イロフVSイブラス
《知の騎士》イロフ対エスカレッド公爵家の執事であるイブラスの試合。
試合は終始イブラスの劣勢だった。
イブラスの武器がナイフに対し、イロフの武器は長剣。
リーチの長さを利用され、イブラスは防戦一方だった。
間合いに入ることができず、イロフの斬撃をナイフで捌くのがやっとのように見える。
「執事服なんかで武闘大会に参加するからこういうことになるんですよ」
イロフはイブラスを追い込みながら、喋り出す。
「これが私の正装ですから」
笑みを浮かべて応えるイブラス。
「まあいい、そろそろ本気でやってくれないか?」
「いえいえ、捌くので精一杯ですよ」
イブラスは微笑みを絶やさず、ナイフで捌く。
お互い本気でやりあっていないことはわかっているのだろう。
(この辺でいいでしょうかね。私自信が彼の力量を計りたかったのですが、この方と本気でやりあって次の試合に全力で挑むのは難しそうですし)
イブラスはイロフの斬撃を捌きながら、どうやってこの試合を終わらせるか考える。
(この方には彼を計る試金石になってもらいましょうかね)
その後、数回剣を交えてイブラスはナイフを持つ手の力を緩めた。
ナイフが剣とぶつかると呆気なく弾き飛ばされ、虚しく地面を転がる。
そして、イブラスは両手を上げた。
イロフも剣をイブラスの首元に添える。
「降参します」
口元に笑みを浮かべて言うイブラス。
「なんのつもりですか?」
全く手応えなく勝利を掴んだイロフは訝しむ。
「いえ、これが私の全力ですよ」
イブラスが言い終わると、審判がイロフの勝利を宣言する。
「では、私はこれで」
イブラスは敗者とは思えないほど軽やかに退場した。
イブラスの行動の裏を読み取ろうと、イロフはその後姿が見えなくなるまで、睨み続けた。




