【02】日常・平日(2/2)
短めです。
翌朝、三十分ほど早く起きてリビングに行くと、予想通り散らかっていた。平らげたクッキーの箱は出しっぱなし、紅茶かなにか飲んだらしいカップもそのままだ。
急いでごみとカップを片づける。クロワッサンとサラダを作っている間に娘の美香がばたばたと二階から降りてくる。
「ちょっと、朝ご飯できてるよね」
「ああ、できてるよ。リビングに置いてある。それと夕べのクッキーとカップも片づけた」
食べるのに夢中らしく返事はない。いつものことだ。
サラダだけをたいらげてパンは手をつけず残された。玄関に小走りすると「ちょっと、ウザいから私の靴のそばにあんたの靴置かないでって言ってるでしょ。まったく使えないんだから」と悪口を叩いて家を出て行った。
再び食器を片づけて自分の朝飯を用意する。美香が残したパンは妻の英美に残す。これも美香と英美が嫌がるからだ。焼いたのは俺なのだが。
英美の朝食の支度をしながらコンビニで買った菓子パンとコーヒーで朝食を済ませた。
ゆうべ洗濯した洗濯物はまだ乾かないので干したままにしておく。軽く全体の掃除をしたところに英美が起きてきた。「紅茶。レモン入れて」と面倒な指示をしてだるそうにリビングにもたれかかる。
家を出る時間まで数分しかないが、あとでうるさいので湯を沸かしてパックで紅茶を淹れて冷蔵庫のレモンを薄切りして浮かべた。
持って行くと「座ったらすぐに出してよ。どんくさいわね」と言ってカップの紅茶を一気に飲み干す。それを見て二杯目を入れ直す。今度は簡単には飲めないから、やっと出勤できる。
流しには水を溜めた桶を残す。当然、紅茶を淹れたカップは入らないだろう。
「いってくる」といっても返事はない。
このまま行けば普段よりは少し遅くても四十分くらい早くは着くだろう。
まだ続きます。
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