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⑤一つの連載にこだわり続けた理由

 前回の「④ほぼ毎日投稿」を書いていて思ったことなのだが。


 たしかに自分は、たった一つの作品に九年も十年も時間をかけてしまうのが嫌だった。


 だが、その「二日に一回投稿」や「三日に一回投稿」において、「一日目に次話を脱稿して、余裕ができた残り日数の中で別の作品を書く」というスタンスも取れたのではないだろうか。


 その方法ならば、たしかに一つの作品を終わらせるのに九年や十年はかかってしまうが、その期間においてたった一つの作品ばかりに(かま)けているという事態は回避できる。


 連載当時も、似たようなことを考えた時はあったと思う。

 連載の投稿ペースを落として、他の連載も書いてみたらどうだろうかと。


 何しろ、この連載以外にも、もっと色々な話を書いてみたかった。

 とうとう我慢が利かなくなって、冒頭だけ投稿した連載もある。


 その連載は今日現在、四年以上更新されていない。

 つまり当時の自分は、毎日投稿のペースを落とすことを「否」としたのだ。


 なぜ、「否」としたのだろうか。

 なろうで好まれる要素をほぼ全て外し、ほとんど誰にも見向きされなかったこの作品に、なぜそこまでしがみつき続けたのか。


 ちょうど連載が楽しくなってきたというのは、もちろんある。

 誰にも見向きされずとも、やはり自分が考えた物語、その大きな見せ場を書き(つづ)る楽しさは格別だ。


 しかしそれだけでなく、あの連載にこだわり続けた最も大きな要因となったのは、二つの大きな理由と、一つのちっぽけな理由ゆえだったと思う。


 まずは、二つの大きな理由の一つめ。

 この連載を書き続けることで、作者としての力量……いわゆる「筆力」が上がるのではないかと思ったからだ。


 どんな地の文を書けば、作中の情景をより分かりやすく読者の皆様に伝えられるか。

 どんな言葉を用いれば、作中の激闘をさらに迫力のあるものに演出できるか。

 どんな構成を練り上げれば、作中の物語に読者を引き込むことができるだろうか。


 連載を続ける中で、自分は実感していた。

 書けば書くほど、そういった技術が、自分なりに(みが)かれていくことを。

 (みが)かれても大した輝きは放っていないかもしれないが、それでもたぶん昔よりはだいぶマシなはずだ。


 そして、これは本当に何となくそう思ったのだが、新しく始める連載よりも、今の連載を続けることで、そういった筆力はより効率的に、飛躍的に鍛えられると……そう感じたのだ。


 ちょうど、連載の中でいくつかの伏線を回収し始めていた時期だったから、そう思ったのだろうか。伏線の回収という経験は、開始直後の新連載ではそう簡単に履修できない。


 ともあれ、この連載を書き続けることが自分の成長につながる。

 まずは成長してから、その経験を次の連載にぶつければいい。

 そう思ったのが「二つの大きな理由」の一つめだ。


 そんな調子で連載を続けていると、ありがたいことに固定の読者様たちがついてくれた。

 そして、この固定の読者様たちの存在が、「二つの大きな理由」の二つめだ。


 この読者様たちを裏切りたくない。

 ぜひとも最終話まで読んでいただきたい。

 だからこそ、絶対に途中で連載を投げ出すわけにはいかない。


 投稿ペースを落とせば、自分はいつか(なま)けるだろう。

 こんな長い作品に付き合っていただいているのだ。あまり完結まで待たせるわけにはいかない。


 他の連載に浮気すれば、この連載の構想に費やす時間が減って、作品のクオリティが落ちるだろう。

 どうせ提供するなら、できるだけ高品質なものがいい。そうでなければ他ならぬ自分が納得できない。


 こういった思考が働いて、毎日投稿を意地でも崩さなかった。

 なんとなく自覚はあるのだが、自分は自分の認識以上に見栄っ張りで完璧主義者なのかもしれない。


 もしもこの連載に固定の読者様がついて下さらず、今に至るまで自分一人で連載していたのなら、もしかすると最後の方で投稿のペースを落とす未来もあったのでは……そう思っている。自分一人では踏破できない道のりだった。


 これで「ただ一つの連載にこだわり続けた二つの大きな理由」についての説明は終わった。あとは、その二つの理由のついでの「一つのちっぽけな理由」なのだが。


 まぁ、つまるところ。

 初めての小説作品だったので、きっちり完結させたかった。

 だから、この作品一つに意識を集中させたかった。


 それだけである。

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