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③作品を書こうと決意した日

 ちょっといったん振り返ってみる。

 そもそも、自分はどうして、この「小説家になろう」で作品を書こうと思い至ったのだろうか。


 たしか……そう。仕事の日々の中で、ふと思ったのだ。


 小説家になろうに来る前までの自分はと言うと。

 毎日毎日、同じ仕事をこなし、家に帰ってぐーたら過ごして、寝る。

 仕事はおろか、家に帰ってからの時間の過ごし方までルーチンワーク。


 あっという間に時間が過ぎていく。

 あっという間に一年が過ぎていく。


 親がネットで拾った情報だが、人間の一生において、幼少期から社会人になるまでのおよそ二十年間と、そこから天寿を全うするまでの七~八十年間の体感時間は、ほぼ同じらしい。


 尋常ではない説得力だった。

 この生活を続けていたら、自分はあっという間に中年になり、老年になり、お陀仏になる。そんな確信があった。


 同じ仕事を繰り返す日々、それ自体に不満はほとんど無く、(しょう)に合っているとさえ思っているが、それはそれとして「何かを為したい」、「何かを残したい」と強く思うようになった。


 自分は、幼いころからテレビゲームが好きだった。

 親が二人ともゲーム好きだったので、物心ついた時にはスーファミやらプレステやらが家に置いてあった。


 ならば、個人製作ゲームにでも挑戦してみるか。

 しかし、自分にはプログラミング等の専門知識は難しすぎた。

 こうして、自分のゲーム製作の夢は終わった。


(了)



(了)じゃないが。


 自分はゲームが好きだが、その中でも特に、ゲーム中のストーリーを深くまで読み込み、その作中の世界観に頭まで(ひた)るのが大好きだった。


 だからこそ、ゲーム製作は諦めたが、「だったらゲームの基礎となるストーリーだけでも書いてみたい」と思い始めるのは必然だったのかもしれない。


 だがしかし、どのようにしてストーリーを書き残す?

 パソコンのメモ帳に、中学生の黒歴史ノートよろしく書き(つづ)っていくか?


 せっかく書いた物語を、誰に見せるでもなく、自分のパソコンの中に仕舞(しま)い続けてしまうのは、もったいないのではないか?


 そう考えていた矢先、ふと思い出した。

 本屋のコミックコーナーなどで、何度かそのサイト名を目にした。

 このインターネットの海には「小説家になろう」という場所があるのだと。


 きっとそこには、自分が考えた物語を楽しく、そして効果的に書き(つづ)るための各種ツールが(そろ)っているだろうし、あわよくば他の読者に作品を読んでいただけて、感想までもらえる。(※個人のイメージです)


 決意した。

 この「小説家になろう」で、自分が考えた作品を書き残すことを。


 あの日……初めて「新規作品作成」のページを開き、真っ白な「作品本文」の(らん)に、記念すべき一行目を書き出そうとしたあの感覚は、今でも鮮明に思い出せる。


「俺……今からめっちゃくちゃ恥ずかしいことをしようとしているのでは?」と。


 だってさ、自分が考えた世界観、キャラクター、設定を好き放題に書き連ねていくって、それ本当に中学生の黒歴史ノートじゃん。妄想方面で(さか)りがついた中学二年生そのものじゃん。いい大人の趣味としては、すごい恥ずかしい部類なのでは?


 そんなことを考えて、一行目を打ち込む指がすごく重くなった。

 決心して一行目を書き、二行目、三行目と進むごとに、指は軽くなっていった。

 今はもう屁でもねぇや。何であろうが軽々と書ける。


 この体験を通して得た知見ではないのだが、今でも常々思うことがある。

 何か新しいことを始めた時、その中で最もエネルギーを使う期間は、「その『新しいこと』を実際に実行するまで」なのでは、と。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんはー。 チラッと見たら新しく投稿されるし、エッセイを書かれているではないですか⁉ と、言う事で読んでます。なろうの通過儀礼……確かになぁと。 数千ある内の1つ。しかも、毎日投稿な…
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