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モブなのに最強?  作者: らんか


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事件の真相

 ミーシャは両親と共に、王城内の応接室に案内され、そこで今回の説明を受ける事となった。


「ミーシャ、辛かっただろう。すまなかったな。もっと早く連れて帰ってやりたかったが、色々と証明するのに時間がかかってな」


「本当にごめんなさいね。ここにいる間、辛かったでしょう。ひどい事はされなかった? もしされてたらタダでは済まさないわ」


 父ユクラディアスや、母レイラが牢に入れられていた間の事を気遣ってくれる。


「いえいえ、お父様やお母様、お兄様たちが色々と差し入れをして下さったお陰で思いの外、快適に過ごさせて頂きましたわ」


 にっこりと笑って伝えると、二人も安心したようだ。

 そこに、宰相が入室し、今回の件の説明を受ける。


「此度の件は、なかなか真相が究明しにくく、ラバンティ辺境伯令嬢には、大変ご迷惑をおかけいたしました事を深く謝罪致します。

 また、ラバンティ辺境伯におかれましては、真相究明に多大なご協力を頂き感謝いたします。やはり辺境伯の提言どおり、西方の国と、我が国の闇ギルドが関わっていた事が、王宮騎士団の調べでも判明致しました」


 以前より魔物の裏取引が行われている事は度々耳にしていたが、実態が掴めていなかったこと、今回現れたマンティコアは、アトラン王国には生息しておらず、西方の国の限られた領域でしか生息が確認されていない事、数カ月前に闇ギルドに依頼されて、捕獲したという西方の冒険者を捕らえ、証言を得たことなどの説明を受けた。

 ちなみにすでに闇ギルドは、ユクラディアス率いる辺境伯騎士団により壊滅させられている。


「今回は、捕らえた魔物を闇ギルドを通じて購入しようとした者の家に運搬している最中に誤って逃してしまったようです。

 ただ、普段はあの森を通って運搬していなかったらしいのですが、購入者の希望によって、あの経路を使用したとのことですが……」


 宰相の説明に、ミーシャは

「購入者は分かっているのですか?」

と、尋ねた。


「いえ、捕まえた闇ギルドの連中に聞いても、なかなか口を割らないのです。しかし、時間の問題でしょう」

とのことだった。


(購入者。闇の使い魔の情報によると、ゲームの悪役令嬢が利用した、あの変態収集家と同じ……。

 ヒロインであるリセラは、やはりゲームの知識を使って同じやり方で魔物を放ったんだろう。実際のユーリ様は絶対にしないから、自分で事を起こして、聖なる力を発動しようとした……。結局は発動しなかったけど……) 


 ミーシャは、説明を聞きながら考えていた。




「今のところ分かっているのは、これだけです。闇ギルドとラバンティ辺境伯令嬢との接点は全く見られなかったため、潔白が証明されました。

 しかし、今回疑惑を持たれた原因として、飛竜によって、何かを運搬していたとの情報があった事は事実です。

 事情聴取でも聞かれたとは思いますが、改めて何を運搬されていたか、お聞きしても?」


 宰相は眼を鋭くさせてミーシャを見た。


「以前、シオンライト第一王子殿下にお譲りしたモーニュ草については、聞き及びがございますでしょうか? その時に考えたのですが、魔の森には、まだ他にも薬草となる植物がございます。モーニュ草は希少にて難しいですが、他の薬草なら潤沢です。

 まだ過程の段階なのですが、これを機にもっと安全に、広く魔の森の薬草を使って薬を作れないかを専門家の学者の方々にご教授願いながら、わが商会にて研究を進めるため、魔の森の数種類の薬草を運びました。

 ご存知のとおり、魔の森の薬草は、瘴気を含んでいるため、厳重な保管が必要にて、特製の大型の箱に入れて飛竜で運んだのです」

 

 これは本当の事だ。扱いにくい薬草で作る薬の数が限られてしまうため、必要とする人々の元に届く割合が圧倒的に少ない。

 シオンはたまたま辺境伯の領地に来て、薬草を手に入れ、すぐに薬にしてもらえるツテがあったため助かったが、一般市民はそうはいかない。辺境伯の領民だけでなく、他の人達の元にも、もっと簡単に手に入れやすく出来ないかと思ったのだ。

 

「そうでしたか。分かりました。しかし、瘴気を含むものを扱っているため、一言王宮に報告して頂きたいところでしたね。

 今後はそういったものを扱う場合は、王宮に報告して許可を得てからにして頂きたい」

と、宰相からの苦言を呈された。

 

「申し訳ない。報告しなかったのは、こちらの落ち度だ。それに関しては謝罪しよう。

 だが、今回の冤罪で受けたミーシャの汚名は、そそいで頂きたい。すでに学園内はおろか、城下の民にも広がりつつあると聞いている」


 宰相からの苦言を真摯に受け止めながらも、ユクラディアスは、しっかりと王宮の対応を求めた。






 王都は、かつてない事件の真相を知り、震撼した。

 魔物の裏取引をする闇ギルドは、すでに壊滅され、魔物の収集家たちは、違法取引の罪で摘発され、魔物はその場ですぐに殺処分となった。

 闇ギルドにあった、裏取引した者の情報が記された書類が発見されたことにより、大多数の収集家は摘発され捕縛されたが、まだ捕まっていない者もおり、まだまだ警戒態勢にあったが、時間の問題であると推測された。

 また、王都外れにある森に出現した魔物に対しても、闇ギルドの運搬途中に逃げ出したものである事が分かり、たまたまそこで演習を行なっていた王立学園の生徒が出くわしてしまったが、すでに退治されていること、退治するにあたって多大な貢献をしたのが、ラバンティ辺境伯令嬢であることが、王家より発表された事で、ミーシャに注がれていた疑いは晴れた。


 混乱したのは学園の生徒たちだ。闇ギルドなどの関連を全く聞かされておらず、2人の令嬢が悪感情を持って、リセラ達を狙っての犯行だとの噂を信じていたため、この一連の真相は、まさに寝耳に水だったのだ。

 今まで、リセラに寄せられていた同情は、戸惑いに変わり、徐々に疑念を抱く者が出てきた。


「何故、リセラ様が狙われたとお思いになったのかしら?」

「ユーリ様やミーシャ様は、全く関係なかったのに、誰があんな嘘の噂を流したの?」

「そもそも、リセラ様は第二王子殿下とどのようなご関係なのかしら? なぜいつも一緒にいらっしゃるの?」

「いくらミーシャ嬢が強いとはいえ、魔物を捕まえて演習中に狙って放つなんて、無理があるよなぁ。おかしいと思ってたんだよ」


 口々に学園内の生徒たちは噂し、被害的な噂を流したとされるリセラや第二王子始め、取り巻き集団を冷たい目で遠巻きに見るようになる。


「ダミアン様ぁ。皆さんがわたくしを無視し始めるのです。ひどい。わたくしは魔物に襲われた被害者ですのに」


 リセラが泣きながらダミアンの胸に飛び込んだ。


「何て奴らだ! 被害者は僕らなのに、何故リセラに辛く当たるのだ! 大丈夫だ! リセラは僕らが守るよ」


 側にいたミゼルやオルガもリセラを慰めていたが、一人少し離れたところで、アズレンは一連の流れをやや冷めた様子で眺めていた。



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