⑥連載時のスケジュールと、注意していたこと
今回は、実際に自分がどのようなスケジュールでほぼ毎日投稿を続けていたのか、そして毎日投稿を続けるにあたって、どんなことに注意していたのか振り返ってみようと思う。
オススメはしないが、もしも皆様が毎日投稿をするつもりならば、何かの参考になれたら幸いだ。
まず前提として、自分が働いている職場は、ほぼ完全週休二日制だ。
ブラック企業とかやりがい搾取とか囁かれるこのご時世には珍しく、ほぼ完全週休二日制なのだ。
繫忙期などはその限りではないのだが、ほぼ一年を通して、休日は一週間に二日ある。日曜日はほぼ確定で休みだが、もう一日は月~土でランダムだ。
この二日ある休日を利用して、丸一日かけて次の休日までのエピソードを一気に書く。例えば、今日が火曜日の休日だとして、次の休日が土曜日ならば、その日を含めた火曜日から金曜日、あわよくば土曜日までの投稿分を一日で書き上げる。
平日の仕事終わりなどは、一話書ければめちゃくちゃ頑張った方だった。夕食を食べたり、執筆以外の趣味を優先させたりしていると、あっという間に翌日になる。たいていの場合は次の休日までの数日間で一話脱稿するのがやっとで、その休日での執筆が少しでも楽になるための貯金にした。
これが一週間通しての基本的なスケジュール。
時おり狂うこともあったが、この四年と半年、ほぼ全てこのパターンだった。
他の作者様の執筆ペースをほとんど知らないので、自分のこれが無茶なスケジュールなのか、さほど特別でもないのか、それは分からない。
ただ、やはり、連載している間は「この執筆の時間を別の趣味に充てられたら……」と感じることが多く、自分にとっては大変な日々だったと認識している。
「どのようにして、あなたは毎日投稿を(ほぼ)完遂できたのか」と問われたら、やはりこの完全週休二日制が大きいと思っている。職場自体も「あまり残業するな。はよ帰れ」なスタンスなので、一日が潰れるまでこき使われるということもほとんど無かった。
……とはいえ、残業が無い日の方が珍しいくらい、毎日の仕事はそれなりに忙しいのだが。
ほぼ毎日投稿を達成するために注意していたこととしては、エッセイをあまり書かないようにした。
エッセイジャンルは、作者や読者の間で交流がさかんに行われる、なろうのジャンル全体で見ても珍しい世界だ。新作エッセイを投稿すれば誰かにご感想をいただける機会も多く、このなろうにおいて自分という作者の存在を知らしめるにはもってこいのジャンルではある。
実際、自分も、過去に書いた一つのエッセイがきっかけで、現在も交流させていただいている多くのユーザー様と知り合うことができた。
エッセイを書くのは楽しい。物語の登場人物ではなく、作者たる自分が直接、読者の皆様と触れ合う。普通の小説作品では得られない経験だ。
ただ、過ぎたるは猶及ばざるが如し。
書いたエッセイの人気が出て、感想返信などの対応が忙しくなると、そのぶん連載執筆のための時間が減る。
先述した、自分が過去に書いた一つのエッセイ。
これも、読者の皆様のおかげで、当初の想像を大幅に上回るほどの反響だった。
このエッセイへのご感想もたくさんいただいた。
それこそ、今まで見たことがないような数のご感想だった。
それら一つひとつに返信をしていると、あっという間に夜になっていた。
衝撃を受けた。
自分が遅筆というのもあるだろうが、感想の返信だけで一日が終わるなど、初めての経験だった。
その日は、全ての感想返信を終えてから、連載の続きを少し執筆する予定だったのだが、一文字とて書けなかった。
エッセイを書けば、自分という作者の認知度は上がるかもしれない。
しかし、それを続けた果てに、毎日投稿を達成することはできるのだろうか。
考えた末に、自分は毎日投稿を優先させることにした。
どうしても書きたいエッセイが思い浮かんだ時は、あらかじめ連載のストックを多めに書き上げることで備えた。
贅沢な悩みだというのは重々承知だ。
エッセイジャンルにおいても、感想がほしいのに貰えないという作品は無数に存在しているし、自分も件のエッセイを書くまではそういったエッセイを量産していた。
人気者になるだけならいいのだ。
本当に怖いのは、エッセイで意図せずマズいことを書いてしまって炎上した時。
きっとたくさんの批判の声への対応に追われ、心身ともに疲れ果て、毎日投稿どころではなくなったに違いない。実際に自分がエッセイを書く時も、炎上しないような話題選びには特に注意を払った。
ともあれ、毎日投稿達成のために注意していたことと言えば、それくらいだった。
ここではエッセイを例に挙げたが、一言でまとめると「連載を執筆する時間の確保」が最も大事だと思う。
あえて付け加えるなら、あとは「楽しく執筆するための健康的な精神状態」だろうか。
リアルでの生活が大変になり、執筆どころではなくなる。
あるいは、書籍化などの成功を夢見るも、挫折して姿を消してしまう。
そういった作者様を、この数年間で何人も見てきた。
こうしてまとめてみると、ほぼ毎日投稿を達成するにあたって、特別なテクニックなどはほとんど使っていないことが分かった。
休みも確保できるし、独り身なので、自分には十分な「自分のための時間」があった。執筆を続けられる精神的余裕があった。毎日投稿を達成できるだけの環境が最初から整っているという幸運があった。
時間の余裕と、精神の余裕。
あとはやる気と根気があれば、きっと誰でも毎日投稿は達成できる。
これは恐らく、毎日投稿だけでなく、あらゆる目標達成においても同じことが言えるのだろう。
……え?
「そんなことは最初から全部分かっているから、その執筆のやる気を生み出すためのテクニックを教えろ」ですって?
まずは新規エピソード作成画面を開きます。
とにかく一行だけでも、本文を書いてみます。
そうしたら多分、なんだかんだで、さらに次の行も書きたくなると思います。
だったら次の行も書いてみましょう。
さらにその次の行も書いちゃいましょう。
これを一話脱稿まで繰り返しましょう。
以上! 終わり!
なお、効果・効能には個人差があります!