない悪魔を召喚してしまったと感じていた。

『…ルシファー様そこの人間はなんでしょうか?』

 最初に喋っていた悪魔がルシファーに問いかける。

『これは私と契約した人間だ、後に説明する』

『ベルゼブブ、広間に主要悪魔を集めろ。あの娘は部屋に留めておけ』

『…承知いたしました』

 そういうとベルゼブブとベレトは目の前から消えた。

『着いてこい広間へ行くぞ』

 音桐は立ち上がり、ルシファーの後をついて行く。

 しばらく歩きつずけている時音桐が口を開いた。

「…随分と人間の扱いに慣れているんだな」

『まぁ初めてでは無いからな』

「そういえば、さっき娘がどうこうって」

『ああ、貴様と同じく悪魔召喚した娘がいるのだ』

 自分と同じく悪魔召喚をした人間がいたことに心底驚いたと同時に、ルシファーが少し人間の扱いに慣れてる理由が音桐は分かった気がした。

『正確には娘の相手が召喚したがな』

「ん?どういう────」

『着いたぞ、心の準備をしておけ』

 気づけばでかい扉が目の前にあった。その大きさはおよそルシファーの倍程の大きさだったが装飾が少なく質素な扉だったが、中からの圧を封印しているような役割が与えられているようだった。扉がゆっくりと開くと同時にルシファーと音桐は中へと進んで行った。


 中はとても綺麗だった。先程通ってきた通路と違い色が黒で統一されいてゲームや漫画で魔王がいるような部屋があった。奥に玉座のようなものがありその前に7体の悪魔が待っていた。

『会議が終わるまでそこの柱で待っておれ』

 そう言ってルシファーは玉座へと向かった。音桐は言われた通り横にあった柱の後ろに行き、悪魔たちの会議を聞いていた。ただ距離があるため、会議の内容が少し聞き取りずらかった。

「ここからだと何言ってるかよく分からないな」

『なら、あなたも近くに行って会議を聴いたら?』

 後ろから耳元で囁かれた。びっくりして振り返ったが触手のようなものが体に巻き付き拘束された。がっちりと拘束されたため逃げ出すことができなかった。影の中から出てきたのは緑色の長髪を持つ女性のような出で立ちの悪魔だった。

『フフッ…暴れちゃって可愛いわね。恐怖の感情が漏れてるわよ♡』

 そう言って音桐の顔を舐めまわすように見てきた。

『さ、行きましょうか』

 そう言って会議が行われている玉座へ連れていかれた。


『…遅刻だぞ、なぜ遅れた?アスタロト』

 ベルゼブブがアスタロトに問いかける。

『ごめんなさいね〜色々あって』

 軽く流してる会話を目の当たりにしてる音桐の心中は驚きの連続だった。

(アスタロトなんて大悪魔じゃないか!)

『それでルシファー様、この人間は私がいただいても宜しくて?』

『ダメだ、そいつは契約者なのでな』

 一瞬だが広間の空気が変わったのが分かった

『あら、残念』

 そういうと巻きついていた触手を離し拘束を解いた。

『アスタロトも来た事だし改めて通達する』

 そういうとルシファーは立ち上がり悪魔達へと命令を下した。

『我々は天使及び神へ戦いを仕掛ける』

『今回は2人の人間も使い戦況を大きく変える』

『契約者の音桐の願いでもあるが、いい加減あの者たちへ報復する!』

 悪魔たちは何も言わずに深々とルシファーに向かってお辞儀をしていた。

『近々、天使たちによる残りの掃討があるだろう』

『そこで降りてきた天使どもを狙い撃つ』

『各々準備を進めておき、いつでも出撃できるようにしておけ!』

 そう言うと8体の悪魔たちは目の前から消えた。

「凄い…」

 音桐はそんなことしか言えなかった。ルシファーが音桐の方を向き、口を開く。

『貴様も、戦いの準備をしてもらうぞ。着いて来い』

 そう言われ音桐は笑っていた。

(やっと、復讐が始まるんだ)

今回はここまで!

次回は戦闘準備編

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ