再会?
彼女の刀の構え方が幼馴染と同じで琉海は驚いてしまった。
そして、彼女の名、トウカ・シュライト。
姓は別の名前だが、名には聞き覚えのあるものだった。
飛行機で前の席に座っていた幼馴染。
木更刀香。
この世界には同じような名前があってもおかしくない。
だからか、似ている名前があっても琉海はあまり反応を示さなかったのだが、これだけ類似点があると確信に近いものがあった。
ただ、歳に数年の差があるのか、見た目はだいぶ変わった印象を受ける。
「とう――」
琉海が声をかけようとしたとき――
「では、はじめっ!」
審判の開始の合図がされてしまった。
真っ先に動きだしたのは、トウカだった。
動き出しがわからず、一瞬で琉海の視界から消える。
(はやいッ!)
精霊術を扱っているわけではないのにこの速さ。
すぐに琉海は彼女を視線で追おうとしたとき、背後に寒気を感じた。
琉海は自分の感覚を信じ、前に前転。
トウカの刀は空を切った。
「さすがに話ができる状態じゃないか」
一撃目を躱し、琉海とトウカはにらみ合う格好になった。
トウカの動きは明らかに一撃必殺に重点を置いている。
「面倒なのは、あの動きか……」
尋常ではない速さで動く彼女。
琉海はそれ以上の速さを出すこともできるが、出力を上げ過ぎれば、殺してしまいかねない。
部分的に強化することもできなくないが、出力のバランスや切り替えるタイミングなどまだ練度が高いとは言えない琉海にとってそれは不安要素が多かった。
(力任せは悪手か……なら――)
動きはなんとなくだが、読めると琉海は思っていた。
それは小さい頃から見知っている動きだからだ。
多少のアレンジはされているようだが、根幹にあるのは、木更流剣術。
(ズルをしているようで申し訳ないが、話しをできる状況にさせてもらう)
琉海は一歩進み、少し重心を横に傾ける。
その動きに合わせるようにトウカは、動きだした。
トウカは琉海の傾いた方向とは逆から襲いかかってくる。
傾けていた重心を身体強化の力で無理矢理修正。
その動きにトウカは驚き、目を見開く。
誘い込まれたと気づいたのだろう。
しかし、すでに刀を振る動作にまで入ってしまっている。
ここから動作を変更することはできない。
こうなることを知っていた琉海は、刀を振ろうとしている腕を掴み、足払いをして地面に伏させる。
「くッ!?」
琉海の動きは木更の道場で教えてもらった柔術だった。
試合を終わらせるには、寸止めか意識を奪う必要がある。
琉海は一瞬で《創造》を行使。
ナイフを生み出し、彼女の首元にあてた。




